「いい人材を送りだしたい。結び付けたい。すべてはそこから」(日下部さん)

日下部さんは、OL経験を経て、企業が新規開業するフィットネス施設のプロデューサーの仕事をするようになり、それをきっかけに、長年のスパフリークからスパのコンサルティングとしての立場を確立させました。
OL時代から休暇のたびにスパめぐりをしていたその消費者としての視点が仕事に結びついた瞬間です。
その後オーストラリアでの教育関係の仕事をこなし、帰国。現地では自宅近くにアスリートが多く、「大好きなマッサージをやらせて、とあたりかまわず声をかけた。アロマの効果も試したかった」(日下部さん)。当時のブリスベンは、空前のナチュラルテラピーブームだったそうです。
帰国後は、講演活動を精力的に行います。

アロマやフランス、そして海外にゆかりのあった日下部さんの思考のベースにあったのは「人と人との結びつき」。
「いい人材といい人材を結び付けたい、私がしているのは『人間接着業』」と、日下部さんは言います。そして、それに「教育」と「アロマ(ジャン・ヴァルネ)」を結びつけたもの、これこそが、日下部さん率いる「アロマテラピー総合研究所」の活動の基本になっているのです。


「アロマセラピストは、もっと高い評価を受けたポジションであるべき」(日下部さん)

日本のアロマ業界では、技術者であるアロマセラピストの地位が低すぎると言われています。なぜなのでしょう。
「時給千円以下は当たり前」とまで言われているアロマセラピストの待遇。
トリートメント代金が15000円以上の豪華なスパでさえ、技術だけでなくその時間と空間をプロデュースするセラピストが、こんな待遇では本当の癒しの循環は行われないでしょう。

それに関して、日下部さんと私で何度も意見が一致したのは、「日本も海外のスパのようなチップ制だったらいいのに」という点です。「ありがとう、こんなに気持ちのいい時間を・・・」と、クライアントが施術をしてくれたセラピストに感謝の気持ちをチップにして還元するのは、どれだけセラピストによってその時間と空間にクライアントが満足したかを表現する一つの方法として当然、かつわかりやすいものです。

日本ではそのようなスタイルがなく、セラピストがオーナーによって雇われて、1つの決められた「コマ」として動かされているという体系が多いため、セラピストがダイレクトにクライアントからの感謝の気持ちを受けることが少ないのです。

せっかくの人と人とが触れ合う時間でありきっかけなのですから、もう少し一つ一つの出会いや、提供した施術のリターンが、施術者の心や経験に活かされるべきだと思います。それができて初めて、施術者側にやりがいや、キャリアが積まれてゆくのだと思います。


「私が夏のヴァカンスでフランスのスパに行くたび、現地のスパセラピストたちとはスイスのどこどこのスパのこんなメニューが良かったとか、そんな話で盛り上がります。とても楽しいです。情報もたくさん教えてくれます。現地フランスのスパセラピストたちの生の声はいまや私の情報源の一つ。必ずどこのスパのどんなメニューがオススメか、細かく聞くようにしているんです」(日下部さん)

日下部さんは「こういう業界で働きたい」と多くの人から思われるような、アロマの業界のイメージを作り出してゆきたいと言います。そしてそのために彼女ができること、つまり「人材教育」の活動を中心としています(詳しくは、アロマテラピー総合研究所(www.aroma-inst.jp)を)。今年の6月からスタートさせる「スポーツアロマテラピー養成基礎講座」では国際的に通用する施術者を育てるためのプログラムを組んでいます。
「セラピストがよいギャランティをもらうためには高い技術と知識が必要です。クライアントのコンサルティング能力と共にホスピタリティもなくてはいけません」(日下部さん)

ヨーロッパのスパを200軒以上もまわってきた彼女だからこそ、知っている海外のスパ事情を基に、そこからホスピタリティを教育してゆくのです。それはまさしくスパブームになってもスパにいい人材がいないという現実がこないように。そしてセラピストにこそ、いいギャランティを保障させてゆくために。