ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

2019年1~3月の注目!ミュージカル(3ページ目)

2019年、皆さんはどの演目からご覧になりますか?今年は『ナターシャ・ピエール&ザ・グレート・コメット・オブ・1812』『キューティ・ブロンド』はじめ、注目の舞台が続々登場。少しずつ記事を更新していきますので、どうぞお楽しみに!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

最高にハッピー&キュートなサクセス・ストーリー『キューティ・ブロンド』

2月11~28日=シアタークリエ
 
『キューティ・ブロンド』の見どころ
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

恋も勉強も全力投球、周囲の偏見や困難も吹き飛ばしてゆくヒロイン像が共感を呼び、17年の日本初演も大ヒットとなった舞台が早くも再登場。主演の神田沙也加さんはじめ大好評を得たキャストに加え、平方元基さんら、一部に新キャストを迎えて上演されます。
 
ハリウッド映画さながらに目まぐるしく展開する物語は、痛快なサクセス・ストーリーであるだけでなく、性差別や社会的偏見への風刺もたっぷり。キャッチ―な楽曲に彩られながら、無邪気に見えて実はスパイスも効いたドラマを、躍動感たっぷりに見せてくれることでしょう。

観劇レポート
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

アメリカ西海岸カリフォルニアの有名大学、UCLA。遂に“あの子”が彼氏にプロポーズされるらしい、と学内の女子たちが色めき立つなか、噂の主、エル・ウッズ(神田沙也加さん)が登場します。ハイテンションの女子大生たちに囲まれ、キラキラと歌う神田さん。高揚感たっぷりのオープニングです。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

ブティックでとっておきのドレスを購入(売れ残りを買わされそうになるこのシーンでは、エルが単なるお洒落セレブではなく、機知と芯の強さの持ち主でもあることが示唆されます)、ロマンティックなレストランでのデートに臨んだエルでしたが、完璧な彼氏ワーナー(植原卓也さん)からの口から出たのは、何と“別れよう”との言葉。ハーバードで法律を学ぶ予定の彼にとって、ブロンド髪の彼女は相応しくない、というのです。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

いったんは落ち込むものの、一念発起したエルは猛勉強の末、彼と同じハーバードのロー・スクールに合格。胸膨らませて入学したものの、ワーナーの隣には黒髪のガール・フレンド、ヴィヴィアン(新田恵海さん)の姿があり、何かと意地悪をされてしまう。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

しかし気のいい美容師ポーレット(樹里咲穂さん)の愛犬を、法律の知識で救い出したことで弁護士という仕事に目覚め、先輩エメット(平方元基さん)に見守られながら再び猛勉強。キャラハン教授(長谷川初範さん)にも評価され、インターンの一人として大富豪殺人事件の裁判に臨むことになります。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

しかし被告ブルックには秘密があるらしく、頑なにアリバイを話さないため皆はお手上げ。そんな中で、エルがある方法でブルックにアプローチしてみると……⁈
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

エルの恋の行方にサクセスストーリー、そして途中から裁判劇の要素も加わり、ハラハラドキドキが二乗三乗されてゆく本作。映画さながらの展開の速さながら、登場人物の心の動き一つ一つが鮮やかに描き出され、演劇的な“コク”も味わえるのがこの舞台の魅力です(演出・上田一豪さん)。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

エル役の神田沙也加さんは初演にも増して溌溂とした中にヒロインとしての安定感が増し、へこむことがあってもプラスに変えて行くキャラクターがぴったり。全編を通じて応援せずにはいられません。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

エルを見守る先輩エメット役の平方元基さんは“いい人”オーラの中に逆境を抜け出してきたハングリー精神、そしてそこはかとないユーモア・センスがうかがえ、得難い味わい。ほかワークアウトの女王ブルックの強気と弱気両面を演じ分ける木村花代さんら、共演陣も生き生きと演じています。(本作“名物”の躍動感溢れるアンサンブルは今回の公演でも健在)。
『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

『キューティ・ブロンド』(C)Marino Matsushima

気が付けばあっという間にラストに到達、誰もが晴れやかな気分を味わえる一方で、ヒロインのブロンド髪やヨーロッパのゲイに対するアメリカ人の偏見が痛烈に皮肉られる箇所も。“毒”の隠し味を含めて楽しめる舞台となっています。

公式HP
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