今回は、まず、老後の貯蓄がない人が抱えるリスクにはどのようなものがあり、備えるにはどうしたらよいのか考えましょう。
老後の貯蓄がない人が抱えるリスク
原則65歳になれば公的年金をもらうことができます。老後に受け取る年金の目安を厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」でみてみると、老齢厚生年金を受給している人の平均年金月額は14万3973円です(老齢基礎年金含む)。男女別では以下のとおりとなります。・男性の平均年金月額:16万3875円(老齢基礎年金含む)
・女性の平均年金月額:10万4878円(老齢基礎年金含む)
世帯ごとの年金受給の目安は、単身者であれば「10万~17万円」。夫婦共働きの世帯であれば「26万~27万円」といえそうです。
それに対して、総務省の「家計調査報告家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」を確認すると、65歳以上の無職世帯の支出は、夫婦のみの世帯、単身世帯でそれぞれ以下のとおりとなります。
・65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出:25万959円
・65歳以上の単身無職世帯の消費支出:14万5430円
これらの結果から、もし、老後の貯蓄がない場合、抱えるリスクは次の3つが考えられます。
●貯蓄がない人が抱えるリスク1:年金だけでは最低限の生活費しか賄えない
仮に年金収入だけでも、うまくやり繰りすれば、毎月の生活費を賄うことができるかもしれません。とはいえ、この場合、淡々とした毎日を送るだけに終始してしまいそうです。
65歳から90~100歳までの老後生活は長く、その間、たまに旅行に行ったり、趣味を楽しんだりなど、ささやかな贅沢で人生に潤いを与えたいというのが本音でしょう。
●貯蓄がない人が抱えるリスク2:特別な支出に対処できない
老後に貯蓄がないと、特別な支出に対処できません。
たとえば、持ち家の人は、古くなった家を修繕する必要に迫られるかもしれません。また、エアコンや冷蔵庫、洗濯機などの家電も定期的な買い替えが必要です。さらに、入院や介護が必要になれば、相応にかかる費用負担は増すでしょう。
●貯蓄がない人が抱えるリスク3:気持ちが不安定になる
老後に貯蓄がないと、介護になったら?働けなくなったら?という不安から、気持ちが安定せず、むやみと周囲の人をうらやましく思うことがあるかもしれません。
そのような気持ちを抱えたまま過ごすと、体調や心に深刻な問題を引き起こすことになりそうです。
老後の貯蓄がない人は「貯蓄をはじめる」「長く働く」ことを考えよう!
このように、老後の貯蓄がないと、上記のようなリスクを抱えることになります。しかし、これから老後を迎えるという人は、今からでも遅くありません。これからの5年後、10年後を考え「貯蓄」をはじめましょう。ただ、老後の収入が年金だけという場合、なかなか貯蓄に回すほどの余力はないかもしれません。あわせて、「長く働く」ことも念頭におき、老後の準備をしましょう。
長く働くには、今の会社で継続雇用を選ぶ、あるいは再就職先を見つけるなどの選択肢があります。
その際、お金を多く稼げるからというだけで「やりたくない仕事」「キツイ仕事」をするのは、長続きしません。それよりも、「興味のある仕事」「自分に合った仕事」を探しておくようにしましょう。