収入や家計管理などお金の話をするのはタブーと言われることが多い一方で、「お隣さん」が気になるのも事実。そして他人と自分を比較して、「もっと稼ぎたい」と思うのも正直なところではないでしょうか。セゾン投信の中野晴啓会長に、年収を上げるための方法を教えてもらいます。
 
今回の質問はこちら。 

Q:実際、みんなどのくらい稼いでいるのでしょうか。どうすれば稼げるようになりますか?

 

他の人はどのくらい稼いでいるのか

中野さん:国税庁が発表した「令和元年分民間給与実態統計調査」では、全体の平均給与は436万円。男女別で見ると、男性540万円、女性296万円で、平均は436万円です。男性では年間給与額400万円超500万円以下が最も多くて532万人(構成比17.5%)、女性では100万円超200万円以下が526万人(同23.7%)で最多になっています。
 
■年代別の平均給与
30~34歳:410万円
35~39歳:445万円
 
40~44歳:476万円
45~49歳:499万円
 
50~54歳:525万円
55~59歳:518万円
 
60~64歳:411万円
65~69歳:324万円
 
30代から50代にかけて平均給与は上がっていきますが、60歳を超えると一気に100万円以上下がります。これが今の日本のリアルです。
 
参考資料
令和元年分民間給与実態統計調査 」国税庁
 

収入を上げるためにすべきこと

中野さん:このような社会の中でも収入を上げたいと思うならば、最終的には「プロフェッショナル」になることです。これは一朝一夕にはできなくて、とても時間がかかること。プロフェッショナルに到達するには、挫けそうになることもあります。

僕がクレディセゾンに入社した時は、婦人服の販売をしたいなと思っていました。僕自身、ブランドの服が好きだったんですよね。でも配属されたのは運用会社で、その後のローテーション人事からはずれて異動することもなく……。今思えば、異動がなかったことが何よりの幸運でした。運用会社では先進的な金融のことを学ぶことができて、結果的に僕の専門性を磨くことにつながりましたから。それが30歳の頃です。
 
特技を磨いていくと、その分野では他の誰にも負けないくらいの経験や知識が積み上がって、プロフェッショナルになれます。「この道で飯を食っていこう」という覚悟もできて、他に楽しそうな仕事があっても見向きもしなくなります。

要するに割り切れるんですよね。そうして特定の分野を深堀りしていくことで、ますますプロとしての技量を磨くことにつながります。会社としてもその人の価値と必要性を認めるようになり、それに見合った給料を支払おうという気持ちになります。

プロフェッショナルは他の会社でも需要があるので、転職して所得を上げることも可能となります。ですので収入を上げたいと思ったら、プロを目指して努力を惜しまないことです。時間はかかりますが、結果的にそれが一番の近道だと思いますよ。
 

人とのつながりを大切にしてきた

中野さん:僕はずっと社外の人との出会いやつながりを大切にしてきました。それは今も変わりません。理由は、人との縁がチャンスにつながるからです。

僕にとって最も大きな出会いは、さわかみ投信の澤上篤人会長です。投信会社を作ろうと何度も相談に伺う中で、僕を叱咤激励してくれました。「お前は何もわかってない」と怒られたこともありましたよ。でも僕は自分の考えを澤上さんに何度も何度も話しました。だから澤上さんは僕を信用し認めてくれて「俺が協力してやる」と言ってくれたんです。

そして大切なのは、1回話を聞いて終わりにするのではなくて、相手に自分の本質を理解してもらうため、誠実に接することです。同時に自分なりの意見をきちんと伝えること。そうすれば情熱が伝わり、関心を持ってサポートしてもらえるようになります。それが大きなビジネスに発展することもあるのだから、相手があきれるくらい熱心に話を聞きに行ったり、意見をぶつけていけばいいんです。
 

評価の基準の1つは「提案・行動・実践」

中野さん:僕が「この人なら給料をアップさせてもいい」と思うのは、自発的に提案ができて、実現のために行動して、責任を持って自己完結できる人です。指示待ちではなくて、どうすれば実践できるのかを、自分の頭で考えられる人ですね。受け身でも評価される時代は終わっているのだから、積極的に動ける人は価値を高められるはずです。
 

仕事をしたくないなと思ってしまうのは……

中野さん:一方で評価が下がってしまうのは、約束を守らない人です。例えば僕が仕事を任せた時には「やります!」と言うけれど、実際にはやらない人です。仕事が面倒そうだったり、時間がかかりそうなんて時には、そうなってしまうこともあります。

その人は僕が仕事を頼んだことを忘れているだろうと思っているし、むしろ忘れるのを待っているのでしょうけれど、ちゃんと憶えていますよ。受けた仕事をきちんとやらない人は、僕の中で大きく信頼を失います。
 
もしどうしても時間がかかってしまって、期日までに終わらない時には、もう少し時間が欲しいということを正直に伝えればいいんです。そうすれば時間はもらえます。それに仕事を頼んだ方も「ちゃんと進めているんだな」とわかって安心できますよね。そういうコミュニケーションも必要だと思いますよ。
 

やっぱり「会社愛」を一番の採用条件にしたい

中野さん:会社を経営する立場として採用にも関わりますが、その時に会社に対してどれだけの愛があるのかも見ています。「会社愛」と呼んでいますが、「お客様全部主義」というセゾン投信の理念に共感していることは、僕にとっては最も優先したいことでもあるんです。

それは価値観を同じにすることでもあるのだから、経営者の僕からすれば譲れない最重要項目です。採用の時など、初めて会う人でも会社愛が分かるのか?と思うかもしれませんが、話をすればわかりますよ。上っ面ではないなってことは、伝わってくるものなのです。

だからその会社に入りたいと思ったら、会社の理念を深く理解する努力とともに、そこに共鳴する想いを自分の率直な言葉で伝えましょう。経営者は、ここを見ているものですよ。

――次回は「これからの30代は何にお金を使ったらいいのだろう」です。

教えてくれたのは……
セゾン投信株式会社 代表取締役会長CEO 中野 晴啓(なかの はるひろ)
セゾン投信の中野晴啓会長

セゾン投信の中野晴啓会長



1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾンインベストメント事業部長を経て、2006年セゾン投信株式会社を設立。2020年6月より現職。現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売しており、顧客数は約15万人、預かり資産は4000億円を超える。一般社団法人投資信託協会理事。公益財団法人セゾン文化財団理事。著書に『預金バカ』(講談社+α新書)、『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』(ダイヤモンド社)など。
 

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