定年・退職のお金/老後の生活費と家計管理

家計にムダ遣いはない?老後マネー相談でわかった本当に家計を改善する方法

家計改善のアドバイスでは、よく「ムダをなくしていきましょう」と書いてあるのを目にすることが多いのではないでしょうか? 私も以前は、そのようなことを書いたことがあります。しかし、老後マネー相談をしていて、最近は、考えが変わりました。お金を貯めようと考えてご相談に来る方で、「ムダ遣い」をしようと思って、買い物をしている人はいません。

安田 まゆみ

執筆者:安田 まゆみ

老後マネー相談ガイド

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「ムダ遣いをしないように」というアドバイスは、実のところ、心に響かない

お金を貯める家計管理のアドバイスでは、よく「ムダをなくしていきましょう」と書いてあるのを目にすることが多いのではないでしょうか?
 
私も以前は、そのようなことを書いたことがあります。しかし、最近は、考えが変わりました。
お金を貯めようと考えてご相談に来る方で、「ムダ遣い」をしようと思って、買い物をしている人はいません。

他人から見れば、「それはムダ遣いだ」ということはあっても、買い物をしているときには、「ムダなものを買っている」とは思っていないので、「ムダ遣いをしないように」というアドバイスは、実のところ、心に響かないのです。家計改善は、それだけでは難しいです。

 
買い物をしているときに、「ムダ遣い」と思って買ってはいないのです

買い物をしているときに、「ムダ遣い」と思って買ってはいないのです


後日レシートを見返しても「どこがムダなのかがわからない」という人は多いです。

また、ご相談者の中には「贅沢やムダ遣いをしていないのに、お金が貯まらないのです」と本心から困惑している人もいらっしゃるくらいですから、この「ムダ遣い」は自覚がない人は実にたくさんいらっしゃるわけです。そのため、家計管理において「ムダ遣い」を指摘して、改善するのは、とても難しいです。
 
ご相談者の方と一緒に、家計簿代わりのレシートやクレジットカードの請求明細を見て、家計の振り返りをするときに、「おやっ?」と思う支出については、本人が自覚して話してくれます。

「この買い物は、『ムダ遣い』ではなく、自分へのご褒美で『プチ贅沢』なんですよ」と。買い物をしたことで、心が満たされ、また、仕事をやる気になったのだとか。その人にとっては、その買い物は、ムダなどではなく有効なものだったのです。

というわけで、家計には本人が自覚する「ムダ遣い」なるものがないのです。では、どうしたら、家計改善ができていくのでしょうか?
 

これからの人生において『優先順位の高い支出』は何か

私の場合、家計の見直し相談では、「ムダ遣い」を指摘せず、「これからの人生において『優先順位の高い支出』は何か」を考えてもらうようにしています。
 
まず、予算を立てるときに、自分にとってのまたは家族にとっての「支出の優先順位」を考えて立ててもらいます。この作業は、「自分で自分のお金の使い方を決める」という大事な作業になります。

次に立てた「予算」の範囲で買い物をすることを実行してもらいます。つまり、自分で決めたことは自分で守りましょう、ということです。「予算を立てる」「予算を守る」たったそれだけで、家計改善を図ることができるのです。
 
「よそから見たらどう思われるかしら?」という他人の思惑や「このくらいの年収であれば、子どもにおけいこ事や習い事をさせてもいいわよね」という根拠のない価値観や間違った情報に振り回されるような「予算」では守ることができません。現実的ではないからです。実際に、自分の家庭の状況に合わせた予算を立てるには、時間がかかります。

「本気で変わりたい」と、毎月の家計改善のサポートを希望される「継続相談」の方の平均では、予算をうまく立てられるようになるには3~4カ月。予算が守れるようになるのはだいたい6~7カ月。長くて1年もあれば、試行錯誤しながらも、予算管理が身についていき徐々に貯蓄額が増えていきます。
 

この先人生が豊かなものになるのであれば、予算の範囲であれば問題はありません

世間体や親の影響を受けた人生の価値観や思い込みで「無自覚(何にも考えない)で行ってしまう買い物」の癖を直すには、自分の人生の中で、今のお金の使い方が自分の目指すところとフィットしているのかを常に意識することが大切です。これにより、少しずつお金のとらえ方が変わっていきます。
 
これから先の自分の暮らしの中で、また、自分の将来のために必要とする貯蓄をするために、今の支出がどうしても必要であれば、他人からは「ムダ遣い」のように見えたとしても、その支出で良いのです。他人のために家計管理をしているわけではありませんから。

本人にとって、優先順位の高いものは、「ムダ遣い」ではありません。それでこの先の人生が豊かなものになるのであれば、予算の範囲であれば、その買い物は、何の問題もないと思います。私はここ10年ちかく、そのような考えで、ご相談を受けています。

貴方はどうされていますか?

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