「給与所得者の扶養控除等申告書」の記入方法と注意点とは?

『給与所得者の扶養控除等申告書』とは、その方の扶養している家族、つまり配偶者や子ども、親の面倒をみていることを申告し税金の軽減を受けるために提出する書類です。この書類は原則としてその年の最初の給与を受ける前までに提出する決まりとなっていますので、今年の年末調整時に会社から渡され提出を求められるのは、来年の給与計算のためのものです。以下からの図は2018年用を用いていますが、今年の年末調整の際には2019年用が配布され提出を求められることになります。
 
控除対象扶養親族記入欄

控除対象扶養親族記入欄

 
●他の年末調整書類については以下の記事を参照してください
2018年分の年末調整の書類の変更点とは?用紙が3枚に!

『給与所得者の保険料控除申請書』の書き方
『給与所得者の配偶者控除等申告書』の書き方

 

扶養控除等申告書にマイナンバー記載は必要ない

本来、扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象となる配偶者及び控除対象扶養親族等のマイナンバー(個人番号)の記載が必要です。 しかしながら2017年1月1日以後に支払われる給与に係る『扶養控除等申告書』については、給与支払者が従業員等のマイナンバー(個人番号)を記載した一定の帳簿を備えている場合は、その帳簿に記載されている方のマイナンバー(個人番号)の記載を必要としないとされました(国税庁源泉所得税関係に関するFAQ1-3-1一部改筆) 

つまり、配偶者や扶養親族のマイナンバーを会社に一定の書類(税務関係書類など)で以前提出したことがあり、その情報を会社が管理している場合、今回提出する『扶養控除等申告書』にマイナンバーをあらためて記載する必要はないことになります。マイナンバーは個人情報そのものであり記載されている書類は会社に厳重な保管義務が生じますので、会社の負担を減らすための措置といえます。
 

それぞれの項目記入時の注意点

それではあなたが以下の家族を扶養している場合の申告書の記入例を項目ごとに見ていきたいと思います。

妻:アバウト良子 50歳 パート収入150万円(所得85万円)
長男:アバウト太郎 19歳 国内在住
次男:アバウト次郎 17歳 海外在住
三男:アバウト三郎 15歳 国内在住
母:アバウトウメ 70歳 身体障害3級
 
A:源泉控除対象配偶者
聞きなれない言葉ですが簡単に説明します。以前この欄は「控除対象配偶者」と書かれており収入が103万円(所得が38万円)以下の『配偶者控除』を受けられる配偶者の場合だけ記入していました。しかしながら平成30年から収入が150万円(所得が85万円)までの『配偶者特別控除』を受けられる配偶者も、給与から引かれる源泉徴収の扶養人数にカウントすることになりその方も記入することとなったため、新しく『源泉控除対象配偶者』という表記となりました。なおこの欄に記入できる配偶者は以下の2条件を満たす方のみですので注意してください。

●配偶者の所得85万円以下(パート収入のみなら150万円)
●本人(控除を受ける人)の所得が900万円以下(給与収入のみなら1120万円)

 
源泉控除対象配偶者記入欄

源泉控除対象配偶者記入欄


B:控除対象扶養親族(16歳以上)
配偶者以外の扶養親族を記入する欄です。来年1月1日以降に16歳以上である親族を記入します。(前述したように今回提出する申告書は来年の給与計算用のため)またその親族が特定扶養親族(19歳以上23歳未満)や同居老親(70歳以上)にあたるかどうか、国内に居住している親族かどうか等を記入します。
 
控除対象扶養親族記入欄

控除対象扶養親族記入欄




C:障害者、寡婦、寡夫または勤労学生
本人を含めた扶養親族が障害者に該当する場合、また本人が寡婦、寡夫もしくは勤労学生である場合に記入をします。記入の際に注意が必要なのは障害者が『同一生計配偶者』や『扶養親族』にあたるかどうかの基準です。また聞きなれない言葉が出てきましたが『同一生計配偶者』とは所得38万円以下(パート収入のみなら103万円)の配偶者のことを指します。先ほどの『A:源泉控除対象配偶者』に記入する際の基準(所得85万円:パート収入のみなら150万円)とは異なりますので混同しないようにしてください。また『扶養親族』とはここでは16歳未満の親族も含まれます。これも先ほどの『B:控除対象扶養親族(16歳以上)』に記入する際の基準とは異なりますのでご注意ください。
障害者寡婦寡夫勤労学生記入欄

障害者寡婦寡夫勤労学生記入欄


D:他の所得者が控除を受ける扶養親族等
文字を読んでもよくわからないですが、例えば、夫婦が共働きで子どもをそれぞれに分けて扶養に入れている場合に相方の扶養に入れている子どもの名前をここに記入する、と考えればわかりやすいかと思います。同じ子どもを夫婦2人が同時には控除に入れることはできないため確認のための欄だと思えばよいでしょう。
 
他の所得者が控除を受ける扶養親族記入欄

他の所得者が控除を受ける扶養親族記入欄


E:16歳未満の扶養親族
扶養親族のうち16歳未満の方を記入する欄です。『16歳未満の扶養控除』については廃止されているのになぜ記入が必要なのかと不思議に思われるかもしれませんが、欄の上に『住民税に関する事項』とあるのにお気づきでしょうか。住民税には非課税限度額(これ以下の所得なら住民税は払わなくてよい基準額)というものがあり、その算定の際には16歳未満の扶養親族もカウントして計算するため記入が求められているのです。
16歳未満の扶養親族記入欄

16歳未満の扶養親族記入欄



 

申告書を提出しないとどうなるか

国税庁のホームページに以下の記述があります。国内において給与の支給を受ける居住者は、源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければなりません。この申告を行わない場合は、月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も行われないことになります。(一部抜粋)

簡単に言うと、サラリーマンは奥さんや扶養家族がいなくてもこの申告書を提出しないと毎月の給料から引かれる源泉徴収が多くなり(確定申告することで税額は最終的には同額にはなりますが)年末調整も会社がしてくれないので自分で確定申告することになり手間ですよ。ということです。会社によって提出期限はそれぞれ違いますが期限内に確実に提出することをお勧めします。

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監修・文/井出やすひろ(CFP・1級FP技能士・MR)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。