工作・自由研究

読書感想文が書きやすい本って?小学生の親が知っておきたいポイント

小学生の親が知っておきたい、わが子にとっての読書感想文に書きやすい本、読みやすい本を選ぶための導き方ポイントを解説します。「課題図書」「ノンフィクション」など、ジャンル別に読書感想文における書きやすさと難しさについてご紹介します。

高橋 真生

執筆者:高橋 真生

子育て・教育ガイド

読書感想文が書きやすい! 小学生の本選び

読書感想文が書きやすい本って?

読書感想文で書きやすい本、読みやすい本を選ぶ導き方とは? 親のサポートで一番大切なのは、子どもを否定しないこと。

読書感想文を面倒に思う人が多いのは、「読む」「書く」という2つのハードルがあるから。さらに、親としては、実験や観察の結果に即して進める自由研究などとは異なり、子どもの気持ちやものの考え方が浮き彫りになるので、つい口をはさみたくなってしまうという難しさがあります。

そこで、焦らず、子どもを否定せずに進められるよう、読書感想文の第一関門・本選びのコツと声かけのポイントをまとめていきます。
 
<目次>
 

読みやすい本とは?読書感想文の本選びのポイント4つ

読書感想文でわが子にとって読みやすい本を考えるにあたり、「時間が足りない」「1冊読むだけで精一杯」というときは、次の点に気を付けながら、本を選んでみてください。

■1.どの宿題よりも先に、読書感想文に取りかかる
読書感想文は後回しにせず、一番始めに手を付けましょう。余裕があれば、必要以上に急いだり慌てたりせずに済みますし、どうしても書けない場合、本を選び直すこともできます。

ちなみに課題図書は、図書館の本はたいてい夏休み前に何名もの予約が入っています。小さな書店では売り切れていることもあるので、注意が必要です。

■2.子どもが最後まで読める本を選ぶ
対象年齢にとらわれず、読みやすさを優先してもかまいません。ただし、コンクールに出す・出さないに関わらず、下の学年の課題図書はお子さんが嫌がるでしょうから、それ以外で探すことをおすすめします。また、コンクール入選を目指すなら、あまりに対象年齢が低い本は避けた方が無難です。

■3.感想・意見を言いやすい、子どもとの共通点がある本を選ぶ
書きやすさを重視する読書感想文の本選びでは、感想や意見が出やすい、お子さんとの共通点があるものがおすすめです。

■4.学校・コンクールの規定に合わない本を選ばない
以下に該当する本は、コンクール・学校の規定で、選外ややり直しとなることがあります。コンクールの応募要項は忘れずに確認しましょう。細かな説明がない学校の場合は、避けるか、事前に確認するといいですね。
  • 詩集
  • 画集・写真集・図録
  • 図鑑
  • コマ割りの本
  • 実用本(料理レシピ、折り紙・工作の本、ゲームの攻略本など)
  • ライトノベル
  • 続きもの(上下巻、1・2・3巻など)中の1冊
  • 携帯(インターネット)小説
  • 雑誌(雑誌に掲載された短編小説やエッセイ含む)
 

読書感想文が書きやすい本はどんな本?

読書感想文が書きやすい本とは、子どもが感想もしくは意見が言いやすい本、子どもとの共通点がある本です。
  • 感想が言いやすい: 感情移入できる本。たとえば、宿題・きょうだい・友だち・学校行事・習い事など、自分と近いテーマの物語。
  • 意見が言いやすい: 発見の驚きがあったり、不思議なことに出会えたりする本。ノンフィクションなど。

また、物語・ノンフィクションとも、「主人公の年齢が近い」「興味がある事柄がテーマになっている」「苦手を克服する」など、自分との共通点がある本は書きやすいでしょう。
 

読みやすい、書きやすい読書感想文の本選び、どこで・どうやる?

読書感想文が書きやすい本って?

読書感想文で子どもが読みやすい本、書きやすい本を選ぶときは、実物を見るのが近道。本との相性がよくわかります

読書感想文のための本選びは、インターネットではなく、実店舗もしくは図書館でするのがおすすめです。なぜなら、実際に本を手にした方が、子どもと本との相性がよくわかるからです。

特に本を読み慣れていないと、内容だけでなく、表紙、厚さ、重さ、持ちやすさ、活字の大きさや配置、余白など、ほんの少しのことで「読めそうにない……」とあきらめてしまいがち。見た目の印象は意外と大切ですから、実物を見た方が安心です。

また子ども自身に本を選んでもらうことも大切です。子どもにとって興味のない本を読み通すのは、大人以上に困難なもの。特に普段本を読んでいない子こそ、自分で選ぶことで「自分の本」という喜びも味わうことができますよ。
 

