母親がストレスの原因に……40代女性が悩む母親との関係
40代だからこそ考えたい、母との関係。高齢の母を支えつつ、良好な関係を築くコツとは?
多くの娘が経験する、母親への複雑な思い。40代の今だからこそ、母親との付き合いをむずかしく感じる方も多いでしょう。
性格が正反対で相性が合わないこともあるでしょう。たとえば、母は娘と友達のように付き合いたいのに、娘はベタベタするのを好まない。娘が母に甘えたいのに、母はマイペースでさっぱりしている。このような性格の違いは、いかんともしがたいものがあります。
母親から、結婚や出産についてとやかく言われること。子育てについて自論を押し付けられ、口出しをされること。自分に対して「私の育て方が間違っていたのかも」などと、残念な評価をされること。こうしたことを言われるから、母親は苦手……と感じてしまう方もいます。
さらに母娘間の葛藤には、ジェネレーション・ギャップも影響しています。たとえば、昭和世代の母親には、「妻は控えて夫を立てるもの」「盆暮れにはお中元・お歳暮を欠かさないのが礼儀」という考え方を持つ方が多いものです。一方の平成世代の娘には、夫婦の関係は対等だと考え、しきたりにはこだわらないという考え方を持つ人が増えているものです。
このように世代ごとに、価値観は大きく異なります。母と娘、どちらにとっても常識が通じないため、話が平行線になりやすく、それが母と娘の間の摩擦を増やす原因にもなってしまいます。
成熟した母娘関係には、介護や経済的な悩みなどの新たなストレス要因も
母と娘のむずかしさには、母親が高齢になったからこそ感じる課題もあります。年を取った母親は、年々無理がきかなくなるため、娘には、介護などの心配が現実味を増してくるものです。親が遠方に住んでいる場合には、娘は親の健康や生活の状態が心配になり、気を揉むことも増えていくでしょう。一方で中年期の娘は、お金の心配に振り回されやすい年齢です。同時期に、親の貯蓄や年金が不十分な場合、娘が親への資金援助まで考えなければならず、お金の苦労を二重に抱えて、経済的にも大きなストレスを抱えてしまうこともあるかもしれません。
母娘関係のストレスを早めに解決した方がよい理由
これらの課題から目をそらしても、いずれは直面せざるを得ない時がやってきます。たとえば、生活資金、実家の整理や墓、遺産のことなど、いずれは直面しそうな現実的な課題は、親が元気なうちに少しずつ話し合っておきたいものです。また、子育てが一段落すると、次は自分が親から頼りにされる側に変わります。大変かもしれませんが、自分の家庭のことだけでなく、将来の親とのかかわりまで見据えて、時間やお金にはできるだけ余裕を作っておきましょう。
とはいえ、課題は一人だけで抱えこまないことも大切です。活用できそうな資源を調べておき、パートナーや兄弟姉妹とも話し合いながら、協力しあえる体制を少しずつ整えていくとよいでしょう。そのためにも、親に対する感情を整理しつつ、周囲の人との関係をできるだけ良好なものにしておくことが大切です。
高齢の母親への理解を……愚痴の背景にあるのは「不安感」
40代の娘の母親の多くは、60~70代の高齢期です。高齢になると、健康、若さ、お金、仕事、人間関係などのさまざまな「喪失」に直面します。そのため、心が不安になりやすく、悲観的な言葉が増えてしまうこともあるでしょう。そうした一面だけを見て、「いつも愚痴ばかり」などと批判するのではなく、年を取ればさまざまな喪失に直面し、不安になることがあるのだと理解しておく必要があります。そして、不安を抱える親の思いをまずは受容し、「そうした状況に置かれたら、たしかにつらいかもしれない」というように、母の立場を理解しながら話を聞くとよいでしょう。
成熟した大人としての母娘関係を構築する方法
良好な親子関係を作るためには、 時折実家に帰って、会話をすることがいちばんです。海外旅行や豪華なレストランに連れていくなど、特別なことを考えなくてもよいのです。実家に帰って顔を見せるだけでも、十分な親孝行になります。何気ない話をしながら、顔色はどうか、話し方はしっかりしているか、話の理解ができているか、足腰はしっかりしているか、体調はどうか、食欲はどうか、夫婦仲はどうか、知人・友人・ご近所・親戚との関係はどうか、お金の心配はないか、無駄な出費をしていないか、家の中は乱れていないか、清潔になっているか、といったことを確認していきましょう。
また、ストレスのない親子関係を続ける上では、一定の境界線を意識することも有効です。「「お母さんが嫌い」と言われた……親子関係のイライラ対処法」でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。