「女系天皇」をわかりやすく解説!推古天皇は「女系天皇」ではない!
女性天皇ってどんな感じだったのでしょう?
日本書紀のイザナギとイザナミ
「女系天皇」と「女性天皇」のお話をする前に、日本の天皇家についてお話をしておきましょう。イザナギとイザナミの二人は皆さんご存知でしょうか? 日本や八百万の神々をつくったとされる伝説上の神ですが、最後に生み出した神が天照大神(とツクヨミとスサノオ)でした。
初代天皇の神武天皇はこの天照大神から数えて5代目の子孫ということになります。神武天皇と言えば今年大ブレークした「ひふみん」こと加藤一二三氏は「神武以来(じんむこのかた)の天才」という異名を持つ棋士として有名ですが、その神武天皇ですね。この神武天皇から125代目にあたるのが現在の今上天皇となります。
女系天皇と女性天皇の違い
女系天皇と女性天皇の違い
まず「女性天皇」ですが、これは文字通り「女性」の天皇、ということです。これに対して「男性」の天皇を「男性天皇」と呼ぶのは言うまでもありませんね。
では「女系天皇」とはどういうことなのでしょう。これを理解するには「男系天皇」を理解した方が早道かと思われます。
「男系天皇」というのは「父親が皇統(天皇の血統)に属する天皇」のことを指します。「女系天皇」とはその逆で「父親が皇統(天皇の血統)に属さない天皇」すなわち「母親しか皇統(天皇の血統)に属さない天皇」ということになります。
でもそれって重要なことなのでしょうか。お父さんでもお母さんでも天皇の血筋ならどっちでもいいじゃん、と普通は思いますよね。
染色体から考えるとわかりやすい
そこでこれを「染色体」の話で説明してみることにしましょう。みなさんも中学校の生物の時間に習った「遺伝」について思い出してみてください。ヒトの場合、遺伝情報を伝達するための染色体の本数は23組、46本存在します。その23番目の染色体のことを「性染色体」と呼びます。この性染色体が「XX」型ならば女子として生まれ、「XY」型ならば男子として生まれます。
「X染色体」は男子も女子も持っていますが、「Y染色体」は男子しか持っていません。つまり「Y染色体」は父親からしか受け継ぐことができないわけです。
日本の天皇の系譜は、世界で最も長く続いている王朝であるとよく言われます。天皇家が「万世一系(皇統が永久に続くこと)」と呼ばれるのも、「世界最長の王朝」と言われるのも、神武天皇の時代から「男系天皇」を継続してきたからにほかなりません。
この意味では日本の天皇家は「Y染色体」を連綿と受け継いでいる血統である、と言えるでしょう。皇位継承など皇室に関する法律を「皇室典範」といいますが、この第1条に「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」とあります。「男系」にこだわる理由がよくわかりますね。
「男系・男子」を重視する理由
皇室典範ってどんな法律?
小学校の歴史の授業でも習いましたよね。「推古天皇は日本初の女性天皇だった」って! いったいなぜ?
ここでも実はこの「Y染色体問題」が絡んでくるのです! もし女性天皇を認めると、その夫が皇族外であった場合、その子どもには皇統の「Y染色体」が受け継がれなくなってしまうのです! では推古天皇は女性なのになぜ天皇になれたのでしょうか。
歴代の「女性天皇」は8人いた
皇居のたたずまい
また元正天皇・孝謙天皇(称徳天皇と同一)・明正天皇・後桜町天皇の4人は生涯独身を貫き、子どもが天皇の位につくことはありませんでした。これにより、歴史上の女性天皇は万世一系の皇統継承には影響はなかったと言えるのです。
2019年(平成31年)4月31日をもって今上天皇が退位され、現在の皇太子徳仁親王が即位されると、その次の皇位継承資格者は秋篠宮文仁親王・悠仁親王・常陸宮正仁親王の3名となってしまいます。
皇室典範では「女性皇族が皇族以外の男性と結婚した場合、皇族ではなくなる」と規定されているため、たとえ女性天皇を特例として認めるにしても、眞子内親王が一般男性とご結婚されたように、皇位継承者は今後どんどん減少していってしまうことが予想されています。 今後ますます「女系天皇」「女性天皇」から目が離せなくなっていきそうですね。
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