古い神社は
古代からの聖地に建てられている
この口コミガイドでもそうですが、人が「ここはパワースポット」と感じる場所の多くには、神社やお寺があります。感じるものは個人によって違うとしても、古くからある神社や寺は、古代から聖地とみなされてきた場所にあることが多いからです。そのころの人たちは、科学全盛の現代とは違い、目に見えない何者か、すなわち「神」がすべてを牛耳っていると考えていました。気候が安定し、水が十分にあり、食べ物が手に入る。そのような、人が生きていくために必要なものを与えてくれるのは神であり、ひいては、その背後にある自然です。しかし、自然は人の意思ではどうにもならないものです。そのため人々は、神の声が届きやすそうな場所を探し、そこを聖地と定めて神に祈りました。それが神社のはじまりです。
古代には、今と違って余った土地はいくらでもありました。その中からある特定の場所を選ぶためには、やはり、なんらかの条件があったことでしょう。それがどんなものであるかはわかりませんが、古代人の力を侮ってはいけません。彼らには、わたしたちに感じ取れないものを感じる能力があったため、広大な土地の中から、特別なパワーのある場所を選び出せたのだと思います。
日本人は山を神聖なものとみなした
日本列島には山が多いです。山の中は、人が暮らす平地とは違う世界であり、また、高くて天に近い場所であることから、神様が降りてくる場所とみなされました。神様は目に見えないため、神様が降りてくると考えられる場所や物も神様と同等のものとされ、山自体がご神体となったのです。そもそも神社には、信仰の対象を祀る建物がありませんでした。のちに本殿という建物になんらかのご神体が祀られるようになったのは仏教の影響で、当時は、神が降りてくる山そのものを拝する形でした。
現在も、そうした形の神社は、いくつか残っています。たとえば、日本最古の官道とされる奈良の山の辺の道沿いにある大神神社(おおみわじんじゃ)などです。大神神社には拝殿はあっても本殿はなく、背後にある三輪山(オオモノヌシという神様がお鎮まりになっているとされる)そのものを拝しています。というわけで、こちらの神社は、日本最古の形を残す伝統的なパワースポットとも言えます。
トラディショナルなパワースポット、大神神社 |
長野県の諏訪大社の上社にも本殿がなく、山を拝しています。こちらは縄文時代以来の聖地です。
・縄文時代の謎解きツアー 諏訪大社後編