定年・退職のお金/老後の生活設計・ライフプラン

貯金がゼロだとどうなる? 50代からの脱出の方法とは

老後は働けなくなる可能性もあるため、生活していくには年金と貯金が必須です。ただ、このご時世なかなかお金が貯まらず、貯金がゼロという方もいます。もし50代で貯金ゼロだったらどうやって挽回すればいいのでしょう?

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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2人以上世帯の約10%が貯金100万円以下

総務省の『家計調査』(貯蓄負債編・令和3年7月から9月期)によれば、2人以上世帯の約10%が貯金100万円以下なのです。別のデータ、金融広報中央委員会による令和3年『家計の金融行動に関する世論調査』(2人以上世帯)によれば、金融資産を保有していないと回答した世帯が2.5%で、令和2年の1.5%より増えています。

貯金がない場合、どうやって挽回する?

貯金がない場合、どうやって挽回する?

貯蓄なしでイザという事態が起きたときにはどうするのでしょうか? 今回は50代で「貯蓄がない」という状態なら、どう暮らしていけばいいか考えてみましょう。
 

貯蓄がなければ収入を増やそう

貯蓄がなければ、収入を増やさなければなりません。収入を増やすには月並みですが、まず「働くこと」です。国税庁『令和2年分民間給与実態統計調査』よると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は約433万円(つまり年収)、そのうち正規雇用は約496万円、非正規雇用は約176万円です。
 
貯蓄は生活次第とはいえ、非正規の平均年収で貯蓄をするのは難しそうです。収入を増やすには副業も視野に入れた方がよさそうです。

厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A』(2021年・令和3年7月改定版)によれば、会社は「労務提供上の支障がある場合」「業務上の秘密が漏洩する場合」「競業により自社の利益が害される場合」「自社の名誉や信用を損なう行為がある場合」など、限られた場合でしか、労働者の副業・兼業を禁止することはできません(ガイドライン51頁)。
 

収入よりも支出が少なくなるような堅実な生活をする!

そして、50代から貯蓄するには収入よりも支出を少なくするということを厳守しましょう。副業で収入を増やすことが体力、気力、職場の事情で難しい場合は、支出を減らす生活を心がければ大丈夫です。
 
特に家賃を支払っている場合は大変ですが、実家に戻る、家賃を友人とシェアするなどの工夫をして最大の固定費を節約しましょう。住宅ローンも早く支払えば負債が減るのですが、無茶は禁物です。手取りの20%以内に収まるようにしましょう。
 
食費節約のためにも、なるべく自炊しましょう。スマホ代など通信費も最近では安いプランや電気・ガス代を込みにすると割引を受けられるサービスなどがたくさん出てきています。自分の生活にあったプランに見直しましょう。
 

退職したら、雇用保険の給付金を

貯金ゼロの人がもし退職してしまったら、失業等給付など雇用保険の給付金を迷わずもらうことです。解雇や雇止めなら、待期期間がなく支給されます。どんな職場でどんな状況で退職しても「離職票」は会社から必ずもらいお住まいの地域のハローワークで手続きしましょう。次の職がなかなか見つからなくても、公共職業訓練を受けて失業手当を延長することも可能です。雇用保険にはさまざまな給付金がありますので聞いてみましょう。
 

年金保険料・国保料を支払えない場合は、免除・猶予の申請を!

60歳になると年金を繰り上げ受給できるのですから、将来の収入確保のために年金を少しでも多くもらえるようにしなければいけません。だから、どんなにお金がなくても「国民年金保険料を滞納」するのはNGです。
 
国民年金保険料が支払えなくなったら、お住まいの地域の年金事務所や市区町村役場で必ず「免除申請」をしましょう。過去2年にさかのぼって免除申請できます。国民健康保険料も失業などの場合、減免措置を設けています。市区町村役場で相談しましょう。
 

つみたてNISAなどで強制的に引き落としになるようにする

50代で貯蓄を増やすのに、おすすめするのは、ネット証券なら月100円からできる「つみたてNISA」です。品ぞろえが投資信託のみなので元本保証ではありませんが、株式(個別銘柄)や外国通貨より値動きが安定しています。

「つみたてNISA」の品ぞろえは金融庁で選び抜いた投資信託ですし、販売手数料がないのも魅力です。預貯金より資金を増やせる可能性が高いでしょう。ネット証券に口座を作ってみてはいかがでしょうか?
 
50代は年金をもらえるまでに間があり、しかも万一失業などをした場合、次の職が見つけづらい可能性もあり、貯蓄はあった方が安心です。少しでも増やしていけるよう、意識していきましょう。
 
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【参考資料】
「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](令和3年)
「副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A」(令和3年7月改定版)
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