老後に準備したお金が少なくても、楽しく生きる人の姿
「こんな少ししか年金がもらえない私は、老後はどう暮らしていったらよいのでしょうか?貯金もあまりないですし、老後は不安ばかりです。同じような状況の中で、うまくやっていっている人なんているのでしょうか?」老後マネーのご相談にくる方々の多くが、年金の少なさや預貯金の少なさに、ちょっとへこんでしまって、こんなことを言ったりします。マスコミも含めて、世の中、老後資金として3000万円無いとダメだ!みたいな情報が流れていますからね。
幸せや楽しさをお金でしかはかってこなかった人たちには、どうやって暮らしていったらよいのかと思ってしまうのでしょうね。
私の顧問先には、数億のご資産があっても「幸せだと思わない」という方もいらっしゃいます。お金じゃないんですね。幸せをはかるものは。
年金が少なくても「毎日、楽しくやっていますよ」という夫婦
実際、ご資産が少なくても年金が少なくても、人生を楽しんで暮らしている人たちはいらっしゃいます。私が出会ったそのような方々の中から、ある1組のご夫婦の暮らしぶりをご了解を得て、ご紹介しようと思います。(仮名で、少しだけ状況を変えてご紹介します)出会ったのは、2年前。保険の見直しでご相談にいらしたご夫妻です。
ご本人たちが「毎日、楽しくやっていますよ」といっているので間違いないと思います(笑)。
直樹さん(71歳)、清子さん(72歳)ご夫妻は、下町の都営住宅に住んでいます。現役時代は、共働きでしたが、小さな会社に勤めていたので、年金は、2人合わせても手取りは21万円(税金や健康保険、介護保険料など引かれて)。私がとても感心したのは、楽しく暮らす工夫をしているということです。
退職金もさほど多くはありません。教育ローンを組まずに子どもを大学まで行かせたのが自慢と言っていましたので、貯金はあまりありません。年金が少ないのは、退職前からわかっていました。そこでお2人は、長く働くことを考えて、計画を立てたのです。
2人ともパートを曜日をずらして働く、土曜はデート
それぞれ、会社が定年退職だ、というまで働く。そのあとは、週3日アルバイトかパートをして働く。アルバイト先で必要とされなくなるまで、できるだけ長く働く。という計画です。実際に、ご夫婦はそれぞれ65歳まで、現役として働き、その後は、2人ともパートで働いています。何が素晴らしいって、その働き方です。働く曜日を2人でずらしたんです。直樹さんは、月・水・金。清子さんは火・水・金。フルで働いているわけではありませんが、金曜以外は、お休みの人が、家事と夕飯づくりを担当することにしているといいます。
で、土曜日は、都内デート。都内は庭園や美術館がいっぱいありますから、季節ごとの庭園や美術館の催しに2人で行って、帰りには、美味しいものを食べてくるということを計画して楽しんでいるのだそうです。日曜日は、それぞれ好きなことをして過ごして、週明けに備えるのだとか。
さらに、季節ごとに、平日の1泊2日の小旅行も取り入れていらっしゃるんです。お2人のパート代は、合計しても手取りで月に7万円弱。それでも、十分だと言います。外食は土曜日だけ、移動も都バスや都営地下鉄の周遊などを使えば、貯蓄を切り崩すことなく、小旅行の費用も賄えるそうです。余れば、2泊3日で少し遠くまで旅行することもあるのだとか。うらやましいほど時間とお金を上手に使っているご夫婦です。夫の直樹さんは、言います。
「自慢じゃないけど、貯金は、本当に無いです(笑)。退職金も夫婦合わせて、600万円くらいですから。遊びに行かず、老後に備えて貯金すればいいんだろうけど、それじゃぁつまらないですよね。自分の介護にかかるかもしれないお金のために働くなんて、嫌だなぁ。退職したときに、やっと、ハードな仕事から解放されたんだから、少しは楽しんでもいいと思ったんです。だけど先立つものが無いから、無いなりに楽しめることって何かなぁって考えてちょこちょこ遊ぶことを思いついたんです。
遊ぶためには、働かなくちゃならないけれど、パートなら働く時間も長くないし、体を動かす仕事を選んだので、かえって現役時代よりも調子は良かったですよ(笑)」
体が動かなくなってどこへも行けなくなったら、それまでに楽しんだことを思い出したい
「わかっているんですよ。こんな楽しい暮らしって、そう長くは続かないって。どちらかが体壊したら、どこにも行けないですからね。それに働けないし。だけど、そうなるときまで続けていこうって、話しあっているんです。さすがに70を超えたあたりから、体がきつくなって、来年からパートは、週に2日ずつにしようかと。都内のバスと都営地下鉄は乗り放題のシルバーパスが70歳から使えるようになったので、都バスと都営地下鉄を組み合わせて、交通費をかけずにいろいろと楽しめることを研究中です。春や夏は、銭湯巡りもいいかなぁって、いま、調べているところです。どちらかが、体が動かなくなってどこへも行けなくなったら、それまでに楽しんだことを思い出して、それを楽しもうって、この間2人で話してたんです。そう決めたら、楽になってね。老後が不安だっていう人がいるけど、ちょっと気にしすぎているんじゃないかと思うね。短い間でも、思いっきり楽しんだ思い出があれば、その後の人生幸せだと思うね」(夫の直樹さん)妻の清子さんは、
「ずっと共働きでしたからね。退職後、朝から晩まで、毎日ずっと2人で一緒にいるのは、ちょっと……って思ったので、彼の提案に乗ったんです。土曜日は一緒に出掛けるけれど、日曜日は、自分の好きな過ごし方で。っていうのが良かったです。お互い干渉しない時間を持てたことが夫婦を長続きさせることの秘訣かも」ですって。
日曜日の朝とお昼は、それぞれ好きなものを自分で作って食べるのだとか。仲良くといっても「つかず離れず」という、べったりではない関係が、「次はどこへ行く?」と楽しく語り合える原動力かと思いました。
ご夫妻の場合、夫婦仲良くが、(お金があってもなくても)楽しく暮らすコツのような気がします。
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