万年筆よりも「つけペン」の方が実用的かも?
手紙を出す機会は少なくなってきましたが、手紙というほどと大げさではなくても、一筆箋に短い文章を書き添える機会は多くあるものです。以前はカートリッジ式の万年筆を使っていましたが、文字を書く機会が減るにつれて、つけペンの方が便利なのでは?と思うようになりました。 つけペンは、ボトルに入ったインクにペン先をつけて使用し、書き終えたら、ペン先についたインクを流水で洗い流します。つけペンが1本あれば、複数のインクを使い分けることも可能です。「インク沼」と呼ばれる、奥深い色の世界
万年筆のボトルインクは、カラーバリエーションが充実しています。たとえば、パイロットの色彩雫は全24色、仏エルバン社のトラディショナルインクは全30色、伊ルビナート社のボトルインクは全22色など。定番のブルーやブルーブラックも、メーカーによって微妙に色が違っています。同じメーカーでも異なる色合いを出していたりと、マニアの間では「インク沼」と呼ばれる、実に奥深い色の世界が広がっているのです。
芸術性と機能性を兼ね備えた「ガラスペン」
つけペンは、スチール製のペン先をペン軸につけるタイプと、全体がガラスでできているガラスペンに大別されます。ガラスペンは、芸術的な美しさが目を惹きますが、機能性も優れているのです。毛細管現象を利用した筆記具なので、ペン先には溝があり、インクを1度つけるとかなりの長さの筆記が可能です。ヴェネチアのムラノ島で作られる、ルビナート社の「ガラスペン」
ガラスペンの歴史は意外にも新しく、1902年、風鈴職人の佐々木定次郎さんが考案した、日本生まれの筆記具です。国産品は工芸品のような趣きのものが多く、価格帯も数万円と高価です。中国製など、千円を切る価格帯のものもありますが、ビギナーにも買いやすい価格帯は、ヨーロッパのブランドの製品が充実しています。私は、美しさと書きやすさに定評のある、イタリアのルビナート社のベーシックゴールドデコレイトを使っています。美しいらせん模様を描くクラシックなデザインは、文字を書くという行為にともなう、適度な緊張感を味わわせてくれます。
■DATA
フランチェスコ・ルビナート社
ガラスペン ベーシックゴールドデコレイト
サイズ:19cm 価格:2916円(税込)