今回の質問はこちら。
Q:お金はどうやったら増えるのでしょうか?
お金を増やすのは時間がかかる
中野さん:まず「お金を増やすためには時間がかかる」ことが大前提です。目先のことだけを考えるのではなくて、成長が見込めるところにお金を投入することで、お金はしっかり働いて、大きくなって戻ってきます。そのためには時間をコミットすることが、最も大切なことですよね。いつから始めればいい?
中野さん:ではいつから始めればいいのか?という疑問もあるのですが、それは安く買いたいからそう思うわけですよね? でも底値がいつなのかは、誰にも分からないんです。分からないからこそ、コツコツ積立投資をすることがもっとも有効な手段になるんです。仮に日経平均株価が3万円のときに始めるとして、今後大きく下げる場面もあるでしょう。下がるのは誰も株を買わないからですが、積立投資をしていれば自動的に買うことができるのです。みんなが買わないときに買う側になれるのは大きなメリットですよ。なぜなら、株式市場が永遠に下がり続けることはなく、いずれ回復していくからです。
どこに投資をすればいいのか?
中野さん:日経平均株価は日本経済を反映しているのですが、今後日本経済が劇的に成長することはないと思いますね。例えばどの家にも家電があるし、生活に必要なものはそろっています。すでに日本は「成熟経済」になっているので、ここから高度経済成長のようなことは起きないでしょう。ということは日本経済だけに目を向けるのではなく、長期的な経済成長が見込める市場に投資をする必要があるということです。それが世界経済です。
世界を見れば、投資のメイン市場を変えていけばいいことが分かります。例えば中国の成長が見込めないなら次はインド市場というように、自分で判断して乗り換えてもだいたい失敗します。だから世界全体をパッケージにして保有する投資スタイルが合理的なやり方で、これを実現させるのが国際分散投資です。今はこの方法がスタンダードになってきているので、投資信託を買うにしても国際分散かどうかで判断する人も増えていますよね。
投資資金はどうやって作ればいい?
中野さん:投資をするには、お金が必要です。でもそのお金がなかなか作れないという声もありますよね。実生活で使うお金を優先したら、投資資金ができないケースもあるでしょう。でもお金を作る努力はできると思います。そもそも投資資金の額は決して大きくないんです。5000円から始められる投資信託(ファンド)もあります。ひと月5000円のための小さな節約も有効ではないでしょうか。大切なのは、投資資金を優先的に考えることです。多くの人は家賃や光熱費、携帯代などの固定費を先に考えますよね。そこに投資資金も入れてほしいです。その上で、残ったお金で生活ができるようにする。この考え方はとても重要だと思いますね。
――次回は「30代は投資をどう考えればいいですか?」です。
教えてくれたのは……
セゾン投信株式会社 代表取締役会長CEO 中野 晴啓(なかの はるひろ)
セゾン投信の中野晴啓会長
1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾンインベストメント事業部長を経て、2006年セゾン投信株式会社を設立。2020年6月より現職。現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売しており、顧客数は約15万人、預かり資産は4000億円を超える。一般社団法人投資信託協会理事。公益財団法人セゾン文化財団理事。著書に『預金バカ』(講談社+α新書)、『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』(ダイヤモンド社)など。
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