襲名とは、「名を受け継ぐこと」
そもそも襲名とはなんでしょうか。「親や師匠の名を継ぐこと」。また、襲名披露は「襲名したことを世間に知らしめるために催す会」(角川国語中辞典)とあります。伝統芸能や茶道などの家元制度でも襲名はありますから、皆さんも耳にしたことはあるかと思いますが、特に歌舞伎では襲名披露が大きな行事となります。お知らせで簡単に済ませられるものから、歌舞伎座で数カ月にわたって行われるものもあり、家の格や人気で襲名披露の規模は変わってきます。
最近の大きな襲名披露としては、2018年、高麗屋の祖父、父、息子の三代同時襲名が話題となりました。なんと高麗屋は、1981年にも初代松本白鸚、九代目松本幸四郎、七代目市川染五郎の3人で同時襲名を行っており、史上初の2回続けての三代同時襲名に、大変盛り上がりました(2018年には九代目松本幸四郎改め二代目白鸚、七代目染五郎改め十代目幸四郎、四代目松本金太郎改め八代目市川染五郎)。
2018年高麗屋三代襲名時ののぼり
2年半延期された襲名披露公演
久々のビッグな興行が今回の「十三代目市川團十郎白猿襲名」「八代目市川新之助初舞台」披露公演となります。「あれ?新之助初舞台というけれど、たしか勸玄さんはすでに、歌舞伎座でデビューしていたはず」と思った人もいるかもしれません。本名で出た2015年の歌舞伎座の舞台は「初お目見え」と言います。今回「市川新之助」として出るのが、歌舞伎人生としての「初舞台」となります。
当初、2020年5月、6月、7月の襲名披露公演を皮切りに、全国各地で公演が行われる予定で、2019年に記者会見は行われました。ところが2020年からのコロナ禍により、襲名披露公演は延期。2年半を経て、満を持して襲名披露となります。
当初の予定より襲名披露公演の規模は小さくなりますが、コロナ禍とあっては致し方のないこと。それでも2カ月続きの公演では、大いに盛り上がることが予想されます。
>次ページ:「市川團十郎」のこれまでを振り返る…市川海老蔵は團十郎の名にふさわしいのか