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暗記方法のコツ!勉強したことを忘れない記憶の極意

「暗記が苦手」な人に、「暗記が得意」になるためのとっておきの暗記方法を紹介します。様々なジャンルに対応する暗記のコツをしっかりおさえましょう。最近は「思考力」の重要性が取りざたされていますが、暗記は変わらず勉強法の基本です。忘れない記憶の極意とは?

宮本 毅

執筆者:宮本 毅

学習・受験ガイド

思考力重視時代でも、「暗記」は変わらず必要

思考力のバックグラウンドとなる知識は今後も重要。社会や理科など様々なジャンルに対応する暗記方法とは?

思考力のバックグラウンドとなる知識は今後も重要。社会や理科など様々なジャンルに対応する暗記方法とは?

「思考力」と一概に言っても、無から有は生まれないように、バックグラウンドとなる「知識」がなければ「思考」することはできません。すなわち「思考力」を身につけたければ、まずはしっかりとした知識を身につけねばなりません。

しかし「知識」は、覚えようとしなければ身につくことはありません。「思考力重視時代」であっても、覚えることが学習の基本であることは、今も昔も何ら変わることはないのです。「そうはいってもなかなか覚えられない」そう感じている人は意外に多く存在すると思います。

そこで今回は「暗記が苦手」な人に、「暗記が得意」になるためのとっておきの方法をご紹介します。社会や理科の暗記単元はもちろん、「算数の解法パターン」や「国語の漢字」の覚え方など、様々なジャンルに対応する暗記のコツです。
 
<目次>
 

社会の暗記方法:「エピソード記憶」を活用せよ!

社会の暗記方法は、「エピソード記憶」を活用しよう

社会の暗記方法は、「エピソード記憶」といい自分が体験したことは長期記憶として残りやすいことを活用

多くの人が「暗記がなかなか進まない」とか「覚えたことをすぐに忘れちゃう」といった悩みを抱えています。しかし暗記が苦手と悩んでいる割には「記憶のメカニズム」のことをよく知らない人が多いのも事実。まずは「記憶のメカニズム」からしっかり理解しておきましょう。

「記憶」は大きく分けて「感覚記憶」→「作動記憶」→「短期記憶」→「中期記憶」→「長期記憶」に分かれ、この順番に保持時間が長くなっていきます。「長期記憶」には「エピソード記憶」「意味記憶」「手続き記憶」などの種類がありますが、いずれも半永久的に脳内に保持されます。暗記の最終目標は、すなわち「情報の長期記憶化」にあります。なにしろ長期記憶化してしまえば、試験時はおろか、半永久的に忘れることはないわけですから。

ではどうするか。覚えるときに最初から忘れにくいかたちで覚えてしまえばよいということになりますね。長期記憶の一種に「エピソード記憶」というものがあります。これは自分が体験した出来事の記憶にあたります。すなわち自分が体験したことは長期記憶として残りやすいということです。

例えば、社会の地理を覚えるときに、旅行をしながら暗記していけば、それが「エピソード記憶」として残りやすいということになりますね。でも日本全国を旅することは難しいです。そこで活躍するのが地図帳です。地図帳をなぞって疑似旅行をしながら覚えていくわけです。「新幹線に乗って東京駅を出発。東京は日本の文化の中心地だから新聞社などの出版・印刷業がさかんなのだ。川崎を通り過ぎるとき、車窓からは製鉄所や石油化学コンビナートの工場群が見える。やがて新横浜に到着。横浜はヨコハマタイヤやヨコハマゴムなどのタイヤ工場や日産の工場などがあって自動車工業がさかん……」といった具合に。

歴史ならばなんといっても「歴史マンガ」がおススメです。私のイチオシは朝日新聞出版の「マンガ日本史(分冊百科)」です。これについては「有名漫画家が豪華共演!日本史の勉強はコレで決まり!」の記事をご参照ください。

暗記をする際に忘れてはいけないのは、覚えたいことを必ず「声に出して読む」ということ。最低10回は声に出すようにしてください。日本人はシャイなため、声に出すのは恥ずかしいとなかなか声に出さないのですが、声に出さないと頭に残る効果が半減します。絶対に声に出すようにしてくださいね。
 

理科の暗記方法:「オートクライン効果」が効く!

