東大生はやらない? 努力しても無駄な勉強法
努力しているのになかなか成績が上がらない人の残念な勉強習慣とは
「勉強は書いて覚えるのが当たり前」と思っている人がいかに多いかを物語っています。
高校受験や大学受験を目指す生徒の中で、努力しているはずなのになぜか成績が伸びない人っていますよね。つまり無駄な努力をしている人です。東大生が指摘する勉強法をヒントに、やってはいけない勉強法とその対処法を紹介します。
「書きまくって覚える」ことの罠
何回も書きまくって覚えようとする勉強法は、ただ書くことが目的になってしまい、その意味や背景までは深く理解されないため、時間が経てば忘れてしまいます。さらに、書きまくる勉強法を実践している人の多くが陥りがちなのが、次のような致命的なミスです。例えば、日本に来航したロシア人の「ラクスマン」を覚えるために、ノートに「ラクスマン、ラクスマン、ラクスマン、ラクスマン……」と何回も書き取ったとします。そして「1804年、長崎に来航したロシア人は?」という問題で、喜び勇んで「ラクスマン」と答えてしまうのです。しかし、長崎に来航したのはレザノフで、ラクスマンが来航したのは根室なので、これでは不正解です。
ノートに何回も人物名だけを書き取りしても、これではカタカナの練習にしかなりません。なぜなら、「根室-ラクスマン」「長崎-レザノフ」と来航した場所と名前をセットで覚えなければ、テストでは点数がとれないからです。無駄な労力以上に成果が出ない、最もやってはいけない勉強法です。
英単語を覚えるときも同様です。また、数学の参考書の解法や歴史の要点のまとめを色ペンを駆使して全部きれいにノートに写し、それで満足している人もいます。きれいにノートに書いただけの成果を、得意げにSNSで投稿している人はさらに残念です。
学習科学で効果的な「テスト効果(testing effect)」
このように成績が伸びない人ほど、「何のために覚えるのか」というねらいがあやふやなまま、ただ漠然と勉強(のような作業)をやっています。書くことが「目的」になってしまい、肝心の「覚える」ということが二の次になってしまっているのです。英単語にしろ歴史の重要人物にしろ、覚えることがねらいですから、必ずしも書く必要はありません。実は学習科学では、覚えるためなら「テストをしてみる」のが一番効果的なことがわかっています。
英単語を覚える場合、「supply(英単語)」→「供給する(和訳)」と一問一答形式で解いてみるのです。歴史の問題なら、「根室に来航したロシア人は?」→「ラクスマン」、「長崎に来航したロシア人は?」→「レザノフ」と一問一答式で答えられるようになるまで続けます。
このようにテストのような一問一答形式をくり返しながら勉強すると効果が高いことを「テスト効果(testing effect)」と呼んでいます。
テスト効果を使えば、書かなくても覚えられる
学習科学の知見に基づいて英単語集の単語を覚える場合、次のような手順でなるべく書かずに覚える方法があります。- 赤シートで英単語の意味(和訳)を隠す
- 英単語を見て意味(和訳)を言ってみる
- 意味が合っているかどうか確認する
- この手順を5~7周くらい続ける
- どうしても覚えられない単語にはチェック印をつけておく
例えば、supplyなら「供給する」と意味がすぐに言えるようになるまで、くり返し声に出して言ってみます。ライティングの練習のためなら、「サ=su」「プ=pp」「ライ=ly」と読みと対応させながらつづりを指で空書きします。
そしてここが最も重要ですが、何回やっても意味が言えなかったり間違えたりする単語には「チェック印」をつけておきます。その後は、チェック印をつけた問題だけを重点的に復習します。すでに覚えた単語を何回も復習するという無駄が省け、まだ覚えていない単語を覚えるのに時間や労力を費やすことができるからです。
最後にひと通りおさらいテストをしてみて、全部覚えたかどうかを確認します。
このように英単語とその意味、問題と答えを一問一答式で覚える方法は、テスト効果と呼ばれる学習効率が高い勉強法です。
「書いて覚える」と思っている人は、書かなくても覚えられる方法があることに気がついていません。書くことは目的ではなく、方法のひとつでしかありません。覚えるのが目的なら、一問一答式で「テスト効果」を利用して覚えるのが最も効率的です。
【関連記事】