樽を通してウイスキーのあるライフスタイルを提案
「樽キャビネット」。左は閉じた状態。右は開いた状態。
エコロジー、リサイクルにはじまり、近年のSDGsに至るまで環境に関連する動きが活発になってきているが、「樽ものがたり」は実用的製品としてはこれらの活動の先駆け的な存在であったといえよう。
ウイスキーの原酒貯蔵熟成に使われる樽。その役目を終えた後、「樽ものがたり」では家具やインテリアグッズなどへと生まれ変わらせている。
森林資源に感謝し、ウイスキーづくりでの貢献を称え、オーク材の価値を最大限に生かす。そして、より身近な生活のなかで愛されながら終の住処としてもらいたい。それが「樽ものがたり」の使命であり、製品づくりである。
樽材自体、オークの森の中で長い年月をかけて育ってきたものだ。そして伐採、製材されてウイスキーの貯蔵熟成の樽に加工され、原酒が詰められる。モルトウイスキー熟成のために何度か働き、さらにはグレーンウイスキー熟成にも活用されていく。
このように何十年とウイスキー原酒熟成に活用される。しかしながら経年によって熟成効果を期待できなくなる。そんな古樽であっても、材としての耐久性は失われてはいない。ウイスキーでの役目を終えた後もさらに長く、わたしたちの暮らしのなかで貢献できるように「樽ものがたり」として再び姿を変えるのだ。森の王、とも呼ばれるオークの威厳と強さがそれを可能にする。
ウイスキーファンであるならば、ウイスキーのあるライフスタイルを想い描くことができるし、ウイスキーファンでなくてもしっかりとしたオークの材質と風合いに魅了されることだろう。
ささやかながら、わたしの自宅には230L樽半切プランター(¥13,420税込価格/以下同)があり、また樽オークディップナイフ(¥770)、ボールペン(¥2,200名入れなし)などを愛用している。
さて、いくつかの人気製品を取り上げてみる。
まず、「樽キャビネット」(¥253,000税込価格/サイズは『サントリー樽ものがたり』サイト参照)。現在、かなりの予約待ちらしいが、間近で見るとたしかにコアなウイスキーファンに人気が高いことを実感する。
天板部分は山崎蒸溜所に貯蔵されている熟成樽をモチーフにしたデザインがあしらわれている。収納スペースの底板はターンテーブルになっており使い勝手がいい。「樽キャビネット」の重量は約50Kgもあるが、大きめのストッパー付キャスターが5個取り付けられ、移動も容易で安定感がある。
その他にもさまざまな用途のテーブル、チェア、スツール、ベンチなどもある。次のページではいま注目を浴びているダイニングセット「TARURU<タルル>」やバレル側板トレイなどを紹介しょう。(次ページへつづく)
左より「TARURU」ダイニングテーブル天板、古樽、「TARURU」チェア(板座)