銀座で注目のモダンフレンチ
グランメゾンから会員制レストラン、洒落たビストロや最先端の料理を提供する店など、銀座には様々な飲食店があります。その中でも特に注目したいのが、2018年9月1日にグランドオープンした「fits」。 ソムリエの資格を持ち、ファインダイニングでの経験も豊富な店主 矢作太一氏と、高級店からビストロまで腕をふるい、セララバアドの橋本宏一氏と同じ時期に、分子ガストロノミーで一世を風靡したエル・ブジで研鑽を積んだシェフ 角知憲氏がタッグを組んだレストランです。
やさしくて居心地のよい店内
店内はオフホワイトの灯りや壁が用いられており、やわらかい印象を与えます。赤土が使われた壁には温もりがあり、稲穂のデザインは心を和ませます。 メゾネットタイプになっており、中2階は個室としても利用できます。地階ですが、天井が高いので窮屈さは全くありません。ゆっくりと寛ぐことができるでしょう。 カトラリーはテーブルのドロワーの中に用意されています。箸でもスプーンでも、ナイフでもフォークでも、好きなものを自由に使い、気楽に食べてもらいたいという矢作氏の考えです。コースでもアラカルトでも楽しめる
「多様な価値観を受け入れる、オーダーメイドに迎える銀座のセカンドハウス」を標榜しているだけあって、アラカルトもコースも充実。アラカルトはクラシックなフレンチスタイルをベースとしており、メニューからチョイスできることはもちろん、食材を自分で選んで好みのスタイルで調理してもらうこともできます。
コースでは豊かなフレンチのキャリアを礎にした角氏の独創的な料理やデザートを堪能できます。プリフィックススタイルで、選べる楽しみもあるのが嬉しいところです。
アラカルトもお勧めですが、この記事では月替りで新しくなる8皿のコースメニューとワインを紹介しましょう。
■今月のコースメニュー(7500円、税別)
- 2種のアミューズ
- 低温調理 タスマニアサーモン サワークリームと黒胡椒 グレープフルーツ or バフン雲丹のフラン(+500円、税別)
- 焼き小籠包 海老 白身魚 エスカルゴバター
- 様々な温野達 色々な調理方法で ビーツ
- 穴子の鉄板焼き サフランと生姜 柿 or 三重産 真ハタのソテー 春菊のソース(+500円、税別)
- 京鴨の炭火焼 ロメスコソース or 熊本産赤牛ロースのステーキ 赤ワインソース(+1500円、税別)
- ココナッツのブランマンジェ 巨峰 ローズヒップ
- カフェ
充実したワイン
ワインはバイ・ザ・グラスで15種類も用意されており、シャンパーニュから白ワイン、赤ワイン、デザートワインまで選ぶことができます。コルクに穴を開ける器具「CORAVIN(コラヴァン)」で開けて注ぐので、ワインが酸化せず、よい状態を保ったまま、おいしく飲めます。ペアリングも以下のように充実しているので、ソムリエでもある店主の矢作氏にお任せするのもよいでしょう。
- 3グラスワイン・ペアリング セット(4000円、税別)
- 6グラスワイン・ペアリング セット(7500円、税別)
- 3種ノンアルコールペアリングセット(4000円、税別)※湘南藤沢の“ロイヤルブルーティー”のセット
ドラピエ カルト ドール ブリュット(1400円、税別)
「fits」のグラスシャンパーニュです。ピノ・ノワール90%、シャルドネ7%、 ピノ・ムニエ3%。ブランドノワールに近い配合なのでしっかりとした果実味があって、前菜にもぴったり。サンセール・ラ・クロワ・デュ・ロワ 2015(1200円、税別)
フランス・ロワール地方の白ワインで、ソーヴィニヨン・ブラン100%。レモンやライムといった柑橘類のフレッシュな香りは、魚介類によく合います。シャトー オー バージュ リベラル(1700円、税別)
フランス・ボルドー地方の赤ワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロ25%。カシスの風味が強く、円熟しているので、メインディッシュである京鴨との相性も抜群です。2種のアミューズ