人間の身体の中では、細胞同士が分泌物によって様々な情報伝達をおこなっています。そうした細胞間情報伝達の中で、ある細胞からの分泌物が直接近隣の細胞に作用することを「パラクライン」と呼びます。これに対して分泌された物質が分泌した細胞そのものに作用する場合を「オートクライン」といいます。

コーチングの世界ではこの生理現象をヒントに、自分が発したことばを自分で聞くことによって、自分の考えに気づいたり納得したりすることを「オートクライン効果」と呼んでいます。人の脳は、自分の内側に抱えている情報を一度外に出さないと認識することができないと言われています。会話をしていてふと自分の気持ちに気づく、なんてことはありませんか。それこそが「オートクライン効果」なのです。

理科では、ただ暗記するのではなく、原理・原則を理解することが重要になります。むしろ原理・原則を理解した方が、暗記が進みます。そこで「オートクライン効果」を上手に活用するのがよい方法となります。
 
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心臓のつくりはとても複雑だが、名前の付け方のルールや、そのつくりのはたらきを考えるとグッと覚えやすくなる

例えば、「心臓のつくり」を暗記しようとする場合には、次のように考えていきます。「房という漢字は小さい部屋を表す」「室という漢字は大きい部屋を表す」「心臓は自分の体のことなので向かって右側が左に、左側が右になる」「心臓から出ていく血管は動脈」「心臓に入ってくる血管は静脈」「血管名には心臓とつながっている臓器の名前が頭につく」「前進とつながっている場合は大〇〇」以上を自分に解説するように何度も声に出して読みます。するとオートクライン効果が働いて、自然と右のような図が書けるようになるわけです。

このとき重要なのは「しっかりと声に出して読む」ということです。暗記の鉄則は、「社会暗記」の項でも触れましたが、「覚えたいことは最低10回は声に出す」です。声に出した方が断然記憶に残ります。逆に声を出さずに暗記が進む人がいたら、その人はこの記事を読む必要がない人です。もしどうしても恥ずかしくて独り言が嫌なのであれば、親でも友達でも誰か他の人に説明するようにしましょう。そうすれば「オートクライン効果」で、覚えたいことがきっと頭に入りますよ。
 

社会の年号や植物など暗記方法:「ゴロ合わせ」が有効!

暗記法の本やサイトには、必ずと言っていいほど紹介されている王道の暗記法があります。それが「頭文字暗記法」。頭文字暗記法とは、暗記したい事柄の頭文字だけを取って並べて、機械的に丸暗記するという方法です。「イクヤマイマイオヤイカサカサ」とか「メガフェップス」とか聞いたことがあるでしょう。受験生時代に必死に覚えたこれらは「頭文字暗記法」による覚え方です。

この頭文字暗記法は、これ自体でもとても有効なのですが、この方法だと頭に刷り込まれるのにかなり繰り返さねばならず、やや効率がよくないところもあります。そこで皆さんにはこの頭文字暗記法を一歩進めて、頭文字をとりだしたらそれを使って語呂合わせを作って覚えるという方法をオススメしたいと思います。

例えば、「単子葉植物」を覚えたいと思ったら、「イネ・ムギ・トウモロコシ・ササ・ススキ・ユリ・ネギ・チューリップ・アヤメ・ツユクサ」などを暗記せねばなりません。そこでこれらの頭文字「イ・ム・ト・サ・ス・ユ・ネ・チ・ア・ツ」を抽出して並べ替え「ツ(ユ)・ア・サ・ト(ウ)・ネ・ム・イ・ユ(リ)・チ(ュー)・ス」とします。これに意味をつけて「梅雨の朝10(とう)時ねむいユリちゃんにチューすきすき」とするのです。こうすれば単なる頭文字の羅列よりもずっと記憶に残りやすいですよね。

自分で語呂合わせを作れば愛着が湧いて忘れにくいですし、内容が面白かったり強烈な印象を持つものだったりすると、一発で頭に入りやすいです。例えば、「平清盛いいむなげ」「納豆ネバネバ平城京」などは受験期が終わって何十年経っても忘れませんが、それは内容が強烈だからです。オリジナルの強烈な語呂合わせを作って、ガンガン覚えていきましょう!
 

算数の暗記方法:「作図作戦」を使えば苦手も克服!

