企業のIT活用

従業員が新型コロナに感染したら、どう広報する? ホームページへの掲載例や対策

従業員からPCR検査の結果で新型コロナ陽性となったと申し出があった時、皆さんの会社では対応策が決まっていますか。下火になったといっても新型コロナがゼロになったわけではなく、いつぶり返すか分かりません。エボラ熱、エイズ、鳥インフルエンザ、SARSなど次々と感染症が登場し続けていますので、従業員が感染症に感染した時の対応を考えておきましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

従業員から新型コロナウイルス陽性の申し出が

従業員から新型コロナウイルスに感染したと報告が

従業員から新型コロナウイルスに感染したと報告が

「PCR検査の結果で陽性となりました」

濃厚接触者として自宅待機していた従業員から連絡がありました。皆さんの会社では従業員の感染が判明した時の対応策が決まっていますか。

新型コロナウイルスがゼロになることはなく、いつ次の波がくるか分かりません。今までもエボラ熱、エイズ、鳥インフルエンザ、SARSなどが登場し、今後も新しい感染症が誕生し続けるでしょう。従業員が感染症にかかった時の対応を考えておきましょう。
 

関係各所への報告と消毒

従業員に新型コロナ感染者が発生したら速やかに管轄の保健所に報告し、指示に従う必要があります。あらかじめ管轄の保健所を調べておき、誰が保健所との連絡窓口になるか担当者を決めておきましょう。また感染者が出たら保健所に本人の情報などを伝えないといけないので従業員から個人情報の第三者提供について同意をとっておきましょう。

保健所に情報提供する項目は従業員が勤務していた場所、発症日、感染者の業務内容、事務所のフロア図・フロアのどこに座っていたかなど従業員の情報と濃厚接触者、日頃取引のある業者などになります。必要に応じて取引先やビル管理会社にも連絡をしましょう。

次に事務所内の消毒を行います。保健所の指導に基づいて行いますが、消毒費用は事業者の自己負担になります。感染状況によっては保健所が指導している暇がないので自ら動く必要があります。地域で消毒を頼める事業者をリストアップしておきましょう。

事業者へも依頼が殺到しパンクしている状況がありますので、その場合は自力で対応せざるをえません。アルコール(70%)又は次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)の消毒液で消毒します。従業員が触れた可能性があるドアノブ、テーブル・椅子、照明スイッチ、電話、エレベーターのボタン、蛇口、トイレのレバーなどになります。
 

従業員の新型コロナ感染をホームページに掲載する必要はあるか

従業員が新型コロナに感染した場合、小規模企業や中小企業は基本的に公表する必要なく、公表はケースバイケースとなります。ただ感染した従業員が中心メンバーになっている事業があり、感染によって地域経済に影響を与える場合や感染拡大の可能性がある場合などは対外的に発表した方がよいでしょう。例えば路線バスの運転手が感染し、代替要員がおらず路線バスが走らせられないようなケースです。中堅企業や上場企業であれば変な噂が拡がる前に広報したほうがよいでしょう。

■掲載例

弊社で新型コロナウイルスの感染者が1名確認されましたので、お知らせいたします。

また、職場の消毒等は適切に実施しておりますが、商品の発送が1週間ほど遅れる見込みです。お客様にはご迷惑をおかけすることをお詫び申し上げます。

引き続き、保健所の指導に基づき適切に対応するとともに、感染拡大防止対策を継続して実施してまいります。

(問い合わせ先)総務 XXX-XXXXX


大手企業の発表例では人数だけ発表している企業から事業所名、発症にいたる経緯、最終出社日まで詳しく発表している企業までさまざまです。一般的に感染場所、人数、経緯(感染が判明するまでの感染者の行動)、事業所の対応(感染者への対応、消毒作業の内容)、濃厚接触者の有無等は公表した方がよいでしょう。ただ他者に感染させる可能性がない時期の行動歴等については公表は不要です。

■掲載例【詳細版】

弊社で新型コロナウイルスの感染者が1名確認されましたので、お知らせいたします。

感染者:〇〇事業所に勤務する社員 1名
濃厚接触者:現在、所管保健所の指導のもと確認中
経緯:〇月〇日(曜日) 症状が発生
   〇月〇日(曜日) PCR検査を受ける
   〇月〇日(曜日) 午後に陽性が判明
最終出勤日:〇月〇日(用意)
事業所の対応:〇月〇日(曜日)に感染疑いがある社員の連絡があったため、同日、社員の行動範囲の共用部の消毒作業を行う。
消毒箇所:事業所内、ビル通用口、共用廊下、トイレ、給湯室
業務への影響:ありません

今後につきましては、保健所の指導に基づき適切に対応するとともに、感染拡大防止対策を継続して実施してまいります。

(問い合わせ先) 総務 XXX-XXXX

 

BCPを事前に作成しておく

BCP(事業継続計画)を作成しておきましょう。BCPでは地震、火災、洪水などの緊急事態に遭遇した時に、事業資産の損害を最小限にとどめながら、守るべき事業の継続あるいは早期復旧を可能とすることを目的にしています。

そのために平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを計画として取り決めておきます。今までは地震や火事などの自然災害を中心に想定していましたが、これからは感染症による影響も含めなければなりません。

また新型コロナウイルスの影響でいったん落ち込んだ販売が急速に持ち直したことなどから、半導体メーカーの供給が追いつかず自動車の生産などサプライチェーンに影響を与えました。予想するのはなかなか難しいですが、調達や仕入れについても、いろいろなシナリオ想定が必要になりそうです。
 

今後も感染症が続く

スペインから来たピサロがわずかの兵でインカ帝国を征服しましたが、原因は武器の差ではなくヨーロッパから持ち込まれた感染症による人口減少でした。京都の祇園祭も、もともとは疫病払いに由来するなど、我々は長年、感染症とつきあってきました。

新型コロナウイルスが収束することになっても、新しい感染症が次々に登場し続けていきます。従業員が感染症にかかった時の対応などをしっかり考えておきましょう。
 
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で企業経営関連の書籍を見るAmazon で企業経営関連の書籍を見る
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます