再雇用制度は、再び、同じ会社で雇用契約を結んで働くことです。一方、勤務延長制度は、定年年齢になっても退職せず雇用を維持し、雇用期間を延長する制度です。今回は、継続雇用で働く場合の雇用形態、仕事内容がどうなるのかを確認してみましょう。
■60代前半層の継続雇用者の雇用形態
60代前半の継続雇用者の雇用形態を、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「2020(令和2)年 高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」で、業種別、従業員規模別で確認してみましょう。 全体で、最も割合が高いのは「嘱託・契約社員:57.9%」。次いで「正社員:41.6%」、「パート・アルバイト:25.1%」と続きます。
業種別でみた場合、正社員の比率が高いのは「運輸業:53.6%」と「医療・福祉:51.6%」です。嘱託・契約社員の比率が多いのは「輸送用機械器具製造業:72.8%」や「電気機械器具製造業:73.0%」、「電気・ガス・熱供給・水道業:75.0%」であり、7割を超えています。
同じく、従業員規模では、人数が少ないよりも多い方が、嘱託・契約社員の比率が高くなり、一番少ない「100人未満:48.6%」と最も多い「300人~999人:73.3%」では、約25ポイントと大きく差が開きます。雇用継続での雇用形態は、業種・従業員規模などで異なることが確認できます。
60代前半の継続雇用者の仕事内容
次は、60代前半の継続雇用者の仕事内容が、定年前(60歳頃)と比べ、どのように変化したか確認してみましょう。 全体の企業のうち、「定年前とまったく同じ仕事:44.2%」、「定年前と同じ仕事であるが、責任の重さが軽くなる:38.4%」と、定年前と責任の重さが違う場合もありますが、同じ仕事で働くケースが約8割を占めています。先述の継続雇用者の雇用形態とあわせてみてみると、継続雇用者のうち正社員の比率が高い業種である「運輸業」や「医療・福祉」が、定年前と同じ仕事に就いているようです。一方、継続雇用者のうち、嘱託・契約社員の比率が高い業種である「輸送用機械器具製造業」や「電気機械器具製造業」「電気・ガス・熱供給・水道業」は、定年前と同様の仕事ですが、責任が軽くなるようです。
定年前と同じ仕事をするときは気持ちの切り替えが大事
継続雇用で働く場合、雇用形態が変わっても、慣れた業務を続けることになるため、気分的に楽といえるのではないでしょうか。しかし、人との関係性では、上司になるのは以前の部下という場合が考えられます。現役時代の気持ちのままで働くと「お互いやりにくい」という部分が出てきて、トラブルが発生する場合もあるかもしれません。そうならないためには「定年退職を迎えたのだから、今までと同じではない」ということを意識するとよいかもしれません。気持ちを切り替えて仕事をすることで周囲の人ともうまくやっていけるのではないでしょうか。