消費税が8%に据え置かれるケースとは?
消費税等(消費税及び地方消費税)は、2019年10月1日以降に行う取引から10%に引き上げられる予定ですが、8%のまま据え置かれるものもあります。1つは、飲食料品と新聞等の軽減税率ですが、もう1つ、経過措置と呼ばれるものがあります。経過措置は10種類
現時点において、公表されている経過措置は下記の10種類となります。一定の条件のもとに当てはまるものもありますので、購入前に確認をしてください。<1>旅客運賃等(旅客運送の対価や映画・演劇を催す場所、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等への入場料金等)
2014年4月1日から2019年9月30日までの間に支払っているものポイントは、2019年9月30日までに支払っていることです。
例えば、旅行に行く予定の前売指定席券や回数券、定期乗車券は、2019年9月30日までに購入、支払いしておくと8%でOK。(実際は購入時に確認を)ちなみに、ICカードにチャージしただけでは、購入したことになりませんので注意して下さい。
<2>電気料金等(継続して供給している電気、ガス、水道、電話、灯油に係る料金等)
2019年10月1日から2019年10月31日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定するものポイントは、継続して契約しており、10月中に料金が決まるものです。
これは、電力計などによる検針により使用量を把握して料金が確定することを想定していますので、インターネット通信料などで、使用量の多寡にかかわらず、毎月一定額を支払うものは対象となりません。
<3>請負工事等
2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した工事等に係る請負契約に基づき、2019年10月1日以後に引渡し等を受けるものポイントは、2019年3月31日までに締結する請負契約であることです。2019年9月30日ではありませんので注意して下さい。例えば、注文住宅の建設を予定している場合、請負契約を2019年3月31日までに締結しておけば、その引渡しの日が2019年10月1日以降になったとしても、消費税は8%のままとなります。
<4>資産の貸付け
2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、2019年9月30日以前から同日以後引き続き貸付けを行っている場合における、2019年10月1日以後に行う当該資産の貸付けこのポイントも、2019年3月31日までに締結する資産の貸付けに係る契約であることです。2019年9月30日ではありませんので注意して下さい。
<5>指定役務の提供(冠婚葬祭のための施設の提供などで、提供の時期をあらかじめ定めることができないもの)
2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した役務の提供に係る契約で当該役務の提供に先立って対価の全部又は一部が分割で支払われる契約に基づき、2019年10月1日以後に当該役務の提供を行うものこのポイントも、2019年3月31日までに締結する冠婚葬祭のための施設の提供等に係る契約であることです。2019年9月30日ではありませんので注意して下さい。
<6>予約販売に係る書籍等(軽減税率が適用される取引を除く)
2019年3月31日までに締結した不特定多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍等に係る対価を2019年9月30日までに領収している場合で、その譲渡が2019年10月1日以後に行われるものポイントは、2019年3月31日までの契約締結と、2019年9月30日までに支払っていること。
<7>特定新聞(軽減税率が適用される取引を除く)
不特定多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞で、発行者が指定する発売日が2019年9月30日以前であるもののうち、その譲渡が2019年10月1日以後に行われるものポイントは、発売日が2019年9月30日以前であること。
<8>通信販売(軽減税率が適用される取引を除く)
通信販売の方法により商品を販売する事業者が、2019年3月31日以前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、2019年9月30日以前に申込みを受け、提示した条件に従って2019年10月1日以後に行われる商品の販売です。ポイントは、2019年3月31日以前に販売価格等の条件を提示等すること。したがって、日々価格が更新されるネット通販には適用されない可能性が高いと思われます。
<9>有料老人ホーム
2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した有料老人ホームに係る終身入居契約(入居期間中の介護料金が入居一時金として支払われるなど)に基づき、2019年9月30日以前から同日以後引き続き介護に係る役務の提供を行っている場合における、2019年10月1日以後に行われる入居一時金に対応する役務の提供。ポイントは、2019年3月31日までに締結した有料老人ホームに係る終身入居契約であること。
<10>特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化等
家電リサイクル法に規定する製造業者等が、同法に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に係る対価を2019年9月30日以前に領収している場合で、当該対価の領収に係る再商品化等が2019年10月1日以後に行われるもの。ポイントは、2019年9月30日までに支払っていること。
以上のように、期限としては、2019年9月30日以外に2019年3月31日も多々あります。
今後、上記取り扱いが変更となる可能性もありますので、取引を行う際には、取引先や専門家等に確認した上での対応をお願いします。
増税前の駆け込み購入は慎重に!
消費税等が増税される際には、金額的に高額となり得る住宅や車の購入などを検討する方も多いと思います。今回の消費税等の税率の増加は2%です。5,000万円(税抜き)の住宅を購入し、建物部分の価額が3,000万円だとすると、60万円となります。500万円(税抜き)の車を購入した場合では10万円です。2019年10月1日以降、需要が減少し、住宅や車などの値段が下落、値引きがおこなわれることも考えられますし、住宅には、住宅ローン控除やすまい給付金等がありますので、消費税等の増税だけをとらえて判断するのではなく、トータルな視点で判断したいものです。
今後の対策として、ポイント還元やプレミアム付き商品券など、新たな対策の検討もなされています。今後の動向にも注視しましょう。
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【参考】国税庁HP
平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf