熱中症の原因は?子どもが熱中症になりやすい理由
熱中症とは、高温の環境下で動いたり、スポーツをしたりしたときに、体の中で発生する熱がうまく外に放出できず、体温が上昇して体調を崩してしまう体の異常を指します。
高温の場所でも、水分・塩分補給をとり、汗をかいて体温を下げるようにすると体の熱は外に放出されますが、脱水などによってこうした働きが低下してくると、めまい・顔のほてり・筋肉のけいれん・だるさ・吐き気といったさまざまな症状が現れるようになります。症状が悪化してくると命の危険にさらされることにもなります。
気温が高くなればなるほど熱中症になるリスクは高まりますが、実はそこまで高温でなくても、熱中症になってしまうことがあります。体が暑さに慣れていない状態で急激な気温の変化があったときや、アスファルトからの照り返しによる熱などに影響されたときなどです。子どもが大人よりも熱中症になりやすい要因の一つに、身長が大人よりも低く、地面からの熱の影響を受けやすいことが挙げられます。
「WBGT」の計算式……熱中症リスクをより細かく算出する暑さ指数
熱中症のリスクをより正確に算出する方法として最近よく耳にするのが、暑さ指数「WBGT」というものです。その歴史は意外と古く、1954年にアメリカで提唱されるようになりました。気温だけではなく、汗のかきやすさに関連する湿度、日射しや地面からの照り返しによる輻射熱を含み、単位は気温と同じく「℃」で表されます。
WBGTの値は次のような計算式で求められます。
■屋外で日射しのある場合のWBGT計算法
WBGT(℃)=0.7×湿球温度(湿度)+0.2×黒球温度(輻射熱)+0.1×乾球温度(気温)
■屋内及び屋外で曇っている場合WBGT計算法
WBGT(℃)=0.7×湿球温度(湿度)+0.3×黒球温度(輻射熱)
※実際にはこれら3要素の他に、風通しの良さも指標に影響します。
暑さ指数を示す計算式をみると、熱中症は温度はもちろん、湿度の影響をより大きく受けているといえるでしょう。熱中症は体の熱がうまく放出できないことで起こりますが、湿度が高い環境では汗を発散させにくくなるからです。気温がさほど高くない時期や時間帯においても、蒸し暑さを感じるときは、熱中症を起こすリスクが高くなると覚えておきましょう。一方で風通しのよい環境下では湿度は下がりやすく、汗も蒸発しやすくなります。スポーツを行うときはこうした風通しの良さも念頭においておくとよいでしょう。
※天気予報で発表される気温は風通しや日当たりの良い場所で計測されますが、計測に用いられる電気式温度計は直射日光に当たらないように保護されています。
運動時の熱中症予防の目安となるWBGTの見方
運動を行うと体温が上昇しますが、発汗することで体温はうまく調節されています。暑い時期や時間帯にスポーツを行う場合は、気温だけではなく、暑さ指数もあわせてチェックするようにしておきましょう。屋外のスポーツはもちろんですが、屋内においても湿度が高かったり室内で熱がこもりやすくなったりすると熱中症リスクがあがるため、WBGTは有効な判断材料となります。
■WBGTが31℃以上
特別な場合をのぞき、運動は原則中止を推奨する。特に子どもの場合は運動中止を強く推奨。
厳重警戒し、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。こまめな水分・塩分補給を行う。体力レベルの低い人、暑さに慣れていない人は運動を避ける。
■WBGTが25~28℃
十分に警戒し、積極的に休憩をとること。激しい運動を行う場合は30分を目安として休憩をとる。
■WBGTが21~25℃
注意し、積極的に水分補給を行う。WBGT21℃以上では、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
■WBGTが21℃未満
ほぼ安全な環境だが、運動時の水分・塩分補給は必ず行うこと。
(環境省 熱中症予防情報サイトより)
WBGTが高い場合は熱中症予防のための対策を十分に取るようにしましょう。具体的にはこまめな水分・塩分補給を行うことや長時間継続した運動は避け、途中で休憩をとること、不必要に日射しのもとで過ごさず、休憩中は日陰で過ごすようにすること、帽子を着用し、通気性のよいウエアで活動することなどが挙げられます。
熱中症指標計を使えばWBGTを簡単にチェックできる
最近では熱中症指標計というWBGTを測定できるものがあります。黒球のついた本格的なものでも8000円程度から購入可能で、簡易的なものであればそれよりも安く買うことができます。
また、スマートフォン用の無料アプリには「熱中症警戒計」「熱中症予測計」といった今いる場所の温度などを参考に、WBGT計算式によって暑さ指数を算出するものもあります。熱中症指標計に比べると正確性はやや落ちますが、利便性があり、スポーツ現場で簡易的に調べることに向いています。
WBGTや、これらのアイテムやアプリなどもうまく活用して、日常的な熱中症予防に役立てましょう。
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