・住民税と所得税は払っている年が違います
・所得控除の額には違いが! 所得税より少ないため高く感じる?
・住民税と所得税の税率にも違いが
・自治体によって住民税の税率が違うってホント?
・まとめ
住民税と所得税は払っている年が違います
「住民税」とは「広く住民が地域の費用を負担するもの」と定義され「道府県民税」と「市町村民税」をあわせた総称を指します。また前年の所得に対して課税され、6月から次の年の5月まで1年間支払います。なお1月1日にお住まいの市町村(住民票住所)が一括して徴収しているため仮に転居した場合でも、その年は1月1日時点の居住市町村に納めます。住民税は前年の所得に課せられ翌年6月から1年間払います
一方「所得税」とは国に納める税金でありその年の所得に対して課税されます。サラリーマンは毎月の給与からどちらも天引きされていますが住民税は前年分、所得税はその年分(仮額を源泉徴収として天引き)と覚えておきましょう。
所得控除の額には違いが! 所得税より少ないため高く感じる?
住民税も所得税も各種の所得控除を引いたあとの課税所得に税率をかけて税額を算出するという流れは変わりませんが、所得控除の項目が同じでも控除額が異なるものがあります。控除額が同じ項目:雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除
この項目については算出の計算式や控除金額は所得税のそれと全く同じです。逆にいうとここで挙げた項目以外はすべて所得税の控除額と異なります。控除金額が異なる項目のうち人的控除(いわゆる人に関わる控除)については以下の表にまとめてみました。
控除額が異なるもののうち物的控除は以下の表の通りです。
住民税と所得税の税率にも違いがあります
「所得税」は所得が多くなれば税率も高くなる「累進課税」を採用しており、税率は5~45%です。一方で住民税の税率は基本的に一律で以下の通りです。これを「標準税率」といいます。所得割=道府県民税4%+市町村民税6% 合計10%(注1)
均等割=道府県民税額1500円+市町村民税額3500円 合計5000円(注2)
注1:平成30年度から政令指定都市では教職員の給与負担の財源移譲に伴い道府県民税2%+市長村民税8%となっていますが合計10%は変わりません。
注2:2023年度まで復興税の特例で500円ずつ加算されている。
自治体によって住民税の税率が違うってホント?
結論からいうと税率が違う自治体があるというのはホントです。基本的には上で解説した「標準税率」なのですが、自治体は条例によって独自税率を定めることができます。例えば「所得割」では、道府県民税率4%に対し神奈川県は4.025%、市町村民税率6%に対し豊岡市では6.1%と異なることや、「均等割」にしても道府県民税額1500円に対し1800円(神奈川県)~2700円(宮城県)、市町村民税額3500円に対し3300円(名古屋市)~4400円(横浜市)など自治体によって幅がありますので、自治体のホームページで確認してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。所得税に比べると住民税については話題に上らないし、詳しいという方もあまり聞いたことがありません。理由の一つとして所得税の確定申告が終わるとそのデータをもとに住民税は自治体が計算してくれるため個人が関わりを持つことが少ないことがあげられるかと思います。引っ越したら以前住んでいた地域に比べ住民税が高い、安いなどの話題(間違いではないですが月額に換算すると……)もよく理解していない方が多いからではないでしょうか。住民税を正しく理解する上でこの記事が皆様の知識の一助となればうれしく思います。
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