確定申告/ふるさと納税・寄附金控の確定申告

寄附金控除を確定申告する時の手続きと記入方法

寄附金控除を受けるためには、年末調整では申告できません。確定申告が必要です。寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に次の書類を添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。必要書類や記入方法などを紹介します。また、寄附金控除とふるさと納税の計算方法・申告方法の違いについても解説します。

坂口 猛

執筆者:坂口 猛

初心者のための相続税・税金ガイド

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寄附金控除を確定申告する時の手続きと記入方法とは?年末調整はできない

寄附金控除は、年末調整ではできません。確定申告が必要です。寄附金控除に関する事項を記載した確定申告書に次の書類を添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。

(1)寄附した団体などから交付を受けた領収書など

(2)(1)の領収書などのほか、次に掲げる書類(該当する場合)
イ 設立団体のその旨を証する書類の写しとして交付を受けたもの(地方独立行政法人)
ロ 特定公益増進法人である旨の証明書の写し
ハ 特定公益信託であることの認定書の写し
ニ 選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」
ホ (1)の領収証などに加え、以下の書類

(イ)特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書
(ロ)特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
(ハ)都道府県知事等が発行した特定新規中小会社に該当するものであること等の一定の事実の確認書
(ニ)特定新規中小会社が発行した個人投資家が一定の同族株主等に該当しない旨の確認書
(ホ)特定新規中小会社から交付を受けた株式異動状況明細書
(ヘ)投資契約書の写し
 
寄附金

確定申告書・第一表の記入欄

 
寄附金

確定申告書・第二表の記入欄

(国税庁HPより)

また、税額控除の適用を受ける場合には、下記の書類等の添付も必要となります。
 

政党等寄附金特別控除の場合

・政党等寄附金控除特別控除額の計算明細書
・総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」
 

認定NPO法人等寄附金特別控除

・寄附金の明細書
・寄附金を受領した旨、寄附金が認定NPO法人の主たる目的である業務に関連する旨、寄附金の額及び受領年月日を証する書類(寄附者の住所、氏名が記載されたもの)
 

公益社団法人等寄附金特別控除

・寄附金の明細書
・次の書類

(1)寄附金を受領した法人の名称、受領した旨、寄附金がその法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である旨、寄附金の額及び受領年月日を証する書類(寄附者の住所、氏名が記載されたもの)
(2)所轄庁のその法人が税額控除対象法人であることを証する書類の写し
 

計算例として、9万7000円を寄付した場合。政党等寄附金特別控除が適用される

所得金額5,226,000円(⑤)、所得から差し引かれる金額2,589,196円(⑳)、政党等寄附金支出額97,000円のケース
寄附金

確定申告書の記入例

 
寄附金

寄附金控除の計算

(国税庁HPより抜粋)

このケースの場合、28,500円(㉕)(A)の税額控除になります。

なお、このケースの場合で、仮に、所得控除を選択した場合には、

(所得金額5,226,000円(⑤) - 所得から差し引かれる金額2,589,196円(⑳))

= 寄附金控除95,000円(97,000円-2,000円) ⇒ 課税される所得金額(㉑修正) 2,541,000円
 課税される所得金額 × 10% - 97,500円 =156,600円
寄附金控除前の税額(166,100円(㉒))との差額 △9,500円(B)

つまり、税額控除を選択した場合、所得税額が28,500円(A)の減少となりますが、所得控除を選択した場合には、9,500円(B)の減少になり、19,000円の差がでるということです。

一般的には、所得控除よりも 税額控除の方が有利になると言われておりますが、ケースにより異なる場合もあるため、検証が重要です。
 

寄附金控除とふるさと納税の違いとは?

ふるさと納税は、住民税の税額控除ですが、通常の所得税の寄附金控除や住民税の税額控除だけでは所得税率+住民税率が限度(2000円除く)となってしまうため、ふるさと納税での特例として、住民税において特例控除額を設けて、実質的な負担額が2000円になるように調整しています。
 

ふるさと納税のしくみ

ふるさと納税は、所得税と住民税のセットで計算されるしくみとなっています。(ワンストップ特例制適用※を除く)
 

1.所得税

その年中に支出した特定寄附金の額の合計額 -2000円 = 寄附金控除額
寄附金控除額 × 所得税率 ×1.021(復興特別所得税) = A
 

2.住民税(ⅰとⅱの合計額)

ⅰ.基礎控除
(その年中に支出した特定寄付金の額の合計額 -2000円) × 10% = B

ⅱ.特例控除額
(その年中に支出した地方公共団体に対する寄付金の額の合計額 - 2000円)
× ( 90% - 所得税の税率 × 1.021)) = C

上記A~Cが節税効果額となります。
 

計算例:10万円のふるさと納税を実施、所得税率は23%であった場合。(限度超過なし)

1. 所得税
100,000円 -2,000円 = 98,000円
98,000円 × 23% × 1.021(復興特別所得税) ≒ 23,013円 (Ⅰ)

2. 住民税
ⅰ.基礎控除
(100,000円- 2,000円) × 10% = 9,800円 (Ⅱ)

ⅱ.特例控除額
(100,000円 - 2,000円) × ( 90% - 23% × 1.021)) ≒ 65,187円 (Ⅲ)
☆ (Ⅰ)+(Ⅱ)+(Ⅲ)=98,000円 ⇒ 100,000円 - 2,000円 と一致します。
 

ふるさと納税のワンストップ特例制度とは?

都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと納税)を行った場合、確定申告が不要な給与所得者について、ふるさと納税先が5団体以内の場合に限り、これらの団体に申請することにより確定申告不要でふるさと納税の寄附金控除を受けられるのです。

ふるさと納税ワンストップ特例のメリットと注意点

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