ただし、厳密には「アミノ酸」と「アミノ酸の集合体のたんぱく質」では、体内で違った挙動をする一面もあります。それはたんぱく質は最終的に体内でアミノ酸に分解され吸収されるまでに数時間かかりますが、すでに小さく分解されているアミノ酸は素早く吸収されてしまうという違いです。
このことは激しい運動をして急激な筋肉(たんぱく質)の再生を必要とする運動選手などにはありがたい挙動ですが、それを必要としない普通の(場合によっては食べ過ぎている)人々には余計なものを素早く吸収するわけですから、良い面ばかりではないことは確実です。特にダイエットを志している人が、そのアミノ酸の効用をよく知らないままに、摂り過ぎたりまたは摂らなすぎたり(先の大谷先生の話と同じですが、市販のペットボトル飲料程度では糖とのバランスを考えるとアミノ酸が少なすぎです)するとダイエットにはマイナスの要素がはるかに多くなるといえます。
また、これはあくまでも予想ですが、大量の単離されたアミノ酸を摂取するというのは自然界では絶対に起こりえないし、人類の歴史の中でも極めて稀なことなのでこのようなことを多くの人が行うと、やがてそれに対応できない(一部の)人々に何らかの障害を起こすことが十分危惧されます。個人的にはこのアミノ酸ブームは長く続かないと予測はしてはおりますが、ことダイエットに関しては(産業としての規模が大きいために)テレビの健康情報番組を中心に、誘導された実験を用いた作為的な情報が流されることがほとんどです。楽しみとしてこれら「驚異の!ダイエットフェスティバル」に参加する分には大いに結構(私も好き)ですが、本当にやせたいダイエッターなら「(食べ物の質も含めた)食べすぎ」と「運動不足」という本来解決すべき「本題」をなおざりにするような本末転倒はつゆなさりませんように老婆心ながらご提言申し上げます…。
P.S.テレビ番組製作会社の皆様、製作途中の情報収集で私にモノを聞くのではなく、たまにはゲストとして呼んでね。なかなかガッテンしないゲストがいても面白いんじゃない?だめスか?(連絡はこちらよりお願いします)
9月28日「アミノ酸ダイエットの真相」を追記しました。(←こちらより)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ダイエットは個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して体調不良を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮したうえで、正しい方法でおこなってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。