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映画界は魔界。『サンセット大通り』舞台裏に潜入!

ビリー・ワイルダー監督の名画を原作としたミュージカル『サンセット大通り』。アンドリュー・ロイド=ウェバーの甘美で陰影の濃い音楽に乗せて、ハリウッドの映画界に生きる人々をあらわに描き出した傑作です。東京公演の舞台裏に潜入、衣裳やセット、小道具などをレポート!

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド

ロイド=ウェバーの傑作、
ミュージカル『サンセット大通り』の舞台裏に潜入!
 

宣伝写真

この舞台の象徴でもある階段。

原作はビリー・ワイルダー監督のフィルム・ノワール

名作ミュージカル『サンセット大通り』が上演されています。この作品、音楽もストーリーも素晴らしい。一般的にミュージカルというと、明るく楽しく前向きに!みたいなことをイメージしていらっしゃる方も多いかもしれませんが、『サンセット大通り』はサスペンス調でなかなかシリアス、身につまされる人間ドラマ。こんなドラマをミュージカルにできちゃうのね!と驚く、代表作でもあります。

原作はビリー・ワイルダー監督の映画『サンセット大通り』。フィルム・ノワールの傑作です。若くて売れていない脚本家ジョー・ギリスが借金取りに追われて逃げたところ、車が故障。逃げ込んだ先はなんと、無声映画時代の大女優ノーマ・デズモンドのお屋敷。トーキー(有声映画)になってすっかり姿を見せなくなったノーマは、サンセット大通りの鬱蒼とした大邸宅で、執事のマックスと暮らしていたのです。ジョーが脚本家だと知って、自分の書いた脚本『サロメ』を手直しさせるノーマ。ノーマはトーキーになってすっかり声がかからなくなり、長く女優業から離れていました。が、今も気持ちは現役の大女優。映画界への復帰を渇望し、自らが演じるための脚本を書いていたのですね。ジョーはそんなノーマを冷めた目で見ていましたが、ジョーの荷物が勝手に運び込まれ、立派な洋服を仕立ててもらい、蜘蛛の糸に絡め取られるように、ジョーはサンセット大通りでノーマとの暮らしに溺れてゆきます…。

世界中の女優が憧れるノーマという役

このミュージカルでは、『オペラ座の怪人』で知られるアンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲を手がけています。“現代のモーツァルト”と呼ばれるロイド=ウェバーらしい、甘美さと陰鬱さ、優雅さを行ったり来たりする艶やかな音楽で、一度聞いたら耳から離れない中毒性がたまらない。ミュージカル『サンセット大通り』は1993年にロンドン・ウエストエンドで初演、95年にブロードウェイに進出し大成功を収めました。この年のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル主演女優賞他、7部門を受賞しています。

特に主人公のノーマという役、女優なら絶対にやりたい役といわれ、数多の女優さんたちが熱望してきたとか。実際、ロンドン初演ではミュージカル界の大スターであるパティ・ルポン、その他、今までグレン・クローズ、エレイン・ペイジなど錚々たる女優が演じてきました。

日本でも多くの女優さん憧れの役ですが、2012年日本初演の際、ノーマを演じたのは安蘭けい。今回はその再演となり、ノーマ役は安蘭けいと濱田めぐみのダブルキャスト。ジョー役を平方元基、柿澤勇人が務めています。ペアは固定で、安蘭・平方組と濱田・柿澤組。全く個性が異なる2組で、役作りも変えてきているので、同じ物語、同じ音楽でもこんなに違うのか!と新鮮な驚きで満たされます。ぜひ両ペアを確かめてくださいね。
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