初めての「色付き」
革底のお手入れ用クリームである「ヴィオラ ソールエッセン」です。ESSENはドイツ語で「食べる」の意味なので、レザーソール用のご馳走と言う感じの命名かな? 色:カラーレス(無色)・ブラック・ブラウン(写真)。 税込価格:各1296円 (株)ジュエル
紳士靴のアウトソールとしては古くからお馴染みのレザーソール。悪天候時こそ難儀ですが、どんなにハイテクな底材が登場しても、通気性や弾力性、それにしなり具合の自然さなどには、正に底堅い魅力を未だに感じさせてくれます。
そんなレザーソールについて、こんな質問を時々受けます。「お手入れは必要なんでしょうか?アッパーはお手入れを欠かさないけれど、レザーソールまでは……」と言う方も案外多いようですね。
あくまで個人の経験からの見解ですが、やはりこれも、しかるべきタイミングで汚れや詰まった小石を落としたり、水分・油分を補給してあげた方が長持ちすると考えています。以前はミンクオイルを極薄く塗るなどで対応していたのですが、最近はレザーソール専用のお手入れ用品も各種出回っていて、それはそれで非常に効果的。
ですが、昨秋登場した「ヴィオラ ソールエッセン」を使い始めると、もう他の製品に浮気できなくなる人が確実に増えそうな予感大です。なぜなら、従来の商品では難しかった底面の「色の補修」まで可能にしたから。そうです、この商品には無色だけでなく、ブラックとブラウンの「色付き」があるのです!
底面から小石などを除去する際には、そこを濡れ雑巾や水を含ませたメラミンスポンジで拭くのが結構有効なのですが、黒などの濃色とした通称「カラス仕上げ」の場合は、一緒に「色味」まで落ちてしまいがちです。
そこにアッパー用の色付きの乳化性靴クリームを下手に入れてしまうと、一気に滑り易くなり、極めて危険。一方で従来の革底用のお手入れ用品はどれも無色のものばかりで、補修方法としてはそれらを入れる前にコバインクなどで無理やり着色し直すしかなかったのです。ただ、この場合もインクが浮き上がり思うような仕上がりにならないことも……
だからこそ、このような色付きは本当に有難いのです。また、この「ヴィオラ ソールエッセン」は原材料の基本こそ通常の乳化性クリームと同様の水・油・蝋。ただし、蝋分については動物性ではなく植物性主体だからか、あくまで「レザーソールの革の繊維を締める」役割のようで、塗り過ぎさえしない限り「滑り」は着用時には殆ど感じません。
むしろ塗った後、底面にバネ感と言うか適度にしなりが加わったように感じるのは、配合された水分と油分とがしっかり浸透している証拠なのでしょう。
一気にではなく使う度に徐々に色付け
論より証拠、まずは「ブラウン」から試してみましょうか。上の写真向って左(右足)が何も塗っていない状態、向かって右(左足)がこの「ヴィオラ ソールエッセン」のブラウンを塗って暫く乾かしたものです。右側が全体的に自然に捕色され、もともと付いていた色味に近づいているのが一目瞭然。更に乾くともう少し色味は薄まるものの、むしろ濃過ぎない分「お手入れの大切さ」を意識させてくれます。
実はこの「色付き」の特徴がもっと端的に表れるのが「ブラック」。下の写真向って左(右足)が何も塗っていない、しかも元々の色味がほぼ抜け切ってしまった無色の革に近い状態、向かって右(左足)がこのブラックを塗って暫く乾かしたものです。特に土踏まずのエリアにご注目。決してベタな真っ黒には仕上がっていませんよね。
これは染料のみで色出しをし、顔料を用いていない何よりもの証拠。通気性や柔軟性を維持できるのは、底面をそれで変に封印していないことも効果を与えているのです。
写真向って左(右足)が無色の革に近い状態、向かって右(左足)がヴィオラ ソールエッセンのブラックを塗って暫く乾かしたものです。一回では真っ黒にはなりませんが、その分革には優しく、通気性を損ねずに色を補ってくれます。
これを製造・販売している(株)ジュエルは、乳化性クリームでは「色出しは極力染料だけで自然に」と言う確固たるポリシーが以前からあって、「ヴィオラ ソールエッセン」にもそれが活かされている訳です。お手入れを重ねてゆくうちに、自然と「自分の色」にしてゆくのを楽しめる人にとっては、アッパーだけでなくアウトソールでもそれが可能になったのは、絶対嬉しい筈。
例えば不意の雨降りの後、これでのお手入れを習慣にしておけば、数年後のオールソール交換ギリギリのタイミングで、底面が文字通り底光りしていること確実です!
【商品案内】
- アイテム名:ヴィオラ ソールエッセン
- 色:カラーレス(無色)、ブラック、ブラウン
- 価格(税込):1,296円
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