すでにアップしたコラムに「持続化給付金で給付が留保されているケースとは?」があるのですが、それ以上に「家賃支援給付金」では、書類の不備により審査に時間がかかっているケースが増えていると聞いています。
不備の内容ですが、「持続化給付金」の不備と共通なものも多いのですが、「家賃支援給付金」特有のものもあります。そこで、ここでは「持続化給付金」の不備と共通なものに注意しつつも、「家賃支援給付金」の支給申請で特有な不備についてどのようなケースがあるのか、代表的なものをとりまとめてみました。
ではまず「持続化給付金」の不備と共通なものからまとめていきます。
家賃支援給付金と持続化給付金で共通している申請書類全般の注意点
家賃支援給付金および持続化給付金を申請する上での一般的な注意点として- 添付ファイルにパスワードが設定されている
- 画像がぼやけて情報が判読できない
- 撮影時の角度により、必要な情報が撮影範囲から見切れている
- 画像処理ソフトで「JPEG」形式に変更する
- iPhone / iPad 設定>カメラ>フォーマットより、カメラ撮影を「互換性優先」にしてから添付書類を撮影する……「JPEG」で保存される
- iPhone / iPad 設定>カメラ>設定を保持より、「Live Photos」モードをオフに変更してから、添付書類を撮影する……「JPEG」で保存される
家賃支援給付金と持続化給付金で共通している税務書類上の注意点
税務書類上の注意点は大きくわけてふたつ。確定申告書全般にかかる注意点と売上データにかかる注意点です。
確定申告書全般にかかる注意点としては
- 確定申告書は添付されているが、青色申告書が添付されていない
- 新規開業特例を利用したが、個人の開業届の添付がない
- 税務署の収受日付印がない確定申告書が添付されている
- e-taxの受信通知(メール詳細)がない確定申告書が添付されている
- 売上台帳の売上と、対象月の売上が一致しない
- 売上台帳の月と、対象月が一致しない
- 売上台帳ではなく、勤務日報や請求書等を添付している
では、ここから「家賃支援給付金」の支給申請で特有な注意点を紹介していきましょう。
給付の要件を確認できない賃貸借契約書が添付されている
申請に添付される契約書に必要となるのは以下の2つの要件を満たす契約書です。
- 2020年3月31日の時点で、有効な賃貸借契約があること
- 申請日時点で、有効な賃貸借契約があること
したがって、上記の事例では賃貸借契約期間内に2020年3月31日も申請日も両方含まれていないので、書類不備と判断される事例です。
契約の有効性が確認できない賃貸借契約書が添付されている
「家賃支援給付金」の申請で必要な賃貸借契約書は賃貸借契約が有効であることを確認するために、賃貸人と賃借人双方の署名(フルネーム)または記名押印が原則として必要とされています。なので、何らかの事情により、賃貸人と賃借人双方の署名(フルネーム)または記名押印がある契約書がそもそも存在しないといった場合には、「賃貸借契約等証明書(契約書等が存在しない場合)」を準備して提出することになります。
自身が所持している賃貸借契約書に賃貸人と賃借人双方の署名(フルネーム)または記名押印がないのであれば、「賃貸借契約等証明書(契約書等が存在しない場合)」の準備から始める必要があります。なお、当然こちらも賃貸借契約期間内に2020年3月31日と申請日の両方が含まれている証明書が必要となりますので注意してください。
申請者と違う賃貸人が記載されている賃貸借契約書が添付されている
いわゆるシェアオフィスを利用して事業しているという場合にこのようなことは起こりうるでしょう。実際、申請要領内にも「賃貸借以外の形式により土地・建物を使用・収益する契約も給付の対象となる」との明記がなされています。なお、この場合- 賃貸借契約書の写し
- 賃貸借契約等証明書(契約書等の賃借人等と申請者の名義が異なる場合)
こちらの場合も、「賃貸借契約等証明書(契約書等が存在しない場合)」を準備する場合と同様、まずは、賃貸借契約書の写しをもらう依頼、および賃貸借契約等証明書(契約書等の賃借人等と申請者の名義が異なる場合)の書式に署名・押印をもらう依頼から始める必要があります。
支払実績を証明するための注意点
こちらを証明するためには直前3カ月の賃料の支払実績を証明する書類として、以下の書類を添付することとされています- 銀行通帳
- 銀行取引明細書(振込明細書)
- 賃貸人からの領収書
なお、このような書類を準備できない場合は、「支払実績証明書」を準備し、賃借人に自署していただく必要があります。
このように、「持続化給付金」と違い「家賃支援給付金」の申請時の注意点は、ともすると、「賃貸人の協力を仰がなければいけない」ケースが多々みられるということです。
ともあれ、2020年5月から2020年12月までの間で新型コロナウイルス感染症の影響により
- いずれか1カ月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている
- 連続する3カ月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている