リニア中央新幹線...2027年に開通予定!
名古屋では「栄地区」vs「名駅地区」の戦いが繰り広げられている
リニア中央新幹線は、東京から大阪までの約438kmを、我が国独自の技術である超電導リニアによって結ぶ新たな新幹線。時速372キロと飛行機(時速474キロ)に迫る速さで、東京~大阪までの片道運賃は1万5050円(予定)と現在の新幹線「のぞみ」を700円程度上回る程度。リニア名古屋駅は、在来線や新幹線の線路と垂直に交わる形で、地下30メートルに建設される予定です。
このリニアのおひざ元、JR東海を擁する「名古屋」エリアもリニア開通をにらんで動き出しています。
名古屋駅の表玄関ともいえる「名駅エリア」は、急速に国際ビジネス都市に生まれ変わろうとしています。まず2017年4月にはJRゲートタワーが全面開業し、開業9日間で来場100万人を突破。モールはJR東海高島屋が開業し、20-30代女性を核に幅広いファミリー層も狙った専門店が軒を連ねています。名鉄百貨店を含む名駅地区の百貨店売上は2017年5月に前年同月比23%増となり、栄地区を初めて上回りました。
駅前では大名古屋ビルヂングやJPタワー名古屋など大型再開発ビルの開業も相次いでいます。駅南の再開発地区「ささしまライブ24」でも「グローバルゲート」ができて街びらきしたほか、駅西でもリニア中央新幹線開業をにらんでビジネスホテル建設がラッシュ、地価上昇が続いています。
名古屋最大の街「栄地区」に起きた変化とは?
これまでのファッション・グルメ・アミューズメントの名古屋最大の街「栄地区」も、この名駅エリアの勢いに押され巻き返しに懸命です。三越栄店が大規模改装するほか、かつて「名古屋一番店」を誇った松坂屋も景気持ち直しで富裕層の購買が戻っています。栄の名物・大地下街「サカエチカ」も2019年の開業50周年に向けて大幅改装中。「クリスタル広場」にデジタル画像が映る柱を設け、イベント会場が登場します。
栄のランドマークである「中日ビル」「丸栄」「日本生命栄町ビル跡地」などでも複数の再開発計画が持ちあがっており、日生ビル跡地では水面下で大丸松坂屋が商業施設を出店する案もあります。
勃発!「栄」vs「名駅」の戦い...
こうした元祖商業中心地「栄エリア」と新興「名駅エリア」との戦いは、地元紙社会面で「どちらが名古屋の都心か」と取り上げられるほど熱く繰り広げられています。事実、名古屋市内の最高路線価は長らく「中区広小路通り栄交差点付近」でした。バブル直後の1992年には1平方メートル1942万円を記録しました。しかし、2005年には初めて「中村区名駅1」の名古屋駅前が栄を抜いて初めて最高路線価地区に。その後、13年連続で首位を守っており、栄地区との差は縮まっていません。
「伏見」はタワマン...! 高層住宅が集結
この名駅vs栄の戦いに挟まれているエリアが伏見地区です。名古屋城を起点にした丸の内金融街としての重厚な一面をもちながら、かつては有数の問屋街「長者町繊維街」もあります。東には「栄」に近いことから、タワーマンションやホテルの建設ラッシュに沸いています。まずは伏見の顔ともいえる老舗劇場「御園座」が経営再建のため旧劇場の土地・建物を売却し、新劇場と約300戸のマンションが一体となった40階建てビルを建設中で、新劇場は2018年4月に開業します。
また堀川沿いでは今年、マンション347戸・スーパー・診療所などが入居する「テラッセ納屋橋」ができ、周辺では秋以降3つのホテルが順次開業予定といいます。空きビルや駐車場が目立つ中区錦2丁目でも、マンションや商業施設が入る41階建て高層ビルが建つ予定です。
このように、名古屋エリアは関東にも関西にも行ける日本の真ん中というロケーションのほか、JR・名鉄・近鉄・名古屋市営地下鉄・中部国際空港といった周辺の岐阜・三重・静岡からも流入しやすい地。
地下鉄の環状線が日本で初めてネットワークされたのは他でもなく「名古屋」であるし、名古屋市では個人・法人とも市民税の一律5%の恒久減税を実施したことでも話題になりました。2027年リニア開通で国内移動客はもちろん、海外からのインバウンド客も集め、ますます目の離せないエリアになりそうです。
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