ストレス

「幸せを感じ続けられる人」が高めている5つの要素

幸せな恋愛や結婚、転職。最初は幸福感でいっぱいだったのに、気づけば幸せな気持ちが風化してしまうことはありませんか? 幸福感が持続せず、気がつけば毎日が退屈に思われて、不機嫌な状態に戻ってしまうのはなぜでしょうか? 持続的な幸せをもたらすための5つの要素「PERMA」を理解し、ぜひ人生に取り入れてみましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「幸せ」って何だろう? 夢をかなえれば幸せになれるの?

理想の暮らしができて「幸せだなぁ」と実感する。でもしばらくたつと、元の不機嫌な自分に戻っていませんか?

理想の暮らしができて「幸せだなぁ」と実感する。でもしばらくたつと、元の不機嫌な自分に戻っていませんか?

あなたは今「幸せ」ですか? 願いがかなったり、良縁に恵まれたり、思いがけずご褒美が舞い込んできたりすれば、人は幸せを感じるでしょう。

たとえば、「自由なワークスタイルで働く」という夢を持つ人が、その夢をかなえることができれば、幸せを実感すると思います。満員電車に揺られることもなく、自由な時間にやりたい仕事を始めて自由な時間に休むことができる日々。こうした日々に心から「幸せだなぁ」と実感できるかもしれません。

またたとえば、「結婚」という夢を持つ人も、その夢をかなえることができれば、幸せを実感するでしょう。愛する人と毎日一緒にいられる生活、家庭を切り盛りする日々、こうした日常に心から「幸せだなぁ」と実感できるかもしれません。

しかし、しばらくたてばまた元の「不機嫌な自分」に戻ってしまったり、手にした幸せを「当たり前のもの」に感じ、他の人の幸せと比べてしまう。そんなことはないでしょうか?

当初感じた幸せが風化した時、何を感じますか?

当初感じる「幸福感」は、時間がたつにつれて風化していきます。そんな時、多くの人が再び幸せな気分を高めるべく、さまざまな工夫や努力をするのではないでしょうか? 環境を変えてみたり、刺激になることを加えてみたり、考え方を変えてみたり。そのような試みをする人は多いかもしれません。

すると、確かに再び幸せな気持ちは高まるでしょう。しかし、時間がたつとその気持ちもやはり風化し、気がつけば不機嫌な自分に戻っていく……。そんな繰り返しを経験している人は多いのかもしれません。

持続的な幸せをもたらす5つの要素「PERMA」

その時々の満足感だけを求めるのではなく、持続的な幸せが得られる人生を歩んでいきませんか?

その時々の満足感だけを求めるのではなく、持続的な幸せが得られる人生を歩んでいきませんか?

このように一時的に幸せを感じることと、幸せを持続的に感じられることとは、少し次元の異なる心の働きであるようです。

たとえば、ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマン博士は、人間を本当に幸せにしてくれるものは、その時々の人生の満足感ではなく、持続的な幸せを構築することであることを説明しました。これを「ウェルビーイング理論」と呼びます。

セリグマン博士によるとウェルビーイングを構成する要素には、
【P】ポジティブな感情(Positive Emotion)
【E】夢中になり没頭すること(Engagement)
【R】人との関わり、つながり、関係性(Relationship)
【M】意味、意義を感じられること(Meaning)
【A】達成すること(Achievement)

という5つがあり、これらを総じて「PERMA」(「永続」という意味)と呼んでいます。そして、このPERMAの各要素を増やすことがウェルビーイングにつながると説明しています。

この理論をもとに考えると、幸せであり続けるためには、実にさまざまな行動や心の作用が関係しているのだということが分かります。毎日の生活に満足し、喜びや楽しさなどのポジティブな感情を感じられれば幸せなのか、というとそう単純なものでもありません。

我を忘れるほど夢中になれる対象があり、人や社会との関わりやつながり、良好な関係性を感じられること。自分の活動に大きな意味や意義を感じられること、何かをやり遂げて達成できた経験。自分の中にあるこうした実感や経験が増えていくことによって、「私は幸せな人生を生きている」という実感を得られるのかもしれません。

小さな満足に留まらず、持続的な幸せが得られる人生を送っていこう

笑いの多い人生を送っていても、人生の目的があいまいになっていたり、取り組んでいることに意義を感じられなくなっている場合、また、自分一人の満足感に限定され、他人や社会とのつながりを実感できない場合には、幸せを感じ続けることは難しいのかもしれません。

したがって、私たちが本当に幸せな人生を送りたい場合、小さな満足感に留まるのではなく、広い視野から現在取り組んでいること、これから取り組むべきことの意味や目的、他人や社会への影響を広くとらえる必要があると考えられます。

たとえば、「就職」や「独立」、「結婚」「子育て」「老後」といったライフステージの変化を経験する方にとって、本当に幸せな人生を送ることとはどのような体験をすることなのでしょう? 一度じっくり考えてみるとよいと思います。

私たちは、自分自身の人生から常にこうした問いを向けられているのかもしれません。そして、その答えを模索しながら納得した体験を積み重ねていくことが、「幸せな人生」の実現につながっていくのではないでしょうか。
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