右側のピンチョスは、サツマイモとベーコンのドフィノワ。チョリソー、アイオリソースで食欲をかきたてます。赤いパウダーはパプリカ。左のスプーンに載せられているのは、マッシュルームとカリフラワーの冷製スープ。京鴨とコンソメのジュレにアマランサスが加えられています。一口で食べるとコンソメの旨味とスープの塩味が一体となり、ちょうどよい味わいに。
チャパタ
クラストがパリッとしたチャパタ。コルクのバスケットで提供されており、温もりを感じさせます。白玉粉のお団子 ベシャメル ハム チーズ
白玉粉でベシャメルソースとプロシュート、チーズを包み込みオリーブオイルでフリット。もちもちとした不思議な食感です。バフン雲丹のフラン
下にはバフンウニとサフランのエスプーマ、イクラ、蕎麦つゆのジュレ。生のバフンウニが載せられ、岩塩の泡が添えられています。ウニの味わいが引き立つ組み合わせです。見た目も印象的な角氏のシグネチャーディッシュのひとつで、分子ガストロノミーのニュアンスが感じられる一品なので、是非とも体験してみてください。
ちなみに分子ガストロノミーとは、化学的および物理的なアプローチから調理した料理です。角氏がかつて修行し、「世界一予約が取れないレストラン」といわれたスペインのエル・ブジ(現在は閉店)に代表されます。
焼き小籠包 海老 白身魚 エスカルゴバター
小籠包の中にはエスカルゴバター、ホタテ、ヒラメ、小海老、フュメ(魚の出汁)が包まれています。普段食べている小籠包のつもりで食べてみると、魚介の心地よい風味が広がって、よい意味で驚かされるでしょう。小籠包は表面を焼いてあるので、香りも立っています。様々な温野達 色々な調理方法で ビーツ
カリフラワー、紅芯大根、ズッキーニ、レンコン、マコモダケ、芽キャベツと野菜がたっぷり。レンコンほ炭火焼き、カリフラワーはソテーなど、それぞれの野菜によって最適な調理方法が選ばれています。赤はビーツとブイヨンのソースで、黄色はピールを裏ごししたレモンのピューレ。穴子の鉄板焼き サフランと生姜 柿
江戸前の穴子とは異なり、洋食なので大振りの穴子で提供。穴子は酒蒸しして、表面はカリッと焼いてあります。緑はカブの葉を裏込したピューレ、黄色はサフランとジンジャーのソース。甘味のある柿とアマレットのソースも添えて、ソースによる様々な変化も楽しめるように工夫しています。京鴨の炭火焼 ロメスコソース
京鴨の胸肉を炭火で焼いてあり、燻香が心地よいです。京鴨の味を引き立てるロメスコソースは、スペイン・カタルーニャ地方の名物。パプリカとトマト、ヘーゼルナッツ、アーモンド、タバスコ、ビネガーが使われています。周りにはペコロス、葉ネギ、刻んだネギのフリットと、鴨に相性のよいネギ類を。黒いパウダーはマッシュルームから作られており、トリュフのようなニュアンスも感じられます。
ココナッツのブランマンジェ 巨峰 ローズヒップ
ココナッツのブランマンジェにはチュイール、白ワインのコンポート、巨峰、赤はローズヒップのジュレが添えられています。甘みは適度で、最後に相応しい、とてもサッパリとした一品。ダージリン
最後はコーヒーやカフェオレ、紅茶などから選べます。紅茶はマリアージュ・フレールのマルコ・ポーロやダージリン専門店であるリーフルダージリンハウスのダージリンなどが用意されており、ここでもこだわりが感じられます。写真はリーフルダージリンハウスのダージリン。夏摘みのセカンドフラッシュなので、味わいや香りはそれなりに強く、品のよい甘味も感じられます。
■fits(フィッツ)
住所:東京都中央区銀座5-9-17 あづまビル B1
TEL:03-6264-5588
営業時間:18:00~23:00(L.O. 22:00)
※ランチタイムは土日祝のみ、1日1組限定貸切、完全予約制
定休日:なし
アクセス:「銀座」駅から徒歩1分
地図:Yahoo!地図情報
URL:https://fits-ginza.com/
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