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仕事の半分がAI(人工知能)やロボット等で代替可能に
仕事の半分がAIやロボット等で代替可能になる
オズボーン教授が行った分析手法を使い、野村総合研究所が日本国内の職業601について分析、「日本もアメリカと同様に労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になる可能性が高い」と発表しました。
以下に、代替可能性が高い職種と代替可能性が低い職種を順不同で抜粋します。
【代替可能性の高い職種】
一般・経理事務員、受付係、クリーニング取次店員、建設作業員、自動車組立工、自動車塗装工、スーパー店員、タクシー運転者、宅配便配達員、電車運転士、路線バス運転者、通関士
【代替可能性が低い職種】
アートディレクター、インテリアコーディネーター、フラワーデザイナー、メイクアップアーティスト、映画監督、クラシック演奏家、ゲームクリエーター、テレビタレント、はり師・きゅう師、美容師、保育士、マンガ家、ミュージシャン、経営コンサルタント、産業カウンセラー、中小企業診断士
代替可能性が92.5%とされた職業は?
また、日経新聞は「奪われる定型業務」という記事(2017年9月25日)で、代替可能性が高い職業とその可能性一覧を掲載しました。それによると- 司法書士 78.0%
- 公認会計士 85.9%
- 弁理士 92.1%
- 税理士 92.5%
人を相手にし、いろいろとやり取りが必要な職業は代替される可能性が低くなります。また技術的に人工知能やロボットで代替可能でも、人がやった方がコストパフォーマンスがよければ、置き換わる可能性は低くなります。
反対にAI(人工知能)やロボットへ代替するのにあまり費用がかからず、人に対して高い報酬を支払っている場合は代替可能性が高くなります。
この一例が税理士です。
他にも判例をチェックする法律事務所の職員や定型的なフォーマットで戦略立案しているような経営コンサルタントも危なくなります。
かつてサムライ業は定年もなく安泰だ、と言われた時代がありました。
サムライ業とは士がつく職業で、弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、中小企業診断士などになります。安泰だったサムライ業がAI時代の到来とともにぐらついてきました。
会計ソフトで決算は自動化された
紙で帳簿をつけていた時代、記帳能力は特殊な能力でしたが、会計ソフトが登場するようになると、経営者自ら、もしくは経理担当者が入力できるようになりました。企業を回って領収書を集め記帳代行だけをやっていた税理士は食えなくなります。事業者が会計ソフトに入力したデータをメールなどで送ってもらい、月ごとの試算表にまとめたり決算書を作成する”だけ”の仕事も、これからなくなっていきます。
投資の世界では既に人間の分析ではなく、ロボットアドバイザーが自動的に最適なポートフォリオを提案し、投資信託(またはETF)の買付などを行っています。試算表をもって顧客を訪問し、問題点を指摘する”だけ”の業務はすぐにでもAI(人工知能)で代替されるでしょう。
企業に導入されている会計ソフトはインストール型からクラウド型へシフトしています。クラウド型はネットワーク経由で利用しますので、そのまま銀行システムと連携します。法人口座の入出金取引が自動仕分けできるので確認だけで記帳する必要もありません。
ウェブ上のアドバイス業務や管理会計にニーズ
クラウド型の会計ソフトを導入すれば税理士がいなくても決算まで行うことができますが、決算まで自力で行うためには減価償却の仕組みなどを理解しておかなければなりません。「ちょっと心もとないな」と思えば税理士を頼ることになります。クラウド型会計ソフトは税理士を選んで相談でき、顧問契約を結ぶ仕組みもあります。こうなるとパソコンやメール対応が苦手な税理士は淘汰されてしまいます。また会計には財務会計と管理会計があります。
税務署に決算書を提出するのは財務会計の分野ですが、管理会計は外部に出すものではなく経営者が自社の舵取りに使用する目的で作ります。
複数の事業部があれば事業部ごとの経営状況が見える化できるよう会計システムを作ります。経費を各事業部にどう割り振るかも考えなければなりません。管理会計の考え方は企業や経営者によって異なり、事業計画とセットになりますので、経営者と話し合いながら管理会計を作りあげる仕事は税理士の腕の見せ所になります。
人間とAI(人工知能)が協働する時代へ
大切なのはAI(人工知能)をよきアシスタントにして使いこなせるかどうかです。チェス、将棋、囲碁では人間のチャンピオンがAIに破れたことから考え方が変わりました。例えば「アドバンスド・チェス」では人とコンピュータがタッグを組んでチームとして戦うことが行われています。人とコンピュータが協働し、人の直観力とコンピュータの検索能力を組み合わせて戦うのです。
伝統芸能と呼ばれる歌舞伎ですが、時代に合わせ、常に変化しています。
中村獅童と初音ミクのコラボである超歌舞伎「今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)」では、初音ミクは美玖姫として登場し、会場からは「初音屋」という掛け声が飛びます。歌舞伎は常に変わり続けることで400年以上の歴史を紡いできました。歌舞伎と同じように我々の仕事も時代に合わせ、変わっていくことが必要です。
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