お金の悩みを解決!マネープランクリニック/病気、ケガ、心の病等がある方のお金悩み相談

41歳子ども3人、貯金は1150万円。手術後の病気療養のため近々退職します(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、3人のお子さんを持つ41歳会社員女性 。病気となり会社員を続けることが難しくなったため、共働きで支えていた家計に大きな不安を感じているといいます。今後のマネープランの考え方について、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 家計管理と自身の治療に専念

今後のマネープランですが、いうまでもなく、はちこさんの治療、健康回復が最優先となります。実際にいつ退職されるかは不明ですが、ここでは、今退職されたとして、5年後に働き始めるという設定でシミュレーションをしてみましょう。
 
児童手当はあとでまとめて試算するとすれば、世帯収入はご主人だけとなります。給与は手取り18万8000円。毎月の支出が23万3000円ですから、毎月4万5000円の赤字です。一方、ボーナスはこれまで年間10万円が貯蓄に回っていましたが、はちこさんのボーナスがなくなると、年間20万円の赤字となります。毎月の生活費と合わせて年間74万円の赤字となります。
 
ただし、前職の経験、技術を活かせる副業があります。その分、ご主人に負担がかかりますが、この収入はとても大きいです。今後も年間50万円程度の収入になるとして、全額は無理だとしても極力赤字の補てんに回すとすれば、先の赤字額は半分程度にはなるはず。
 
5年間この家計収支が継続すると赤字額は180万円ほど。しかし、ここには児童手当は加味していませんし、支出となっている学資保険の保険料は貯蓄と同じです。そう考えれば、この間も家計は黒字が保たれていると言ってもいいでしょう。これは生活費がしっかり抑えられているということも意味します。したがって、自身に収入がないことをストレスにせず、これまで同様、上手に家計管理をしながら、まずは健康回復に専念してほしいと思います。
 

アドバイス2 月8万円の収入なら老後資金も作れる

次に、6年目以降を考えます。もちろん、はちこさんの治療がどうなるかは不確定ですし、さらに治療が必要ならそれが最優先となりますが、試算として、パートなら体力的に働くことが可能になったとします。
 
パート収入を仮に8万円とすれば、毎月3万5000円の貯蓄ができます。さらに5年後は学資保険の支払いが終わりますので、それも貯蓄に回るとすれば、4万8000円が可能となります。一方、ボーナスは今と同様の支出があれば年間20万円の不足。それでも副業で継続して収入を同程度得られているなら、そこで10万~20万円の貯蓄はできるでしょう。この収支が定年までの15年間継続されれば、1100万円ほど新たに貯蓄ができます。
 
他に、収入として児童手当の今後受け取れる総額が340万円ほど。学資保険の満期金が300万円。今ある貯蓄と投資商品が合算で1150万円(投資商品は変動なしとする)。対して支出分として、当初5年間の家計赤字が180万円。これらを相殺すると1610万円。先の貯蓄の上積み分と合わせて2710万円となります。
 
ここから大きな支出を差し引きます。まず教育費。お子さん3人とも、高校までは公立、大学は私立文系とすれば、ざっとですが合計2000万~2300万円(塾、習い事等の学校外教育費を含む)といったところでしょうか。

ただし、毎月5万5900円を教育費として、ご主人60歳までの20年間、計1340万円ほど計上しています。したがって、この試算では新たに貯蓄から差し引くのは多くて1000万円程度ということになりますので、手持ち資金としてまだ1700万円残ります。
 
次に大きな支出がクルマの買い替え。現在のクルマが7年乗られていて、5年後に買い替えとなると、定年までに2回は買い替えとなります。予算が1回で400万円とのことですから、2回で800万円。結果、手元に残るのは900万円。ただ、実際は親御さんからの借り入れの返済も途中で終わっていますので、1000万円は残ることになります。したがって、これに退職金1000万円を加えた2000万円が、はちこさんご夫婦の老後資金となるわけです。
 
ご夫婦とも65歳まで貯蓄を取り崩さない程度に働いて収入を得るとします。65歳からは公的年金が支給されますが、実際の支給額は不確定です。ただ、現在の生活費(ボーナスからの年間支出も加算)から考えて、老後の生活費は公的年金だけで生活できる可能性もあります。仮に月2万円不足でも、35年間100歳まで生きたとして、貯蓄から取り崩すのは840万円。残りの1160万円を、住宅のリフォーム、クルマの買い替え、その他予備費(医療費など)に充てるとして、終身保険の解約返戻金も考えれば、決して資金不足で大きく困ることはないと考えます。
 

アドバイス3 親への返済はしばらく休止に

ただし、あくまで試算です。リスクがないわけではありません。
 
はちこさんが5年後には体調が戻ってパートで働くことができるかどうか。ご主人の昇給を期待できる半面、副業での収入が継続するかどうかは不確定です。また、現在のお住まいを考えると、お子さん3人全員、自宅から通学できる大学に入学できるかどうか。他県の大学に進学すると生活費として、いわゆる「仕送り」も別途必要となるでしょう。
 
したがって、はちこさんが5年後にパートで月8万円は、教育資金、老後資金を用意できる収入として、ひとつの目安となると言えるでしょう。一方で、何があるかわかりません。今からできるリスクの備えはしておきたいところです。
 
まず家計の見直し。先にも触れましたが、家計はよく管理されています。ただし、保険は、ご主人の死亡保障が不足しています。死亡保障1500万円を、保険期間20年の定期保険か同等の保障額の収入保障保険で、新たに確保します。保険料は4000円台でしょう。それと、はちこさん加入の変額保険。老後資金を目的に入られたと思いますが、まだ教育費のピークも来ていません。ここでは払済保険にします。浮いた保険料がちょうどご主人の死亡保障の確保に回ります。
 
もうひとつ、親御さんへの返済は、しばらく休止されてはどうでしょう。はちこさんが働けないのは、イレギュラーで想定外の事態です。結果的に、全額返済するとしても、しばらくは親御さんに甘えて、できるだけ現金を増やしておくことが重要です。
 
あとはご夫婦とも65歳以降も元気であれば働く。また、無理は禁物ですが、はちこさんも体力的に可能なら5年後にフルタイム勤務を目指すことも可能かもしれません。そうなれば世帯収入も増えるのはもちろん、公的年金も増やすことができます。
 
ともあれ、家事、育児ももちろん大変ですが、今後5年間は働くことはせず、しっかり病気を治すことに専念してください。
 

相談者「はちこ」さんから寄せられた感想

今回はこのような機会を与えていただき、本当にありがとうございました。病気が判明し、この先の治療に不安を感じるばかりかお金まで心配しなければならず、途方にくれておりました。今回ご相談させていただき、まずは療養をと言っていただいたこと、また生活が成り立ちそうなことを教えていただき、本当にほっとし、涙が出ました。また主人の保険などもどうしたらいいかわからなかったので、さっそくそのようにしたいと思います。幸いにも、周囲の方々に恵まれ、職場からは無理のない範囲で残ってほしいと、短い時間働かせてもらったり、両親や兄弟からお金の援助の申し出もありました。これからしっかり療養し、恩返しができるよう生きていきたいと思います。本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武



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