定年・退職のお金

年金額は毎年変わる、令和3年度からはどうなる?

老後の生活の中心となる公的年金ですが、その額は毎年変わるのをご存じでしょうか。今回は年金改定のルールと令和3年度の年金改定について解説いたします。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

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老後の生活の中心となる公的年金ですが、その額は毎年変わるのをご存じでしょうか。今回は年金改定のルールと令和3年度の年金改定について解説いたします。

《目次》
年金は3つの指標を参考に改訂されます
年金改訂のルールとは?
令和3年度の年金改定率は0.1%です
まとめ
 

年金は3つの指標を参考に改定されます

政府は年金制度を将来においても維持するために毎年4月に年金額の改定を行います。具体的には「物価変動率」「賃金変動率」「マクロ経済スライド(*)」の3つの指標を用い、既に年金をもらっている方(既裁定者)、新しく年金をもらう方(新規裁定者)のどちらも年金額が改定されるのです。

*公的年金加入者の減少と平均余命の伸びに基づきスライド調整率が設定され、その分を、賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から差し引く。将来世代の年金の給付水準を確保することにつながる。
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年金額は物価、賃金、マクロ経済により毎年改定されます

 

年金改定のルールとは?

本来は賃金が物価ほど上昇しない場合は、物価変動ではなく賃金変動に合わせて年金額を改定するルールになっています。しかし、例外規定もあり、賃金と物価がともにマイナスで賃金が物価を下回る場合には、物価に合わせて年金額を改定することや、賃金のみマイナスの場合には、年金額を据え置くことができるなど、これまでは既に年金をもらっている方の年金がなるべく減らないような措置が取られていました。

しかしながら今回この例外規定が見直され、賃金が物価を下回る場合には賃金に合わせて年金額を改定するよう本来ルールが徹底され、令和3年4月以降の年金額に反映されました。
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物価より賃金が低下すると改定率は賃金に合わせて低下します


そもそも公的年金は現役世代の支払う保険料を現在の年金受給者に支給する「賦課方式」です。支える側の賃金が減少しているのに受給側の年金額が据え置かれるのはどうかとの現役世代への配慮から今回の改定にいたっています。

《参考》厚生労働省 「賦課方式と積立方式」
 

令和3年度の年金改定率は0.1%です

令和3年4月以降の年金改定率は0.1%の引き下げとなりました。具体的にはどれくらいの引き下げ額なのでしょうか。厚生労働省は67歳以下で新しく年金をもらう方(新規裁定者)の具体例をあげています。
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令和3年度新規裁定者の年金減少額。図は厚生労働省のHPより抜粋


この資料によると令和3年4月以降は昨年度より国民年金で1人66円、厚生年金で夫婦2人世帯として228円月額が引き下げられることが分かります。

なおこの金額はあくまでも上記ケース(67歳、新規裁定者)でのものです。特に厚生年金の額は「平均的な収入で40年間就業した場合」のモデルケースですので、人によって受給額自体が大きく異なりますのでご注意ください。

《参考》厚生労働省 Press Release
 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は年金改定のルールと令和3年度の年金改定率および金額について解説してみました。少子高齢化に伴い年金制度を支える若い世代が少なくなる一方で年金をもらう世代は増えていきますので、制度を維持するために物価や賃金、社会情勢に応じた年金改定のルールが作られています。しかしながら受給額が減ることはあっても増えることはなさそうですので、今後は公的年金以外にも老後に備えた自助努力が必要になってくるのではないでしょうか。

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