PC-9821 Nr300/S8TB |
Windowsがパソコンに必須のソフトウェアでもっともポピュラーということは疑う余地がありません。Windows95時代にはNECも3000人規模のエンジニアをアメリカMSに派遣し、ソフトの共同制作をしたようですが、いよいよそのようなお金がかけられなくなってしまいました。IBM-PCの互換機を作り、マイクロソフトの発売するMS-Windowsを購入すればすぐパソコンが使えるとあっては、独自設計、独自ソフトウェアのPC-9800シリーズを選択する人が減るのも当たり前です。同じNECでもPC98-NXシリーズをチョイスする人が増え、価格のことも手伝っていよいよソフトウェア、特にOSのサポート打ち切りが現実のものとなりました。Windows2000がPC-9800シリーズ最後のマイクロソフトOSとなってしまったのです。
●そしてこの日がやってきた
NECのPC-9800シリーズ最後のモデルとなったデスクトップモデルの「98MATE R PC-9821Ra43」とノートPCの「PC-9821 Lavie Nr300/S8TB」はともに2000年の発表です。3ヶ月ごとにラインアップが入れ替わる現在のパソコン界において異常ともいえる長寿の訳は、すでに新たな設計が打ち切られていて、過去のソフトウェア/ハードウェア資産を生かすのみが目的だからです。価格も238,000から(PC-9821Ra43)と358,000円(Nr300/S8TB)なのにそれぞれCeleron 433MHz、MMX Pentium 300MHzでしかありません。ひっそりと引退するPC-9800シリーズ最後のモデルとしては寂しい限りですが、仕方のないことかもしれません。
●どうしても必要な方はお早めに!
NECでは9月いっぱい受注を受け付けることになっています。いよいよこれが最後のチャンスです。特に機器の制御などでPC-9800シリーズを使っている箇所は、すべて作り直しにってしまいますのでご注意ください。先日、筆者宅が夏休みで出かけたつくばの科学センターにある、乗車型体感シミュレータもPC-9800シリーズで動いていました。壊れたら終わり、では困ってしまうシチュエーションではスペアを用意する最後のチャンスです。
●さようなら、そして・・・
筆者のパソコン歴はTandyに始まりました。その後、仕事で、趣味で、NECのPC-9800シリーズやEPSONのPCシリーズ(PC-9800シリーズ互換のパソコンの総称です)をノートを含め10台以上使ってきました。最後に使ったのは仕事で、Aeというモデルですが、これはワープロ機のフロッピーをWindowsのWordに変換するため、仕事場で捨てられる寸前のポンコツを改造し、Windows98SEをインストールしたものでした。筆者の最後のPC-9800シリーズはPC-9801RAというモデルをやはり改造してWindows95が動くようにしてあります。今となっては限定された用途でしか生きる道がありません。それでも日本のパソコン業界を引っ張ってきた功績は大きいと思います。そっと静かに引退を見守ろうと思っております。
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PC-9800シリーズ受注終了のお知らせ
最後の98、デスクトップモデルの「98MATE R PC-9821Ra43」とノートPCの「PC-9821 Lavie Nr300/S8TB」