都会とコロニアル建築が共存する美しい都市、グアダラハラ
メキシコ中西部ハリスコ州都であり、人口500万以上のグアダラハラは、首都メキシコシティに次ぎ、発展するメキシコ第2の都市。ハリスコ州は、世界的にも知られるメキシコのリュウゼツランの酒、テキーラや、チャロ(牧童)スタイルの衣装を着た楽団が、複数の絃・管楽器を使って演奏する、マリアッチ音楽(2011年に、ユネスコ無形文化遺産に登録)など、メキシコを代表する文化の発祥地。市中心部には、孤児院、病院の複合施設で、アメリカ大陸スペイン語圏において最も古い総合病院とされる「オスピシオ・カバーニャス (1997年登録)」と、市内から車で一時間20分ほどのテキーラ村にある、「リュウゼツラン景観と古代テキーラ産業施設群 (2006年登録)」の2つの世界遺産を体験できます。
1531年にスペインが入植し、1542年、正式にグアダラハラという都市が誕生。グアダラハラという名前は、市を設立したヌーニョ・ベトラン・デ・グスマンの出生地である、スペインの同名都市が由来となっています。発展する都市でありながらも、歴史のあるスペイン風コロニアル建築の街並みのせいか、落ち着いた印象を受けます。
グアダラハラへの空路での行き方
グアダラハラ国際空港 (C)Grupo aeroportuario del pacifico
空港からグアダラハラ中心街までは車で35分ほど。タクシー料金は約300メキシコペソ。タクシー・メーターがないので、金額の事前交渉を忘れずに。空港からグアダラハラ市街へ行く乗り合いバスも存在します。料金は90メキシコペソと、タクシーよりは、だいぶ安いですが、旅行者にとってはわかりづらく、少々不便。グアダラハラでは、UBERが普及していて、タクシーよりも安いので、ネット環境がある場合は、利用するのも良いでしょう。
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■Aeropuerto Internacional de Guadalajara または Aeropuerto Internacional Don Miguel Hidalgo y Costilla(グアダラハラ国際空港)
住所:Carr. Guadalajara Chapala Km 17.5, 45659 Jal.(Googleマップ)
メキシコ国内から長距離バスでの行き方
快適な旅ができるETNのバスが人気(C)ETN
「グアダラハラへの空路での行き方」のところで書いたように、UBERが普及していて、タクシー料金の半額近い値段なので、ネット環境がある場合は、利用するのも良いでしょう。
メキシコシティの長距離バスターミナルの情報を記載しています>>>メキシコの長距離バス
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■Central Camionera de GuadalajaraまたはNueva Central Camionera(グアダラハラのバスターミナル)
住所:Km. 1.5, Libre a Zapotlanejo, Nueva Central Camionera, 45580 Guadalajara, Jal. (Googleマップ)
気候とベストシーズン
グアダラハラは、温暖な準熱帯気候。最も寒い時期の12~2月の平均は7度(ただし、寒波が訪れると、零下まで冷え込むこともあるので注意が必要)、最も暑い時期の5月~6月上旬の平均は26度で、暑い日は、33度を越すことが多いです(過去に最高気温39.2度を記録したことも)。雨季にあたるのが、6月から10月。台風の影響を受けやすく、身動きが取れないほどの激しい雨が一日じゅう降り、道が浸水することもあります。8月は最も雨が降り、猛暑。過ごしやすいのは雨があまり降らない4月、5月です。いくつもの大学がある都市だけあって、文化イヴェントが年間を通じて開催されているのも特徴。
3月には、グアダラハラ国際映画祭、5月には、フェスティバル・クルトゥラル・デ・マヨ、11~12月に開催される国際ブックフェアー、などは、世界的にも知られ、内外から多くの人たちが訪れます。
行事開催時期や、3月終わりまたは4月初旬の聖週間のバケーション、7月の夏のバケーション時期などは、バスの乗車券やホテルの予約が取りづらくなるので、気をつけましょう。
