模試の復習など……「成績が上がらない子の復習のやり方」3選
成績アップにつながる復習、できていますか?
第3位:返ってきた模試やテストを「見直す」
塾で模試や総合テストが返される際、講師から「いいか、ちゃんと見直してくるんだぞ」などと言われることがよくあると思います。でも、この「見直す」という行為は、あまり意味がないと思うのです。「ちゃんと見直して」と言われた生徒たちは、言われたとおりに模試やテストを「見直して」います。
では、どのように見直しているのでしょうか。多くの子は、答案やノートを机の上に置いて、それを眺めているだけ。テストだけでなく、日々の授業の板書ノートやテキスト、プリントを見直すときも同じです。
ちゃんと見直して復習している気にはなります。でも、できるようになるには、目だけではなく手も動かす必要があるのです。脳も動かす必要があります。ただ見ているだけではダメなのです。
第2位:赤ペンで正解を「書き直す」
ただ見ているだけではなく、解説を読み、大事なところにマーカーで線を引いて、赤ペンで正解を解答欄に書き込む生徒がいます。でも、これが成績が上がらない子の復習のやり方の第2位「書き直す」ことなのです。解説を読み、大事なところにマーカーで線を引いて、赤ペンで正解を解答欄に書き込む。これは勉強ではなく「作業」です。たとえば、テストの答案や宿題を解いたノートに○×をつけて、「問1 ウ→イ」などと正答を赤で書き入れている子がいます。この「問1 ウ→イ」と書かれたノートを後から見直して、なにか学びがあるでしょうか?
大事なのは、その正解に至る手順を知ることと、不正解だった問題がなぜ不正解なのかを知ることです。
正解を書き入れるのはただの「作業」で、成績を上げるための「勉強」とはいえません。作業をしただけで、勉強した気にならないよう気をつけましょう。
第1位:出題される確率はもう低い問題を「解き直す」
「見直す」だけではダメで、「書き直す」だけではただの作業ならば、「解き直す」ところまでやればいいと思いますよね。でも、その「ちゃんと解き直す」ことこそが、成績が上がらない子の復習のやり方第1位です。なぜ問題の解き直しをしても、できるようにならないのでしょうか。もちろん、解き直し自体は無意味なことではありません。ただ、解き直した問題が全く同じ形でもう一度出題される確率は限りなく低いのです。
何も考えずにただ同じ問題を解き直して正解を出すだけでは、復習の効果は薄いといわざるを得ません。
成績を上げる効果的な復習とは? ポイントは解法の「一般化」
では、どのような復習をすれば成績に結びつくのでしょうか。それは「できなかった問題と同じ、または似た傾向の問題が出たら、どうアプローチすれば正解できるか」を考えることです。たとえば国語の選択問題で、自分は「ア」が正解だと思ったけれど、正解は「イ」だったというとき、どうすれば正解が「イ」だと特定することができるのか、正解からさかのぼって確認するのです。
さらにそこで終わりにせず、その正解を特定するためのアプローチから、「同じパターンの別の問題でも同じようにあてはめて正解を出せる手順」を考えます。
たとえば「傍線が引かれた部分を、最も正しく言い換えている選択肢を選ぶ」という問題パターンでは、傍線が引かれた部分を文節に区切る。次に、文節ごとに各選択肢の文節と一つひとつ照らし合わせて、合っていれば「○」、違っていたら「×」、判断がつかないなら「△」をつける。そして最終的にいちばん「○」が多くついた選択肢を選べば正解する――というように解法を「一般化」していくのです。
できれば塾の講師がこのように今回出題された問題を一般化して、他の問題にも通用する解き方を教えてくれるのが一番ですよね。ただ、特に国語ではここまで教えてくれる講師は意外と多くありません。
ですから、親子で一緒に「この問題は、こうすれば正解できるんだよね。じゃあ、同じような問題が出たら、次も同じようにすれば解けるかな?」と試行錯誤しながら取り組んでもらえたらと思います。具体的な問題を一般化して、それを他の問題に具体的に当てはめる、抽象と具体の思考です。
そして、「次に似たような問題が出たらどうアプローチすればいいか」ということを、お子さんが親御さんに説明できるようになれば最高です。人に説明できるというのが本当に理解しているという状態です。人に説明することで、いちばん頭が整理されて記憶に残るのは説明している本人ですからね。
今回お伝えした復習方法は、少し難しいと感じられた方もいるかもしれません。でも、ひとつのことを一般化して、法則めいたものを導き出し、それを他のことにも当てはめられないか検討するという思考は、受験勉強だけでなく、社会人になって仕事をする上でも役立ちます。
そうした思考力を子どもの頃から鍛えるために、勉強というシステムを利用しているといってもいいくらいです。次回テストが返ってきたら、ぜひお子さんと一緒に効果的なアプローチ方法を見つけることにチャレンジしてみてください。
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