日本は地震活動期に

東日本大震災から10年、あらためて見直したい企業の災害対策

東日本大震災から10年、あらためて見直したい企業の災害対策

10年前の3月11日、筆者は仕事の関係でたまたま東京におり、帰宅難民の波に巻き込まれていました。防災サイレンが鳴り響くなか、ある幼稚園ではヘルメットを被った幼児を次々と親が迎えにくる光景がありました。この幼稚園では人数分のヘルメットを用意するなど、常日頃からしっかり備えていたようです。

『首都直下地震と南海トラフ』(MdN新書)によると3.11の東日本大震災は1000年に1度の大震災だったと記載されています。今から1000年前の平安時代、三陸沖を震源とする貞観地震が発生し、その後、地震が頻発し京都の祇園祭が生まれたきっかけの一つにもなっています。貞観地震の5年前には富士山で大噴火が起き、青木ヶ原樹海ができました。また9年後には相模・武蔵地震が起きました。相模・武蔵は今の東京都、神奈川県、埼玉県なので首都直下型地震です。1000年前と同様に東日本大震災を契機に日本列島は地震活動期に入った模様です。

また東日本大震災によって日本列島は東側に5.3m移動してしまい、また1.6m沈降したところもあり、この修復作業で地震が頻発するといわれています。室津港の地震時の隆起量が南海地震の間隔と規則性があり、規則に当てはめると次回の南海地震は2035年と想定されています。前後5年で考えると2030~2040年が危ない年になります。地震予知はムリですので、備えるしかありません。

就業時間中に地震が起きて3.11のように社員が帰宅難民になることもあります。3日間程度の食料など防災用品は社内に備蓄しておきましょう。
 

携帯の緊急連絡網だけではダメ

まず守るべきは社員の安全です。なにかあっても連絡ができるようにしておきましょう。1995年、阪神淡路大震災の時、当初は固定電話は使えずあまり普及していなかった携帯電話が通じました。ただし携帯電話が被災地で通じることが分かり大量に持ち込まれたことで、携帯電話も通じなくなりました。

また現地の情報が伝わらないないなか、インターネットを通じて大学や役所が情報発信し、貴重な情報伝達になりました。阪神淡路大震災の2年前に商用インターネットサービスがはじまったインターネット黎明期でしたが、地震でインターネットの有効性が実証されました。

3.11では携帯電話での通話ができなくなりましたが、スマートフォンを使いTwitterなどのSNSで連絡ができました。多くの企業では携帯やスマホの番号を記載した緊急連絡網を作成していますが、地震の時は通話規制がかかるので役立ちません。あわせてSNSのアカウントなどを記載して補完しておくか、会社にSNSのアカウントを知られたくないという従業員も多いので、費用はかかりますが企業向け安否確認システムを導入するのもよいでしょう。
 

BCP(事業継続計画)を作成する

BCP(事業継続計画)を作成する

BCP(事業継続計画)を作成する

地震以外に火災や洪水など様々なリスクに備えていく必要があります。BCP(事業継続計画)は難しく考えず、まずは業務の棚卸から始めましょう。会社の根幹で絶対に止めてはいけない業務と、例えば社員の交通費精算など後回しにしてもかまわない業務に分けます。

絶対に止めてはいけない業務でも濃淡があるので優先順位をつけましょう。対策をすればするほどコストがかかりますので、全部を対策しようとするのではなく上位3つに絞り込むなど身の丈にあった対策にしましょう。

例えば製造業であれば製造ラインを止めるわけにはいきませんので、ラインが止まった時に誰が出勤して、どう復旧するのか、どの製造ラインを優先するか、取引先への連絡をどうするのかなどを事前に決めておきましょう。実際に事が起こった時には想定した通りにいかないかもしれませんが、何かガイドラインがないとパニックが起きた現場では右往左往するだけです。無駄な時間を減らすためにも指針になるものは用意しておきましょう。

仕入れがあれば仕入れ先についても考えておかなければなりません。仕入れがストップした時に代替えできる事業者をリストアップしておきます。自動車の部品メーカーで危険分散のために2社から仕入れをしていましたが、その先の材料メーカーが1社で、そこから2社とも仕入れていたことがあります。

材料メーカーがストップしてしまったために、結局、自動車メーカーの生産ラインがこれで止まったことがあります。苦い経験をした自動車メーカーでは仕入れ先のさらに先の先まで、どういう流れになっていて、どこが止まると致命的か把握するようにしています。大手企業ではなくそこまではムリでも、仕入れ先の一つ先ぐらいはできたら把握できるようにしておきましょう。

業務を止めないように手を打ったつもりでも実際は何が起きるか分かりません。もし止まるような事態になれば自社の状況はもちろん仕入れ先の状況などを含め、取引先に復旧見通しなどをタイムリーに伝達しましょう。必要な情報をタイムリーに伝達することが信用となります。
 

対策には減災という考え方がある

昔、大雨が降ったら川は氾濫するのがあたりまえでした。生活の知恵から生まれたのが流れ橋です。橋の台や橋脚を守るために上にわたしている橋板は流れてもかまわないという考え方です。橋板が流れない橋を作ると上流から流れてきた流木などで橋だけでなく橋の台や橋脚などの土台部分も壊されてしまいます。台や橋脚だけは守ることで橋板だけをかけ替え、橋の復旧作業を迅速にできる考え方です。

システムでは冗長度を上げる仕組みが減災となります。新システムを開発してクラウドに移行した場合、余裕があるのなら旧システムをしばらく置いておけばクラウドが使えなくても旧システムに戻して、しのぐことができます。コストはかかりますが別事業者のクラウドを借りて、新システムと同じものをおいておくのも一つの方法です。バックアップしたデータからいち早く復旧することができます。

会社によっていろいろなやり方がありますが、日本でビジネスを展開していく限りは災害を避けることはできません。東日本大震災から10年を迎えた今、あらためて見直し備えていきましょう。

・参考記事:YouTubeが使えるのは海底ケーブルのおかげ
 


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