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60代からの「終活」、まず何から? エンディングノートから始まる幸せな老後

60代になると、人生の折り返し地点を迎え「終活(シュウカツ)」という言葉が気になってきます。今後の老後生活へ不安を抱く人も多いと思います。学生の「シュウカツ」は、社会人に向けての活動の「就活」。人生の折り返し地点を迎えた人の「シュウカツ」は、老後生活に向けての活動の「終活」です。「終活」の目的は、自分のこと・自分の想いを大切な人へ残すことです。

執筆者:All About 編集部

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終活はいつから始めたらいいの?

みなさんは「終活は早いうちから始めましょう」という話は聞きませんか? よく分からないし、そのうちにと思っていると思います。終活は早すぎることはありません。思い立ったその日から始めることをおすすめします。いつかは始めたい、では、いつまでも終活を始めることはできません。
 
エンディングノートから始まる楽しい老後

エンディングノートから始まる楽しい老後



 

終活を始めるときは、身構えない

「終活」と聞くと、遺言書を書かなければならないのか、それとも相続の準備?とハードルが高いと感じるかもしれませんが、そんなに身構えることはありません。

例えば、子どもが帰省するタイミングで今後のことを話題にするだけでもいいのです。かしこまって家族会議をする必要はありません。大事なことは、文章にして書面で残すことです。「書面=遺言書」とは限らず他にもあります。遺言書は法的な効力があり、自分で書く「自筆証書遺言」(書き方は一定の決まりがあります)、公証人に依頼する「公正証書遺言」があります。遺言書が有効となるには一定の条件があり、自筆証書遺言は書き方を誤ってしまうと無効になります。遺言書ではなく、気軽に書き込めるので、おすすめしたいのがエンディングノートなのです。
 

エンディングノートの活用方法とは

終活の第一歩として、自分のことを、身近な人・大切な人に伝えるために作っておきたいエンディングノート。書店に行くと、いろいろなエンディングノートを目にすることと思います。目移りしてしまいますが、自分が使いやすいもので構いません。購入しなくても手持ちのノートでもいいのです。現在は、NPO法人や葬儀会社で終活無料セミナーも開催されており、参加するとエンディングノートがもらえることも。エンディングノートは、記入方法や記入例、記入項目が記載されているため書きやすいかもしれませんね。エンディングノートが用意できたら実際に書いてみましょう。大切なことは、読みやすく正確に書くことです。書く順番はありません。書きやすいことから書き始めましょう。例えば、自分の身近なことから記入してみるといいでしょう。
 

まずは自分のことを書いておこう

エンディングノートでまず書いておきたいのは、自分のことです。

【1】自分が生まれたところ(本籍)
【2】危篤になった場合や亡くなった時に連絡してほしい親友や友達・仲間の名前、連絡先
【3】自分が患っている病気や、通院している(通院していた)病院やなじみのお医者さん
【4】介護が必要になった時のこと(自宅にいたい、介護施設に入居したい)


ここまで書いていくと、エンディングノートを作成することの必要性を実感してくることと思います。過去に旅行した時のお気に入りの写真を貼り付けてみるのもいいと思います。懐かしい思いを抱きながら作成することができることでしょう。
 

資産について書き残すこと

自分の持っているお金についても記入しておくことが大事です。

【5】取引している金融機関(インターネットの取引も)
60代くらいの人は、複数の銀行や証券会社と取引している場合も多く、現在は使用していない休眠口座がでてくるかもしれません。書き出していくと意外なところに預金があったということがあるかもしれません。気づいていなかった自分の保有資産を把握することになります。使わない口座は解約して、必要な口座だけ残すようにシンプルにしておくといいでしょう。自分にとっても家族にとっても手続きが分かりやすくなることと思います。

【6】加入している保険
多くの人はなんらかの保険に加入しています。生命保険・医療保険・火災保険・自動車保険等。
証券番号や契約内容を記入するのは面倒かもしれませんが、保険会社から送られてくる契約概要を一緒にしておくと分かりやすいと思います。そういった書類がないのであれば、最低でも保険会社・保険種類を記入しておきましょう。

【7】自宅や不動産のこと
持ち家がある人は、自宅について家族と話し合いをすることが大切です。親は子どもの好きなようにしてほしいと思い、子どもは親の大切な自宅(不動産)を親の想いを大切にしなければとさまざまな迷いが生じ、結果空き家となることが多いのです。家族と話し合うことが難しいのであれば、自分が自宅について考えていることを記しておくことが大切です。法的な効力はありませんが、残された家族の負担を少なくすることができることと思います。家族が知らない自宅以外の不動産がある場合は、土地か建物か、所在地、所有名義も記入しておきましょう。

【8】葬儀やお墓のこと
残された家族は故人を安らかに見送りたいと思うものの、病院での手続き、葬儀会社・葬儀プランを決めるなど、慌ただしいことになります。葬儀会社や費用について記載しておくと家族が落ち着いて手続きを進められます。
 

エンディングノートを書く時の注意点とポイント

個人情報を詳細に書き過ぎないことも重要です。特に銀行口座等を書く際に注意が必要です。暗証番号やパスワード等、すぐにでも他人が引き出しできるようなことは書いてはいけません。万が一紛失した場合、知らないところで大切なお金を引き出されてしまう恐れがあります。印鑑の保管場所は、信頼できる人にだけそっとお伝えしておくのもいいかもしれません。

最後のポイントは、エンディングノートを伝えたい人が見つけることができるところに保管しておくことです。寝室やタンスの中とかもいいかもしれません。あとは、万が一のことがあったら、ここを探してねとお話ししておくのもいいかもしれません。
 
エンディングノートを書くと人生を振り返ることができます。今までの生活に感謝の想いを感じることにもなるでしょう。これからの過ごし方、考え方の道しるべとなり、心豊かにセカンドステージを過ごすことができることと思います。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

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