全国の住宅地平均変動率が10年ぶりにプラスに。商業地は3年連続の上昇、地方4市の伸びが大きい

平成30年地価公示undefined平均変動率

平成30年地価公示 平均変動率(地方4市は、札幌市、仙台市、広島市、福岡市)出典:平成30年地価公示

平成30年(2018年)地価公示によれば、全国の住宅地平均が前年の0.0%から+0.3%へと10年ぶりにプラスに転じ、商業地平均は前年の+1.4%から+1.9%と3年連続で上昇するなど堅調に推移しています。中でも、地方都市の伸びが大きく、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方4市の伸びは、住宅地で3.3%、商業地は7.9%の高い伸びとなっています。

札幌市:住宅地は2.3%上昇、商業地は7.4%上昇
仙台市:住宅地は4.6%上昇、商業地は8.7%上昇
広島市:住宅地は2.2%上昇、商業地は4.7%上昇
福岡市:住宅地は4.3%上昇、商業地は10.6%上昇

また、変動率(商業地)の全国ランキングを見ると北海道の倶知安町がトップに。2位は昨年の首位だった大阪市中央区道頓堀が、3位には、京都市南区東九条がランクイン。ここ数年の外国人旅行客増加によるインバウンド需要の不動産価格への影響は、強まっており3大都市圏だけでなく地方圏の利便性の高い場所や外国人旅行客が増えている場所の不動産価格は、顕著に上昇しています。
平成30年地価公示undefined平均変動率

平成30年地価公示 平均変動率全国順位表(商業地) 出典:平成30年地価公示

昨年のトップ10には、銀座の3地点が入っていたことを踏まえると、全国的な上昇がより実感できます。利便性の高い場所のホテル用地のニーズは、好調な市場を反映して大手ディベロッパーが相次いで参入するなど極めて高くマンションの供給動向や価格動向に影響しています。

再開発で「港区赤坂1丁目」が全国住宅地の最高価格に!地価上昇は、都心から利便性の高い都心周辺エリアへと拡がる

「港区赤坂1丁目」界隈

平成30年地価公示の住宅地最高価格となった「港区赤坂1丁目」界隈

平成30年(2018年)の地価公示では、全国住宅地の最高地点が「千代田区六番町」から「港区赤坂1丁目」へと順位が入れ替わりました。
平成30年地価公示undefined住宅地全国順位表

平成30年地価公示 住宅地全国順位表 出典:平成30年地価公示

上位10地点は、千代田区5地点、港区5地点で人気の住宅地が名を連ねていますが、「港区赤坂1丁目」を訪ねると高い伸びで入れ替わった理由がわかります。溜池山王や六本木1丁目に程近い赤坂1丁目界隈では、再開発によるオフィスビルの新規開業やホテルオークラ本館の建替えに伴う大規模な再開発が進行中です。
ホテルオークラ本館の建替えプロジェクト

虎ノ門1丁目で進行中のホテルオークラ本館の建替えプロジェクト

アメリカ大使館があるこの地区は、アークヒルズやサントリーホールなどもあり緑も豊富で、2015年に「パークコート赤坂桜坂」が供給されたように、住環境も良好で評価を高めているようです。

東京23区の地価動向を見て顕著なのが、利便性の高い都心近郊エリアの地価上昇と商業地の地価上昇率の高さです。
東京23区(住宅地)変動率

東京23区(住宅地)変動率 出典:平成30年地価公示

東京23区の住宅地を見ると千代田区3.3%、中央区2.2%と前年より伸びが鈍化している一方で、港区が5.3%上昇と高い伸びが続いています。また、文京区(5.5%)、品川区(5.5%)といった都心周辺だけでなく、荒川区(6.1%)、北区(5.6%)といった通勤利便性の高い地域の伸びが高いのも特徴的です。価格上昇によって都心近郊の住宅取得が難しくなっている中で、通勤利便性が高く値頃感ある場所のニーズが高まっていることが理解できます。
東京23区(商業地)変動率undefined

東京23区(商業地)変動率 出典:平成30年地価公示


また、東京23区の商業地は、大田区の3.2%が最も低い伸びで、6%を超える区も目立つなど高い伸びを示しています。通常、商業地は駅周辺部の利便性の高い場所に多く拡がっており、こうした立地の魅力が強まっていることがうかがえます。なお、最も上昇率が高い区は複数の大規模再開発で街が大きく生まれ変わろうとしている渋谷区です。

参考ガイド記事:大規模な渋谷再開発で今後注目のマンションは?

2018年3月に開業した日比谷ミッドタウン

2018年3月に開業した日比谷ミッドタウン


日比谷ミッドタウンのテラスから日比谷公園・皇居を望む

日比谷ミッドタウンのテラスから日比谷公園・皇居を望む


先日、開業したばかりの日比谷ミッドタウンを訪ねましたが、平日とは思えないほど多くの人で賑わっていました。こうした、再開発は複数進行中で、東京のみならず都市部の地価動向に影響しそうです。
横浜では、新市庁舎含む複数のプロジェクトが進行中

横浜では、新市庁舎含む複数のプロジェクトが進行中


地価上昇トレンドが続く東京圏ですが、全ての地域が上っているわけではありません。埼玉県の飯能市や千葉県の印西市、神奈川県の小田原市など都心通勤の厳しいエリアは、住宅地・商業地ともに下落しています。東京都でも青梅市の住宅地は依然として下落しており同じ都市圏の中での人口移動によって上がる街と下る街に分かれてきています。人口流出は、資産価値だけでなくスーパーの廃業など暮らしやすさにも影響するので、留意したいポイントです。

地価上昇を背景に都市部のマンション供給価格は当面上昇
戸建てとの競合の有無が価格に影響

地価公示の結果から見ると、建築費も高止まりする中で都市部のマンション価格は、今後も今の水準以上で供給されそうです。住宅地の上昇度合いの大きい、品川区、豊島区、文京区といった都市周辺から荒川区や北区といった通勤利便性の良い場所の価格も強含みそうです。また、商業地の上昇を受けて駅周辺のマンション価格は総じて上昇する可能性が高いです。土地の仕入れから分譲開始までは早くても1、2年。長ければ4~5年の時間差があるので2020年以降も原価ベースで考えるとマンション価格は上昇する可能性があります。

一方で、郊外の住宅地の価格は大きくは上昇していません。新築戸建てが2000万円台で供給されているエリアもありマンションの販売状況が厳しいのは、こうした新築戸建てと競合しているエリアです。需要と供給のバランスもありますが、大きな要因は施工費の違い。70平米程度のマンションをつくるには、少なくとも1600万円程度(実際は、2000万円を超えているものが多いと思われる)が必要ですが、建売住宅の中には建物原価が800万円前後のものもあります。戸建の供給余力の大きい千葉県野田市の住宅地地価が下落しているように、一戸建ての供給しやすい場所かどうかは需給面でマンション価格に影響しそうです。
インバウンドで盛況な浅草

インバウンドで盛況な浅草

金融機関の融資姿勢の変化もありアパートなどの価格ピークは、1年以上前だったといった話も聞きますが、低金利もあって価格上昇の割には需要は底堅いように感じます。中古マンションは、東日本不動産流通機構の月例速報(2018年2月度)によれば、首都圏中古マンション成約件数が2カ月連続対前年マイナスで、首都圏の中古マンション在庫件数(2018年2月)は46675戸と前年比7.4%の増加です。新築も中古もラインナップが増えつつある現在の市場ですが、地価上昇で供給戸数が先細る可能性を考えると、まだ買いやすいタイミングなのかも知れません。

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