アルバイトをして2カ所以上から給与をもらっているケースを解説
アルバイトと言っても、いろいろなケースがあると思います。サラリーマンの人が副業としてアルバイトをしているケースや、アルバイトのみ複数掛け持ちしているケースなど。今回は、2カ所以上から給与をもらっているケースを中心に見てみましょう。1カ所から給与をもらっている人は、こちらも参照してみて下さい。主たる給与と従たる(主たる給与以外の)給与
主たる給与とは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与をいいます。従たる給与とは、主たる給与の支払者以外の給与の支払者が支払う給与をいいます。つまり、主たる給与になるのか、従たる給与になるのか、の判定は、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出の有無で決まる!ということになります。そして、もう1つ重要な点は、給与所得者の扶養控除等申告書は、2カ所以上から給与の支払を受けている場合にはそのうちの1カ所にしか提出することができない!という点です。
主たる給与と従たる給与で何が違うのか
では、主たる給与と従たる給与で何が異なるのでしょうか。毎月の給与等から控除される所得税等の源泉徴収税額が異なる!
主たる給与に該当した場合は、その給与から差し引かれる源泉徴収税額は、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄で求めることとなります。甲欄は、下記乙欄よりも税額が低く設定されています。一方、従たる給与に該当した場合は、その給与から差し引かれる源泉徴収税額は、給与所得の源泉徴収税額表の乙欄で求めることとなります。乙欄は、上記甲欄よりも税額が高く設定されています。
同じ給与年収であっても毎月差し引かれる所得税は異なる!?
例えば、同じ給与年収96万円(毎月8万円)であっても、1カ所からの人は源泉徴収税額が0円となりますが、4万円ずつ2カ所からの場合、主たる給与分(4万円)については0円ですが、従たる給与分(4万円)については、毎月約1,225円(4万円×3.063%)、年間14,700円差し引かれることとなります。注意! 2カ所以上に扶養控除等申告書を提出した!?
アルバイトを複数掛け持ちしている人の中には、アルバイト先から言われるがままに、給与所得者の扶養控除等申告書を提出してしまっている人もいるようです。アルバイト先に複数バイトを知られたくないために、あえて提出する人もいるようですが、給与所得の扶養控除等申告書は、1人につき、1カ所にのみ提出することが認められていますので、十分に注意して下さい。「従たる給与」は年末調整ができない!?
原則として、年末調整ができる給与は、主たる給与となります。従たる給与については年末調整ができませんので、すべての給与について、確定申告が必要となります。(例外があります。)確定申告をすると還付される(返ってくる)ことも?
上記1の例の場合、いずれも、年間の給与収入は96万円なので、年間所得税額は0円となります。(給与収入96万円-給与所得控除額65万円-基礎控除額38万円≦0)このような場合で、他に所得がないような場合には、原則として、確定申告をすることにより、14,700円が還付されることになりますので、忘れずに確定申告をするようにしましょう。
住民税について
住民税は前年の所得に対して課税されますので、アルバイトの給与収入があった年の翌年に支払うこととなりますが、一定の金額までは非課税となりますので、年間の給与収入により異なることとなります。厚生年金保険料
アルバイトの人であっても、一定の基準に該当する場合には、厚生年金(社会保険)に加入しなければなりません。厚生年金は収入に応じて保険料が異なることとなります。こちらも参照してみて下さい。
アルバイトと言っても、1カ所で働いている人や、複数カ所で働いている人、副業で働いている人など、いろいろな人がいます。しかし、どのような形態であっても、原則として、年間の給与収入に基づいて確定申告をすることとなりますので忘れずに申告・納税しましょう。