気になる治安は
一見、美しく、落ち着いた町のように見えるグアダラハラですが、麻薬組織の抗争が起こっているため、治安は良くありません。抗争に便乗して、強盗犯罪も昼夜関係なく起こっています。2018年3月19日、グアダラハラ郊外のトナラ地区にて、麻薬組織のテリトリー内に入り込んでしまった現地映画学校の学生3人が、対立組織と間違えられ、誘拐、殺害される事件がありました。市内中心部の観光地ではそれほど問題はありませんが、郊外へ出向くときには注意が必要です。現地でよくあるのは、スクーターに乗った二人組が、歩行者の荷物を奪って、そのまま逃走する手口。歩行中は、車の進行方向と逆に歩く、カバンをしっかり持つ、スマホやカメラなど、高額機器を見せびらかさない、など犯罪者に隙を見せないようにしましょう。ブランド品を身につけるなど、目をつけられやすい派手な格好も避けましょう。
見どころと、おすすめのアクティビティ
グアダラハラ市内中心部には、スペイン入植期に建立された歴史的建造物がたくさんあります。ネオクラシック、バロック、ゴシックの複数の建築様式が融合した大聖堂(Catedral Metropolitana)、ネオゴシック様式のエクスピアトリオ・デル・サンティシモ・サクラメント教会(Templo Expiatorio del Santísimo Sacramento)をはじめとする数々の教会、ネオクラシック様式のデゴジャード劇場(Teatro degollado)など、見ごたえのあるものばかり。はずせないのが、スペイン語圏アメリカ大陸において最古で、大規模な総合病院として、世界遺産に登録される、オスピシオ・カバーニャス(Hospicio Cabañas)。1791年に孤児院、病院の複合施設として建立され、1980年まで、恵まれない子どもたちを受け入れてきました。同施設は、現在は文化センターとして機能し、内部を見学できるようになっています。
オスピシオ・カバーニャスでは、当時チャペルだった部分に、メキシコ壁画運動(1920~30年代)を代表する画家のひとりである、ホセ・クレメンテ・オロスコが手がけた50以上の壁画があります。なかでも、天井部分に描かれたオロスコの最高傑作と名高い『炎の人(El hombre en llamas)』は大迫力で必見です。
1810年、メキシコ独立革命を起こしたミゲル・イダルゴ神父が、奴隷解放を宣言した州庁舎( El Palacio de Gobierno )にも、オロスコの壁画作品『民衆の闘い(Lucha Social)』があり、メキシコの歴史をかいま見ることができます。
また、ラテンアメリカ最大級の屋内市場、サン・ファン・デ・ディオス市場(Mercado San Juan de dios、またはMercado Libertad)では、生鮮食品から食堂、衣類、日用雑貨、電子機器を扱う店まで3000件以上の店舗がひしめき合っています。その近隣にある、マリアッチ広場(Plaza de Mariachi)には、民芸舞踊、伝統音楽の演奏が楽しめるレストランやバーが立ち並んでいます。
グアダラハラは、グルメの街としても知られています。リュウゼツランの酒である、テキーラやメスカル、近年話題のクラフト・ビール、トルタス・アオガダス(赤いサルサに浸されたポーク・サンドイッチ)、スープ料理のポソレやビリアなど、美味しい郷土料理がメキシコシティよりもお手頃価格で味わえます。
市内から車で1時間20分ほどのテキーラ村は、世界遺産「リュウゼツラン景観と古代テキーラ産業施設群 」に指定されています。観光列車に乗り、テキーラ工場を見学したり、試飲するのも楽しいでしょう。市内から車で1時間のチャパラ(Chapala)は、アメリカ人が多く移住していて、洗練された湖岸の町として注目されています。陶器など民芸品の生産で有名なトラケパケ(Tlaquepaque。市内から車で20分ほど)やトナラ(Tonala。市内から車で30分ほど)も、観光客に人気です。
お土産にはテキーラやメスカル、陶器のトナラ焼き、ハリスコ州を拠点とする先住民ウィチョールのカラフルなビーズ細工や、毛糸を使った絵画などの工芸品がオススメです。
記事協力:Felipe Barroso Alcalá 、Fabiola Domitila Herrera
写真協力:メキシコ観光局