お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

59歳の夫は10年ほど前にアルバイトに。貯蓄が100万円ほどで不安で眠れないことがあります(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、夫が10年前に正社員を退職してアルバイトで働いている52歳のパート主婦の方。住宅ローンが残っているが、生活に余裕がなく貯金ができないなど、先が見えず、不安を感じているとのことです。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 食費などの家計を見直し、毎月7万円の貯蓄を目指す

ご主人が体調を崩されてから、アナスタシアさんがフルタイムの契約社員となって、家計を支えてこられたのは、よかったです。でも、今、家計の見直しをしないと、老後不安は解消しません。支出はシビアに削減できるところは削減しないといけません。
 
現在の収入から支出を差し引くと7万3000円の余剰金があります。実際の毎月の貯蓄額は4万円とのことですから、3万3000円は使途不明金です。何かと予想外の出費はあるものですが、そうした出費もきっちり管理することが大切になってきます。家計の中では、2人の生活にしては、食費が高すぎます。通信費は契約プランや格安スマホへの乗り換えで5000円でも削減することは不可能でしょうか。趣味娯楽費や雑費もざっくりと予算組みするのではなく、ここ数カ月の支出を見直して、あらためて予算組みしてみてください。
 
もともと7万3000円の余剰金があるわけですから、予算配分を見直し、予想外の出費も1万円程度を予備費として計上することで、毎月7万円の貯蓄を目指してほしいと思います。
 
ただし、現在、ご夫婦とも無保険状態です。医療共済など割安な保険で、最低限の医療保障だけは確保するようにしてください。二人で毎月4000円程度かかりますが、それを加味しても、毎月7万円の貯蓄をするようにしてください。
 
毎月7万円、年間84万円の貯蓄。アナスタシアさんが60歳になるまでの8年間で672万円。これに現在ある100万円を加えて770万円。これがお二人の老後資金のベースになります。ボーナスからも貯蓄したいところですが、現状は住宅ローンの返済と固定資産税の支払いで残りは6万円。年間の予備費として残しておくということでいいでしょう。
 
60歳以降も再雇用で働くということですし、ご主人もできるだけ長く働くという気持ちでおられるようなので、770万円を取り崩す時期ができるだけ遅くなるよう、収入を得ていくようにしてください。
 
公的年金受給額がわからない、ということですが、ご主人は会社員時代の厚生年金加入期間もありますし、もしかしたら企業年金もあるかもしれません。アナスタシアさん本人の分も含めて、年金事務所で公的年金受給額の確認はしておいてください。それによって、65歳以降の働き方は変わってきます。
 

アドバイス2 定期収入がある今のうちに、住宅ローンの借り換えを

家計を圧迫しているのは、自覚されているように、住宅ローンの返済です。現在の金利水準からすると、借入金利が高いです。借り換えをして、返済負担を抑えるようにしましょう。夫婦の収入合算であれば、無理ではないと思います。
 
仮に、残りの1000万円を変動金利0.5%、返済期間13年(アナスタシアさんが65歳まで)で、ボーナスからの返済分を200万円として試算すると、毎月の返済額は5万3000円、ボーナス時の返済額は16万円になります。毎月の返済額は、現在とほぼ同じ。ボーナス時の返済は年間で18万円減らすことができます。この18万円を貯蓄に回せば、老後資金に上乗せしていくことができます。
 
ただ、60歳以降、ボーナスが減額、もしくは、なくなる可能性を考えると、アナスタシアさんが60歳時点でボーナス返済分の残額を一括で返済してしまうほうがいいでしょう。毎月の返済額は残りますが、公的年金とお2人の収入の範囲で生活していくしか方法はありません。
 
借り換えにあたっては、現在借り入れている金融機関以外でも、金利の低いところから申し込みをし、根気よくあたってみてください。借り換えの費用がかかりますが、現在の金利で返済を続けるより、家計はラクになるはずです。
 

アドバイス3 自宅売却はローンが清算できることが条件。同居は慎重に

最後に、ご両親との同居についてですが、慎重に考えてください。確かに自宅を売却して、同居できれば生活費の負担はかなり減らすことができます。ただ、それも自宅を売却できて、ローンが残らないという前提での話です。売却後もローンの返済が残るようであれば、形のないものの返済を続けていくことになり、金銭的以上に精神的な負担になりかねません。
 
さらに、同居後、今はご両親の介護が必要ないかもしれませんが、いずれ介護をしなければならなくなる事態も考えられます。そのときに、現在のような働き方ができるか、という心配もあります。ご兄弟と相続の話し合いもしておく必要があるでしょう。ご両親との同居は、もろ手を挙げて賛成というわけにはいきません。
 
今は、まだ打つ手があります。家計の見直し、毎月の貯蓄額の増額、住宅ローンの借り換え。これらがすべて手詰まりになったときに、ご両親、ご兄弟とよく相談して結論を出されるといいのではないでしょうか。まずは、ご夫婦で現状を共有し、協力して家計改善できるよう、がんばってみてください。
 

相談者「アナスタシア」さんから寄せられた感想

深野康彦先生、この度は、大変貴重なアドバイスありがとうございました。食費や通信費など、削れる項目の節約を実行したく思います。また共済などの医療保険に加入したいと思います。また、住宅ローンの借り換えにつきましては、今まで全く考えが及ばず、目からうろこでした。目先の支出ばかりに思考が占められており、借り換えで年間の返済金額がこんなに変わるものなのかと驚きました。今回アドバイスいただいたことを契機に、夫婦で今できることをできる限り実践し、両親にも負担をかけずに生活していけるよう努力したいと存じます。今回は本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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