築20年の中古マンションをリノベーションした住まいから、ピカピカの新築マンションへ引っ越して3年。両方で実際に住んでみて実感した、それぞれのメリット・デメリットを比較してご紹介します。

頭ではわかっていても、毎日の暮らしの中には意外な違いがありました。またその中で改めて浮き彫りになった、中古+リノベを成功させる大切なポイントもご紹介します。

<目次>

新築マンションの暮らし、エントランスに感動

中古マンション+リノベーションなら、新築を購入するよりも安い費用で理想の住まいを手に入れることができます。ガイドYuuは以前、築20年ほどの中古マンションを購入、フルリノベーションした住まいで長年暮らしていました。そして現在は、仕事の関係で新築マンションへ引っ越し、ちょうど3年目になろうとしています。

新築マンションでの暮らしは、とにかく全てが新しく、特に感動したのがエントランスでした。真新しいおしゃれなインテリアのエントランスを通るたび、何となく嬉しい気持ちになり、また最新のオートロックシステムの鍵を解除するたび、エレベーターに乗るたびに、新築であることを実感しました。

新築マンションのエントランス

新築マンションはエントランスも真新しくピカピカ。通るたびに嬉しい気持ちになれる。


中古マンション+リノベーションの場合、住戸内はもちろん新品ですが、共用部分が古いのはいかんともしがたく。エントランスは古ぼけていて、ポストも一応鍵は掛かりますが、宅配ボックスはありませんでした。

エレベーターは少し汚れていて、古いせいか揺れが大きく、共用部にはエアコンが無いので冬は寒く夏は暑く、マンション理事会は小さなプレハブの畳の部屋に集まって行っていました。

引っ越し先の新築マンションには居住者が自由に使えるライブラリーもあり、そこから整えられた小さなかわいらしい庭が見えます。と言うわけで、新築ってやっぱり良い!と最初は喜んでいたのですが、実際に暮らし始めるといろいろな問題が起き始めたのです。

収納不足、頭をぶつける、平凡なインテリア

新築マンションで暮らし始めて数週間ほど経った頃、暮らしの中のストレスをはっきりと自覚し始めました。まず困ったのが収納です。圧倒的に不足し、引っ越しの際、持ってきた物より捨てた物のほうが多いにもかかわらず、入りきらないので更に処分せざるを得ませんでした。

元々取り付けられていた収納の他に、自分で造り付けの壁面収納をいくつか設置し、収納面積は床面積の8%以上は確保したのですが、それでも足りませんでした。ガイドは決して持ち物は多くはなく、また新築マンションのプランで8%の収納面積というのは決して少ない方ではありません。

新築マンション、入居前

標準的な新築マンションのシステムキッチン、引き出し式収納に食器洗い機と、ひととおり設備はついてはいるが……。


特に困ったのがキッチン周辺です。料理が好きなのでツールや家電が多くあったのですが入りきらず、大型の電子レンジは置けないので小型に買い替え、鍋や食器は最小限に、ホームベーカリーやその他の家電も処分。また仕事柄、本と衣類の収納がある程度必要なのですが、これらもかなりの数を処分しました。

また吊り戸棚の上部に手が届かないため、出し入れに椅子を持ってきて上に乗る必要があるため、結局ほとんど使わないようになりました。細かいところでは、吊り戸棚の扉をつい開け放して料理をしていて頭をぶつける、カウンターが傷付きやすいのも気になりました。

他にも、洗面台とキッチンの高さが微妙に低いために腰が痛い。トイレの収納が座ったまま手が届かないのでペーパーの出し入れが不便。靴が入りきらないためにシーズンオフのものは地下のトランクルームへ分けて入れる必要がある。お風呂が狭く圧迫感があるなど、数えればきりがないほどあちこちに小さな不便を感じるようになっていたのです。

これらは中古マンション+リノベーションの暮らしでは全く感じることが無かったことです。もしかしたらこのようなストレスは、最初から新築に住んでいればそれほど気にならなかったかもしれません。中古+リノベの暮らしに馴染んでいたからこそ気付いたと言えるでしょう。

そしてもうひとつ。我が家という実感がなかなか沸かないというのがありました。平凡な白いビニールクロス、きっとどこの部屋も同じような感じで、ガイドは出張が多くホテルに泊まることが多いのですが、まるでビジネスホテルに泊まっているような感覚がありました。

築20年中古マンション+リノベーションは完全自分仕様

築20年の中古マンションを購入し、リノベーションした住まいは、まさに全てを自分仕様に計画しました。いったんスケルトン状態、つまりコンクリートむき出しになるまで解体し、床や間仕切り壁、水まわりも全ていちから計画をしなおし、75平米ほどの面積で費用は1,200万円ほどでした。それでもその地域の新築マンションに比べれば格安に、理想通りの住まいを作ることができました。

