ストレス

カウンセリングとは何か?自分にあうカウンセラーの探し方

【公認心理師が解説】カウンセリングとは、カウンセラーにじっくりと話を聴いてもらい、悩みの解消をサポートしてもらうサービスです。海外に比べると日本での利用はまだ一般的ではありませんが、近年ではオンラインやSNSを使ったサービスも増えています。効果や活かし方、カウンセラーの探し方など、カウンセリングの基本をわかりやすく解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

カウンセリングとは……ていねいに話を聴きながら悩みの解消をサポートするサービス

カウンセリングを受ける女性のイメージ

一人で思い悩んでいても出口が見つからない…そんなときに助けになるのがカウンセリングです

カウンセリングとは、話を聴くプロであるカウンセラーと対話をすることにより、ストレスを軽減し、悩みの解消をサポートする相談サービスのことです。つらい心情をカウンセラーに話すことで、気持ちが楽になり、思考を整理でき、問題解決の糸口を見つけることができます。
 
施設やカウンセラーによってサービスは多様ですが、一般的には「傾聴」をベースにしたものが多いと思われます。傾聴とは、相手の立場に立って話をじっくり受け止めながら、共感的にかかわる“とてもていねいな話の聴き方”のことです。
 
悩みを抱えている人は、ていねいに話を聴いてもらうことで、こらえてきたつらい心情が浄化され、ストレスから自分を解き放つことができます。これを「カタルシス」といいます。
 
このカタルシス体験を経ることで、それまでとらわれていた問題を客観的に見つめることができ、今後の自分の行動や生き方について、冷静に考えることができるようになります。
 

カウンセラーは「心の伴走者」……心情によりそい、気づきを促す役割

多くのカウンセリングでは、アドバイスを最小限にとどめています。対話のなかで相談者自身が気づきを得て、考えを深められるようにするためです。
 
この点が他の対人支援職との大きな違いです。たとえば、医師は診断にもとづいて服薬や療養の指示を行い、各種のアドバイザーは、専門知識や経験を活かして助言や指導を行います。これらのサービスが重視するのは「気づき」ではなく、正しい処置や情報の提供です。

一方、カウンセラーは「心の伴走者」といわれるように、相談者の心情によりそうことによって、本人が自分の力でよりよく歩んでいけるように支える立場なのです。そのせいか、「カウンセリングを受けたけど、話を聴いてもらうばかりで、いまいちピンとこなかった」と感じる方も少なくないものです。それは、カウンセリングで重視される「気づき」がカウンセリングの時間のなかでは生じず、しばらくたってからふと現れることも多いからです。
 
即効性を感じにくいため、効果がよくわからないと思われがちなのですが、その分、漢方薬のようにおだやかに効き、リバウンドしにくいという利点があります。カウンセリングというやさしい時間をもちながら、日ごろの自分をふり返ると自分自身を肯定的に理解することができ、生きる希望が湧いてきます。
 

「聴く」だけではない対話の形……さりげなく心理療法の組み合わせも

カウンセリングでは傾聴以外にも、多様な心理療法をさりげなく組み合わせながら、相談者の感情や思考に効果的に対応していることが多いものです。
 
たとえば、幼少期から抱える思いについて話が深まる場合、カウンセラーは「精神分析」などの過去に焦点を当てる心理療法を組み合わせながら、相談者が自分の感情や思考の成り立ちを理解できるように導くことがあります。
 
ありたい姿や今後の目標について話が進む場合、カウンセラーは「解決志向アプローチ」などの未来に焦点をあてる心理療法をとり入れながら、悩みから脱却する手がかりを見つけるようにサポートすることがあります。
 
また、呼吸法や瞑想を導入する場合、カウンセラーは「マインドフルネス」などのゼロ地点の自分に戻るワークをとり入れながら、不安にとらわれないように導くこともあります。
 
このように、カウンセリングでは相談者にあった心理療法をさりげなくとり入れながら、効果的に感情が癒されたり、思考がひき出されたりするよう、工夫して心理的サポートをおこなっているのです。
 

自分にあうカウンセラーを見つけるための3つのヒント

では、自分にあうカウンセリングを見つけるには、なにを手がかりに探すとよいのでしょう。施設や主催者によって提供されるサービスは千差万別ですが、とくに次の3点を参考に、自分にあいそうなカウンセラーを選んでみるとよいでしょう。
 
1. プロフィールやメッセージから、自分にあいそうな人を探す
 
カウンセラーとの相性は、とても大切です。ホームページなどに掲載されているプロフィールをよく見て、自分にあいそうな人をよく吟味し、探してみるとよいでしょう。
 
肩書きや学歴、経歴などにとらわれると、最も肝心であるカウンセラーの人間性を見落としがちになるので注意が必要です。プロフィールとともに書かれているカウンセラーからのメッセージをしっかり読みながら、理念に共感できる人、フィーリングが合いそうな人を選ぶとよいでしょう。
 
2. 働く人のメンタルヘルス、親子関係に強いなど、専門分野を調べる
 
カウンセラーによって得意分野はさまざまです。どの分野に強いのか、どんな心理療法を得意とするのか、よく見極めて選ぶとよいでしょう。専門性の高いカウンセラーは、特定の分野の悩みをくわしく理解しているため、相談すると話がぐんと深まります。
 
また、カウンセラーの名前をインターネットで検索をすると、専門分野の活動や執筆している文章などをチェックすることもできます(ただし、名前や活動を公表している人のみ)。ネット検索もぜひ併せておこない、どのような活動をしているのか調べてみるとよいでしょう。
 
3.「こころのコリをほぐす」つもりで、まずは1回利用してみる
 
利用料金は施設によってさまざまです。安いほうがお得、高いから効果的とは一概にはいえません。相性や専門分野によっても効果は異なりますので、自分にあうカウンセラーを探しましょう。継続的に利用したほうが効果が高いのですが、金銭的にも時間的にも継続は難しいという方も多いでしょう。自分にあうカウンセラーであれば、単発でも効果を実感できると思いますので、まずは一度「こころのコリをほぐしてみよう」といった気持ちで、気軽に利用してみるとよいでしょう。
 
以上のように、カウンセリングは相談者の心情によりそいながら、相談者が自分自身でよりよく歩めるようにサポートするサービスです。ぜひ上記のポイントを参考にしながら、自分にあうカウンセラーを探してみてください。
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