60代になるとなんとなく「引退」を意識するタイミングになって、投資をする意義を感じられないかもしれません。でも人生100年をベースにすると、あと40年生きることになります。70歳まで働くとしても、その後のお金の不安が出てきてしまいます。セゾン投信の中野晴啓会長は60代の投資をどう考えているのでしょうか。

今回の質問はこちら。

Q:もう60代です。老後のお金が足りなくて不安ですが、「引退」を考えたら、年齢的にも投資はやめたほうがいいですか?

 

60代、投資する意味はあるのか?

中野さん:人生100年時代を考えると、60歳でもあと40年生きる可能性があります。これだけの時間があるならば、投資をする意味もありますし、長期運用も十分できますよね。

でも60代になると、人生の折り返しもすぎたことだし、時間がないという感覚にもなります。時間がないから儲からないという発想ですよね。その背景には、すぐに結果が出てほしいという気持ちがあるのですが、そもそもそれは無理な話です。60代だから無理なのではなくて、30代でも40代でもすぐに結果を出すのは無理なのです。
 

60代でお金がないのは、それまで我慢をしてこなかったから

中野さん:2019年に話題となった「老後資金2000万円問題」をきっかけに、老後資金2000万円を一つの指標にしている人もいるかと思います。金融庁の「高齢社会における資産形成・管理」(※1)には、年金をもらっていたとしても老後資金は2000万円不足するという記述がありました。

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-」(※2)によると、世帯主が60歳以上で2人以上の世帯の場合、2000万円以上の貯蓄があるのは39.5%。6割は2000万円には足りていないようです。

参考資料
※1「高齢社会における資産形成・管理」金融庁
※2「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-」総務省統計局

もしも60代で老後のためのお金の準備が進められていないとすれば、これまで我慢をしてこなかったことも原因ですよね。投資資金を優先的に確保したり、欲しいものを我慢したりすることを怠ったわけです。

だから60代になった今、我慢をすることになっていますよね。75歳までに一定のお金、例えば2000万円を作るとしたら、毎月10万円は投資していく必要があると思います。それぞれの状況によって異なると思いますが、月10万円は、正直キツイ金額です。でも、ここで我慢をして投資をしていけば、75歳以降の人生は変えることができます。僕はそう信じています。
 

もっと早くからやっておけばよかった

後悔する人も少なくない

後悔する人も少なくない

中野さん:僕はずっと資産運用の世界にいて、これまで多くの長期投資家の方にお会いしてきました。もちろん50代、60代の投資家もいます。そういう方が口をそろえて言うのは「もっと早くからやっておけばよかった」ということなんです。もし30代から始めていたら……と考えてしまうのでしょうね。
 
確かに早くから始めれば時間をかけられる分、お金は増えていきます。だから僕は、若いうちから投資を続けていきましょうと言ってきました。

一方で50代、60代でも遅くはないことも伝えたいですね。重要なのは「投資をやるかやらないか、続けるか続けないか」なんです。個々人がこれからの人生を見据えて、自分でお金を作っていくことが求められます。幸い最長20年の非課税期間がある「つみたてNISA」(※3)など、投資のインフラは整ってきています。今からスタートすること。これが人生を豊かにしていく最善の方法なのです。
 
参考資料
※3「つみたてNISA」金融庁
 

教えてくれたのは……
セゾン投信株式会社 代表取締役会長CEO 中野 晴啓(なかの はるひろ)
セゾン投信の中野晴啓会長

セゾン投信の中野晴啓会長



1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾンインベストメント事業部長を経て、2006年セゾン投信株式会社を設立。2020年6月より現職。現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売しており、顧客数は約15万人、預かり資産は4000億円を超える。一般社団法人投資信託協会理事。公益財団法人セゾン文化財団理事。著書に『預金バカ』(講談社+α新書)、『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』(ダイヤモンド社)など。
 

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