マンション購入術

マイホームなら資産価値より利用価値で選べ!

マイホーム、つまり自分たちが住む家を買うときに「資産価値」の落ちない住宅を買えという考え方があります。でも、自分の快適な暮らしや家族との思い出作りをするマイホームですから、資産価値ばかり気にして選んでよいのでしょうか?

山本 久美子

執筆者:山本 久美子

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資産価値を重視して買えと言われる理由とは?

たしかにマイホームは、人生で一度か二度しか買えない高額の商品です。所有する資産の大半がマイホームという方もいるでしょう。資産として価値が高いものを買いたい、資産価値が落ちないものを買いたいと思うのも頷けます。住宅ローンを含めた大きな金額を払うので、損はしたくない、できるだけ得したいと思う気持ちもわかります。

だからといって、
「物件価格はまだ下がる」とか
「都心部の便利な街なら高く売れる」とか
「再開発で将来発展する街は後で価値が上がる」とか
「新築は買ってすぐに中古になって値下がりするから中古がいい」とか
こうした要因ばかり気にして、本当に欲しいときに欲しい住まいが手に入らないということになったら、本末転倒でしょう。

投資として住まいを買うなら、自分たちが住むわけではありませんから、損得を重視して物件を選ぶのが正解です。

では、マイホームはどう選ぶべきなのでしょうか?

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資産価値より利用価値が大切


マイホームとしての利用価値や居住価値を重視

マイホームを思い立つ理由としていつも上位に上がるのが、子どもの誕生や子どもの入園や入学です。よい環境で子育てをしたいという親心が、マイホームの動機づけになるからでしょう。

でも、子どもと触れ合って生活する子育て期間は意外に短いものです。10年~15年、マイホームで家族との思い出をきちんと作りたいと思うなら、「欲しい時」に「欲しい住まい」を買うべきでしょう。

シングルの方が、もっと快適に暮らしたい、自分の拠点が欲しいという理由で買う場合も同じです。今の生活を変えたいのに、生活の拠点としての要因以外を理由に買うタイミングを伸ばしたり、希望条件を変えたりしたら、当初の目的は達成できないかもしれません。

まして、不動産は全く同じものがありません。
「まだ物件価格は下がるだろう」と思って、気に入った住まいを見送り、いざ底値のタイミングに買おうとしたときに、同じような住まいが買える保証はありません。

資産価値より「マイホームでどんな暮らしをしたいのか」を考えて、希望条件を整理して、その条件に合う住まいを、無理のない予算で買うというシンプルさこそが、住まい選びの基本だと思います。

重視すべきは、希望する暮らしが希望する期間で快適かつ安全に継続できるかといった「利用価値」や、そこでどんな暮らしが実現できるかといった「居住価値」なのです。

売却価格や賃料は考えなくていい?

「利用価値」というとき、住まいの収益性を指して使われる場合もあります。
つまり、マイホームを賃貸住宅ととらえ、利用することでどの程度の収益を上げられるかということです。収益物件ととらえるという意味では、資産価値に近い意味合いですね。

とはいえ、多くの方は住宅ローンを組んで買うのですから、長期的なリスクに備えるという観点は必要です。

例えば、万一売らなければならないことになったときに、売却した額で住宅ローンが完済できるか。貸した場合に住宅ローンの毎月返済額をカバーできるか。資産価値というより、こうした資金的なリスクチェックはしておくべきです。

一定期間利用した後にいくら程度で売ったり貸したりできるかは、不動産会社に中古住宅や賃貸住宅の相場を確認するなどして、事前に把握できますから、そのうえで購入を決めるようにしてください。

人口減少の時代に、買った家は将来売れる?

すでに日本は、世帯数より住宅数の方が多い「家余り」の状態になっています。
では、売らなければならなくなったときに、買った家は売れるのでしょうか?

よほど珍しい暮らし方を望んだ場合は別ですが、子育てをしっかりしたいとか、シングルライフを楽しみたいとか、一般的な利用目的で立地や家の条件を精査して買った家なら、同じような暮らしをしたい購入希望者が現れる可能性は高いでしょう。

たしかに、マイホーム購入層は減少していきますが、子育て層や単身者といった住み手が欲しいと思える、利用価値の高い住まいなら、けっきょくのところは資産価値も落ちにくいということにつながっていくのだと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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