全国一斉休校への戸惑い……親子で不安やイライラにのまれないために

寂しそうな小学生のイメージ

突然の環境変化が子どもたちの心に与える影響は?


新型コロナウイルス感染予防のための全国の小中高校を対象とした一斉休校は、子どもたちにとっても保護者にとっても、大きく戸惑う事態となりました。学校に行けなくなった子どもたちは、授業を受けられないだけでなく、友達と遊んだり、外に遊びに行くこともままならない状態です。家で時間を持て余してしまい、ゲームやスマホばかりで運動不足になっている子も多いようです。塾などの習い事もお休みになり、勉強の遅れが心配になるといった声も聞こえます。
 
共働きの保護者は子どもの預け先がなく、仕事を休まざるを得ないケースもあるでしょう。先行きのはっきりしない状態で親子とも気分転換する時間が持てず、イライラをぶつけあって嫌な気分になってしまうなど、精神面でも様々な問題が生じています。
 

突然の環境変化が子どものメンタルに与える3つの影響

転居や震災、今回の全国一斉休校など、突然大きな環境変化にさらされたとき、子どもの心はどのような影響を受けるのでしょうか。前提として、一般的に子どもは大人に比べ、複眼的なものの見方をすることが苦手です。これは人生経験の少なさ、複数の情報を比較する力の未熟さ、合理的、論理的に考える力の未熟さなどによるものです。したがって、ネガティブな情報にさらされると感情が大きく揺さぶられ、とても不安定になってしまいやすいのです。子どもの心の変化として多い3点を挙げてみましょう。
 
1. 不安と憂うつ
長時間家にいると、気分転換をする機会が極端に少なくなります。こうしたなか、「自分も感染してしまうのではないか」「このまま学校が再開しなかったらどうしよう」と不安が大きくなり、憂うつになっていく可能性があります。近くにアレルギー症状でくしゃみをしている人を見るだけで、「ウイルスのせいかも!」と心配になり、マスクのすき間から飛沫を吸い込んだのではないか、などと考えすぎてしまうこともあります。
 
2. 極端に悲観的な思考
テレビやインターネットから流れてくる一方的な情報に触れていると、思考がどんどん悲観的になっていきます。すると「日本中に感染が蔓延するんじゃないか」「みんなウイルスで死んでしまうかもしれない」などと極端に悲観的な方向にエスカレートしていき、マイナス思考のループにはまり込んでしまうことがあります。
 
3. イライラの増幅
今回のように友達にも会えず、一日中家の中にいて運動不足になっていくと、鬱屈した気分を解消できなくなってしまいます。すると、親に言われたちょっとした言葉に過剰に反応したり、きょうだいからされたことに大きく苛立ったりしてしまうことがあります。
 

身近な大人が配慮したい子どものメンタルケア3つのポイント

上記のような傾向にある子供の心の状態を理解した上で、身近な大人ができるケアのポイントを考えてみましょう。

1. 気持ちを受け止める
子どもの不安や憂うつ、イライラなどの気持ちをまるごと受け止めます。「なんで憂うつになっているの?」「イライラしないで!」などと批評的、批判的にならず、「そういう気持ちになっているんだね」と事実をそのまましっかりキャッチします。
 
2. 問題の外在化と共感
 「そんな気分になるのはあなたが悪いわけではない。この状況では、誰だってそういう気分になるのも無理はない」というように問題を本人から離して外在化させます。そして、「お母さんだって同じだよ」というように、共感します。すると、「嫌な気持ちになってしまうのは自分が弱いから、わがままだからではない」と感じ、「大人だって同じように感じている」ということが分かると、安心します。
 
3. 休校中にできること、楽しめることのアイデアを喚起する 
一斉休校によって長期間休めるのは、普段できなかったことを思い切りできるチャンスでもあります。この機会に、時間があればやってみたかったことを、親子で考えてみましょう。部屋の模様替え、文学全集の読破、ランニングやサイクリングなどで体力づくり、絵を描く、楽器の練習、苦手教科の勉強など、集団の場でなくてもできることはたくさんあるのではないでしょうか。新しいことを始めると気分が変わります。そんな機会をつくってみるとよいでしょう。
 

子供の心の健康のためにも大人は冷静な対応を

子どもの心は、周囲の大人の気持ちに左右されます。大人が過剰に不安になって「どうしよう、どうしよう」と右往左往していると、子どもも同じように不安になります。逆に、大人が「衛生と健康の管理をしっかりしていれば、心配しすぎなくても大丈夫」と、どっしり構えていれば、子どもも安心して生活することができます。
 
感染が不安なのは皆同じ。でも、大人がその不安に冷静に対処できないでいると、子どもは大人以上に不安になり、恐怖でいっぱいになります。有事のときの対応を子どもに示す上でも、大人がつとめて冷静になることが大切です。
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