算数は、図を書いて覚えよう

「つるかめ算」や「過不足算」など算数の解放パターンは、図を書いて覚えよう

算数には様々な解法パターンが存在します。「つるかめ算」とか「通過算」といえば中学受験の算数の代名詞ともいえますよね。算数が苦手な人の中には、「差集め算とか過不足算とかいろいろあるけど、いったいどの解法を使えばいいのかわからない」という人も数多くいるのではないでしょうか。

算数は、もちろん思考力を問うタイプの問題もたくさん出題されますが、解法パターンを使って解けば効率よく解くことができる問題も多数出されます。そしてこの解法パターンさえ完璧にマスターしてしまえば、平均点(偏差値50)を取ることは、はっきり言ってカンタンです。「そうはいっても無数にある解法パターンを暗記するのが難しい!」そんな嘆きの声が聞こえてきそうですね。でも上手に学べば、覚えること自体をグッと少なくできるのです。それが「作図作戦」です。

これはいったいどんな作戦なのかというと、関連ある解法パターンごとに作図方法を決めてしまい、その作図のしかたを頭に入れていくというものです。例えば「つるかめ算」「差集め算」「過不足算」「平均算」といったものは全て「面積図」という作図法で解くことができます。このように塾でバラバラに習った各会報パターンを、たとえば「面積図」とか「線分図」といった大きなカテゴリの中にネストしていくことによって、覚えるべき解法パターンを減らしてしまうわけです。

また「作図作戦」には別の効用もあります。図を書くという作業は、一番最初にご説明した「記憶の種類」の中の「手続き記憶」に当たります。「手続き記憶」とは主にスポーツや音楽における記憶そのことを指し、いわゆる「体で覚える」状態と考えてください。スキーで滑るときや自転車に乗るとき、「こうしてああして」といちいち頭で考えませんよね。算数もそういう状態にしてしまえばいいわけです。そのときに活用できるのが「作図作戦」というわけです。

図を書くことは確かに面倒くさいですが、いったん書き慣れてしまえば、算数の問題が自動的に解けるようになってしまうのでかえって楽です。まずは面倒くさがらず、図を書いてみましょう。
 

漢字の暗記方法:漢字が苦手な子のキーワードは「分解」と「書き順」!

漢字の暗記は、書き順を意識することが大事

漢字の暗記は、分解と書き順を意識することが大事

漢字がなかなか覚えられないという子が世の中には一定数います。こうした子たちはもう一生漢字が苦手なままなのでしょうか。いいえそんなことはありません。自分の名前の漢字は覚えられたわけですし、小学校一年生や二年生の漢字ならきちんと覚えられているわけですから、もっと複雑な漢字も工夫の仕方によっては覚えられるはずなのです。

高学年になり漢字が覚えられなくなってしまう原因の主たるものは、「漢字が複雑になってきたから」です。「山」や「人」は画数も少ないですから覚えやすいですよね。でも「解法パターンの”解”」とか「放射性廃棄物の”棄”」というような漢字は、漢字が苦手な子にとって見ただけで吐き気がしてしまうほど複雑なのです。それゆえ脳が拒否反応を示してしまい、覚えられません。

ではどうしたらよいのでしょう。漢字が複雑で覚えられないのなら、漢字を簡単なものに分解してしまえばいいだけです。たとえば「解」という漢字なら「角・刀・牛」という三つの部分に分けます。そして「左側には角を、右上には刀を、左下には牛を書く」と覚えるわけです。ぐっと簡単に暗記できるようになるはずです。またこうしてバラバラにすることにより「角を刀で牛から切り離す」などと意味を持たせて覚えると、より一層覚えやすくなります。

また漢字を分解すると、音から連想しやすくなったり、意味から連想しやすくなったりします。たとえば「壇ノ浦の戦いの"壇"」ですが、分解すると「元旦の旦」の字が見つかりますので、音から連想できます。また、「備える」という漢字の中には「用意するの用」が入っていますのでこちらは意味から連想しやすいですね。

また書き順をしっかり覚えることも漢字暗記には有効です。書き順を覚えることは、算数と同じく「手続き記憶」です。身体に覚えさせるわけですから覚えやすく忘れにくいのです。「廃棄の棄」なら上画像のような書き順になりますので、一度書き順通りに書いてみてください。

暗記は確かに大変です。でも工夫をすれば今よりもずっと暗記が進むはずです。だまされたと思って一度やってみてください!


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