読書感想文の本選びが上手くいかない! そんなときの声かけコツ

お菓子作りが大好きでレシピ本ばかり見ている子どもがいたら、読書感想文向きの本へ導いてあげよう

お菓子作りが大好きでレシピ本ばかり見ている子どもがいたら、読書感想文向きの本へ導いてあげよう

■子どもが本を選べないとき
×: 「早くしなさい」と急かす、「これにしたら」と決めてしまう
〇: 「こういうのもあるよ」と何冊か手に取って見せる。「このあたりが物語かな。魔女の本があるよ」「あっちにサッカー選手の本があったよ」などとお子さんに合った本のだいたいの場所(棚)を教える。

背表紙のタイトルだけで本を選ぶのは、大人でも難しいですよね。たくさんの本を見ただけで固まってしまう子もいますから、時間の余裕を持って出かけましょう。親御さんが子どもの頃に好きだった本を教えてあげると、会話も弾みます。

■大人から見て今一つという本を選んだとき
×: 「これはだめじゃない?」と頭から否定する
〇: 「どうしてその本がいいの?」と聞いてみる

聞いたところで「なんとなくおもしろそうだったから」としか返ってこないかもしれませんが、答えるのが億劫だったり、うまく表現できないだけだったりします。いずれにしても、「なんとなくダメ」な本よりは断然読む気になるものです。

■コンクールや学校の規定に合わない本を選んだとき
×: 「これじゃない本にしなさい」と言う、理由を説明しない
〇: 本を選んだ理由を聞き、他の本を一緒に探す

出かける前に、避けるべき本を説明しておくと、気持ちが早く切り替わります。また、選んだ本を基準に少しテーマや内容をずらすと、よい本が見つかるだけでなく、読書の楽しみが広がりますよ。

■「好きな本」から「書ける本」へのずらし方
たとえば、お菓子作りが好きでレシピばかり見ているお子さんなら、こんな本が考えられます。
  • お菓子・お菓子作りがテーマの物語
  • パティシエの仕事やお菓子の歴史についてのノンフィクション
  • おいしいお菓子が出てくる児童文学の名作
  • 好きなパティシエが子どもの頃影響を受けた本
 

子どもが読みやすい本を選ぶサポートに自信ない方は、図書館へ!

本選びに自信がない方は、ぜひ図書館へ! 司書の方がいろいろな質問をして、その子に合う本やジャンルを紹介してくれます。お子さんが嫌がらなければ、一緒に聞くと質問の方法(答えの引き出し方)は、参考になります。また書店でも、児童書担当など詳しい方に、図書館にはない新しい本も含めて教えてもらえます。

「読書感想文には親のサポートが必要」と言われるようになり、本選びができないことで落ち込んでしまう親御さんもいらっしゃいますが、逆に「よくわからない」という子どもの気持ちがよくわかるはず。時間に余裕をもって、楽しく取り組んでください。
 

読書感想文で書きやすい? 難しい? ジャンル別解説

■課題図書
→ 読みやすいが、親が「正解」を求めてしまいがち
  • テーマがはっきりしていて、わかりやすいものが多い(最近は自由な読みを楽しめるものも増えてきている)
  • 文章の長さや漢字・語句の難易度と年齢が合っている
  • 正しい日本語で書かれているものが多い
  • 下の学年の指定図書は選びづらい
  • 親が常識的・道徳的な正しさを求めてしまうタイプの本もあるので、声かけに注意が必要

■ノンフィクション
→ テーマがはまれば、いい感想文が書ける。きちんと興味のあるものを選ぶこと
  • 伝記・歴史・科学・戦争・病気・死など、幅広いテーマの本がある
  • 学校で習ったことと結びついていると、関心を持って読める
  • リアルなので、自分との比較がしやすい(学んだこと、自分の夢や希望を書きやすい)
  • ノーベル賞受賞者やスポーツ選手など話題になった人の伝記は、子どもが興味を持ちやすい
  • 興味がないテーマだと、「すごい」「感動した」「ぼくも〇〇のようになりたい」という文章になりがち。数行しか書けなかったり、また、一般常識を書いて終わってしまったりしやすい

■冒険・ファンタジー
→ 読むのも書くのも楽しい。物語の構造が複雑になる高学年以上はじっくりと取り組もう
  • 楽しんで読める
  • 特に低学年の場合、「もし自分だったら」「続きがあるとしたら」と想像が広がりやすい
  • 構造が複雑なファンタジーは、親子関係・環境・差別・貧困・格差などの問題も描かれていて、自分との比較がしやすい。その分、うまくまとまらないこともあるので、じっくりと時間をかけて取り組む必要がある

■「おもしろい」「感動した」本
→意欲的に取り組め、よい作品ができる。反面、深い感動を言語化するのは難しいことも。
  • 集中して読み通すことができる
  • 書く意欲が湧き、丁寧で、人の心を動かすような感想文が書ける
  • 深い感動を言語化するのは、意外と難しい。特に高学年の場合、感動を自分の中にしまっておきたいという感情が湧くこともあり、無理に感想文を書こうとすることで、すばらしい読書体験が台無しになってしまうことも。別の本に変えることを考えてもいい

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