部下や組織のパフォーマンスが悪いのは「残念な上司」が原因かも?
転職して新たな会社に入社する、あるいは異動や転勤によって新しい職場に移る人も多い時期。新しい職場で活躍するためには、環境に溶け込み、人間関係を築くことが大切です。
特に、上司と部下の間での信頼関係があれば、組織内でのコミュニケーションも円滑に取れ、また業務遂行もスムーズです。そのためには、上司の存在が大きいことは言うまでもありません。もしも、“残念な上司”だったら……。モチベーションはおろかパフォーマンスもダダ下がりになってしまうでしょう。
今回は、「残念な上司」が部下に対してついやってしまうNGコミュニケーションを紹介します。
(1)部下の「存在承認」をしない上司
- 部下があいさつしてから自分もあいさつする(自分からあいさつしない)
- 目を見ない
- あいさつがおざなり
- すれ違う際、目も合わせない
相手の存在に気づき、受け入れ、肯定することを、「存在承認」と呼びます。
朝一番、部下とすれ違うときに、その存在に気づき、アイコンタクトを取って会釈することで、たとえ言葉を交わさなくとも、「あなたの存在にちゃんと気づいていますよ」と存在承認のメッセージを送ることができます。あいさつがおざなりだと、「私に関心がないのかな」と、部下は不安な気持ちになるはずです。このように朝のあいさつには実は大きな意味があるので、「あいさつは自分から」と徹底したいところです。
(2)部下の状況を考えず気遣いのない上司
- 「〇〇しといて」と指示や命令口調
- 指摘や注意する際の声が大きい
- 聞こえよがしに話をする
- うつむいたまま小さな声で話す
気遣いとは、相手を思いやって配慮することです。上司は部下に対して業務指示や指導することが主たる業務です。しかし、業務指示は、部下にとってみるとタイミングによっては引き受けられないことや、対応することが難しい状況もあるはずです。そのため、一方通行の命令口調ではなく、状況を確認しながら依頼形で伝えるべきです。
また、指導時は小さな声で周囲に聞こえないように配慮することも必要です。大きな声で「何回言えば分かるの」と質問しているところを周囲に聞かれてしまうと、「もしやパワハラ?」と誤解を招く恐れもあります。また、「何回言っても伝わらなくて」と他の人に話しているところを当の本人が聞いてしまうと、「悪口を言われている」と上司への不信感につながりますので注意が必要です。
(3)部下の話を聞かない上司
- 話に耳を傾けない
- 携帯や時計ばかりを見ている
- 約束を守らない
- 一方的に話し続けている
時間に余裕がないとの理由で、部下の話に適当な反応しか示さなかったり、携帯や時計ばかり見て、興味や関心を示さなかったりすると、部下は不安を感じてしまいます。また、自分の意見や考えを優先して、部下の話を遮ったり、無視したりすれば、部下は自分の意見を伝えることができなくなり、自己表現の機会すら失うことになります。その結果、部下の成長に悪影響を与える原因となり、組織全体のパフォーマンス低下につながります。
(4)無意識の癖や何気ないため息で「威圧的な印象」を与える上司
- 話しているときに腕や足を組む
- 大きな声
- 疲れた時の「はあ~」
- 安堵の「ふう~」
表情やジェスチャーなどのノンバーバルコミュニケーションによって、上司が部下に対して与える印象は大きく変わります。たとえば、上司が表情や声のトーンで威圧的な態度を示せば、部下は不安や緊張を感じてしまいます。このような態度は、部下に対する信頼を損ねるばかりか、パフォーマンスを低下させる要因となります。
また、上司が無意識に行っているボディランゲージのサインや癖も、部下に不信感や緊張感を与えることがあるため注意が必要です。思った通りに物事が進まないときや疲れたときの「はあ~」は、相手に重苦しい雰囲気を与えるネガティブなメッセージです。また、「やっと終わった」と安心したときの「ふう~」も、自分に対して疲れたため息と誤って受け取られる場合があり、不快感を与えます。無意識とはいえ、普段から自分の癖には気をつけたいものです。
以上、ノンバーバルコミュニケーションの観点から、部下からの信頼を得られない上司がついやってしまうNGコミュニケーションについて紹介しました。もし自分の上司にいくつか当てはまっていたら、その場合は、前向きに反面教師として学んでしまいましょう。表情やジェスチャー、態度など、受信側に立つことで、発信側以上に得られることも多いはずです。上司からの学びで、自らの成長につなげていきましょう。