食べるだけで痩せる食品は毒である
今回の問題で、関係者の謝罪と同じくらい、私が驚いた点は、『発掘!あるある大事典』を科学番組や報道番組と同じレベルで見ていた視聴者が多数いたという点です。これまで、私自身も記事やメルマガで科学番組と娯楽番組の見分け方は説明してきたつもりですが、なかなか見分けがつかないのが実情なのでしょう。■参考記事:αリポ酸にダマされるな!
また、当サイトを見ないでも、想像力を働かせれば彼らが娯楽番組を作っていたことはある程度理解できます。もし、仮に食べるだけで痩せる食品があるとして、それを痩せたご老人や、拒食症などで痩せている方が食べたらどうなるかを想像してください。そのような食べ物がスーパーで簡単に購入できれば大変危険なことです。もちろん、納豆はそのような食品ではありません。
■参考記事:中国製ダイエット食品で死亡!
データねつ造以外の問題
恐らく今回の問題で、テレビの健康情報番組においてデータの偽装が行われることは少なくなるでしょう。しかし、仮にデータの偽装が100パーセントなくなったとしたら、安心して健康情報番組を見てもよいのでしょうか?私はそうは思いません。なぜなら、データの偽装がなくなっても次のような問題が残るからです。自分でも判断するために……ロジックのからくりを知ろう
例えば糖分(炭水化物)が豊富なAという食材と、糖分が少ないBという食材を共に「ダイエットに良い」と紹介する番組を作るとします。前者(A)の場合、糖分が多いので血糖値(血液中の糖分)を上げやすい。血糖値が上がりやすいと、早く満腹中枢を刺激し食べ過ぎを防ぐことができる。よってAはダイエットに良いという結論の番組が制作が可能です。
一方糖分が少ないBでは、糖分が少ないので血糖値を上げにくい。血糖値を上げにくい食品は、脂肪を溜める働きをするインスリンというホルモンの分泌を刺激しにくい。よってダイエットに良いと結論づけます。
つまり、切り口を「満腹中枢」にするか「インスリン分泌」にするかで、全く性質の違う食材でも共に「ダイエットに良い」という同じ結論に結びつけることは可能なのです。
上記は、発掘!あるある大事典も含む過去に放送された健康情報番組で実際に使われたことがあるロジックです。