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2023年1月に自動車保険の「ノンフリート等級」割引率・割増率が改定
2023年1月に、任意の自動車保険の「ノンフリート等級制度」の割引率・割増率の改定が、主要損保を中心に実施されています。そもそも「ノンフリート等級制度」とは、自動車保険の個々の契約の割引率や割増率が決まる仕組みのことを指します。自動車保険における割引や割増のランクのことを「等級」といい、等級は1~20等級の20段階に分かれており保険料の割引率や割増率が違います。
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ノンフリート等級制度とは?自動車保険の割引率・割増率の仕組み
各社の自動車保険の細かい改定はそれぞれ異なりますが、ノンフリート等級制度の割引率や割増率については共通事項です。
自動車保険は、各契約者の交通事故による保険利用の有無によってノンフリート等級制度の等級が変わり保険料に反映されます。無事故なら保険料は下がる一方、事故で保険を利用すると翌年の保険料が高くなります。
この等級ごとの割引率や割増率が改定されており、特に「事故で自動車保険を利用した人」は注意が必要な改定内容なのです。
ノンフリート等級別料率の割引率・割増率は、どのように改定された?
ノンフリート等級制度の割引率・割増率は具体的には次のように改定されています。出所:損害保険料率算出機構 自動車保険参考純率改定のご案内 赤字は筆者が追加
この図の赤字の箇所が改定前と比べて割引率が縮小、あるいは割増率が拡大しています。無事故の9等級から19等級では割引率が拡大していますが、それ以外の次の場合は割引率の縮小や割増率の拡大となっています。
- 事故有の7等級から16等級(7等級と8等級は無事故も含む)
- 1等級から6等級
1等級の割増率は+64%から+108%と大幅な引き上げです。
自動車保険の保険料が変わる仕組みとは?
自動車保険料はノンフリート等級制度の等級の変動だけが関係するわけではありません。ここで改めて自動車保険の保険料が変動する主な要因を確認しておきましょう。主な要因とは、以下の3つになります。
- 自動車保険料率の改定
- 型式別料率クラスの変更
- 契約者個人の事故の有無によるノンフリート等級の変更
警察庁の「令和4年中の交通事故死者について」によると交通事故の発生件数は平成16年のピーク時には952,720件だったものが、令和4年は301,193件と1/3以下になっています。
こうした状況から損保各社の自動車保険料率はこのところ改定が続いており、概ね全体の平均では横ばいもしくは若干の引き下げくらいの動きが続いています。もちろん2023年1月1日以降も各社自動車保険料率を改定しています(改定率は損保ごとに異なる)。
また自動車保険はメーカーや車種、年式などで型式別料率クラスを割り振っています。具体的には対人・対物・傷害・車両を1クラス(保険料が安い)から17クラス(保険料が高い)です。
保険金の支払や契約状況などをみて毎年度変わるため、車ごとの型式別料率クラスの変動が保険料に影響を与えます。
最後がノンフリート等級制度です。契約者ごとに20段階のクラス(等級)に分けるものです。1等級(保険料高い)~20等級(保険料安い)の20段階で、事故無と事故有の2つの1~20等級があります。
これら3つの要因に加えて、損保によっては改定による補償内容の変更が保険料に影響を与えるケースもあります。単純にノンフリート等級制度の割引割増率が変わった分がそのまま反映されるわけではありません。
今回のノンフリート等級の改正における注意点は?事故があってリスクが高くなると考えられる人の保険料の負担増に
今回のノンフリート等級制度の割引率と割増率の改定は、特に事故があってリスクが高くなると考えられる人の負担が増えています。この傾向は自動車保険に限らず損害保険の他の種目でも同じ傾向です。新規ではじめて自動車保険に加入した人(6等級や7等級)、現在4等級など割増の料率になっている人は特に注意が必要です。
ノンフリート等級の事故のカウントは、原則事故で保険を利用すると3等級ダウンします。他に1等級ダウン事故(盗難やいたずら、洪水による水没など)、ノーカウント事故(人身傷害の利用など)があります。
新規契約で6等級なら3等級ダウン事故1回で割増契約になります。これに盗難などがあればさらに1等級ダウンします。免許をとったばかりの子供などが運転するなら、等級が高くないケースではこうしたこともありえます。
複数回の事故による大幅な等級ダウンを嫌って他社に契約を移す、あるいは自分以外の家族名義に変更しても等級の履歴は13ヶ月残ります。また損保各社で情報は共有しており、複数の情報をマッチングさせるので名義などを変えてもまず分かります。
また1等級の場合、割増率が高いだけでなく、自動車保険の契約の引き受けも無条件ではありません。新規か継続かまた損保ごとに契約の引受条件は違うでしょうが、契約を断られる可能性もゼロではありません。
事故があった場合に自動車保険を利用しない選択は大きな事故ならほとんどないでしょう。自分でコントロールできることではありませんが、自分はもちろん家族も含めて事故が多い、等級が進んでいないならより一層安全運転を心がける必要があります。
事故を減らして等級を進めるために大手損保のドラレコ特約などは運転診断などもあるので利用するのも方法です。無事故を続けて等級を上げていくことが自動車保険料の節約方法の1つです。