収納は各所で自分の暮らし方に合わせて計画、必要な物が必要な場所ですぐ出し入れできるようにしました。玄関から入って廊下の壁面に沿って一列に薄型の収納を設置、そこに靴や玄関まわりで必要な物、コストコで買いだめしたストック品などを全て収納しました。

クローゼットは4.5畳ほどの大型ウォークインスタイルとし、バッグ専用の棚、元々持っていたタンスをはめ込み、コート類は玄関のそばに、下着類は水まわりのそばに収納できるよう配置しました。

洗面台やキッチンのカウンター、スイッチやコンセント、ドアのレバーハンドルの高さは身長に合わせて計画、吊り戸棚の扉を開けはなったままでも頭をぶつけないよう跳ね上げ式とし、数が多いキッチン家電専用の収納庫も作りました。

お風呂にこだわりたかったので、浴室は大きめのサイズに入れ替え、開放感を出すために廊下に向かって窓を設置。洗面室にも化粧品やタオル専用収納庫などを作りました。以上、収納面積を改めて計算してみると、床面積の18%ほど確保されていました。

ミントンのタイル

ちょっと写真が古いが、20年ほど前のリノベーションしたての頃のトイレと洗面の様子。奮発してミントンのタイルを貼った。自分の好みに合わせて隅々までコーディネートできるのも、中古マンション+リノベーションのメリット。


インテリアも自分の好きな南の島のイメージで、壁はくすんだダークオレンジ、ドアには自分でデザインしたステンドグラス、水まわりにはちょっと贅沢をしてイギリスのミントンのタイルを貼るなど、出来上がった我が家は、かゆいところに全て手が届き、インテリアを含め、住んでいてとても気持ちのいい住まいだったのです。

新築マンションの暮らしのメリット・デメリット

では新築マンションvs中古マンション+リノベーションの暮らし、まずは新築マンションでのメリット、デメリットからまとめてご紹介しましょう。メリットは何と言っても共用部分の新しさです。気持ちが上向きになるのはもちろん、暮らしが格段に便利になります。

まず音が静かです。これはマンションそのものの構造や床の工事技術が向上し、防音性能が上がったためです。窓サッシも最新の高性能なタイプなので、室内は快適で結露の心配もほとんどありません。また玄関ドアが新しくなることで、性能が向上することもポイントです。防音・断熱に優れ、またオートロックやカメラでセキュリティ面も安心です。

キッチンではディスポーザーが設置されているため、生ごみの始末が楽にできるようになりました。ディスポーザーとは生ごみを粉砕して排水と一緒に流す設備ですが、そのまま下水に放流することはできず、粉砕したゴミを処理する設備が必要になります。新築では敷地内に全戸の処理を一気に行う処理システムを埋設し、各戸でディスポーザーが使えるようになったマンションもありますが、古いマンションではこのような設備はほぼ無いため、取り入れるためには自宅内に処理システムを置く必要があります。

新築マンションの宅配ボックス

オートロック、宅配ボックスなど共用部分の性能で暮らしは格段に安全に便利になる。


毎日の生活の中でありがたいのが、ゴミ出しが楽になったことです。365日24時間いつでも出せるようになり、気にせず魚料理ができるようになりました。それまでは生ごみの日は週に2日だったので、夏場は臭いが気になっていました。

これはゴミステーションの計画次第ですが、概して新しいマンションは暮らしやすい工夫が凝らされていることが多いため、古いマンションに比べるとゴミ出しで悩むことが少ないようです。

共用設備では宅配ボックスが設置されているため、宅配便の受け取りが楽にできます。最近はこの宅配ボックスを使ったサービスが充実していて、ロッカーにクリーニングしたい衣類を入れておくとクリーニング会社が集配してくれるなどのサービスもあります。

新築マンションでの暮らしのデメリットは、居住空間が我が家に合わせたものではないという部分です。間取りのオーダーメイドができる新築マンションもありますが制限が多く、また費用は高くなります。

基本的に誰もが暮らしやすいように最大公約数で計画されているため、細かい部分で合わないことが色々とあります。間取りはもちろんのこと、収納の位置や形状、大きさ、高さ、扉の開き方、そして個性の無いインテリア。これらは中古マンション+リノベーションと住み比べると良く分かります。

中古マンション+リノベの暮らしのメリット・デメリット

中古マンション+リノベーションの暮らしのメリットは、何といっても居住空間が完全にカスタマイズできることです。スケルトンリフォームを行うことで、設備や配管も全て新しく生まれ変わらせることができ、間取りもインテリアも自由自在。暮らしにぴったり合ったまさにオーダーメイドの家づくりができます。

このオーダーメイドの家づくりは、新築マンションと住み比べてみるとその真価をより深く実感できます。かゆいところに手が届く暮らしやすさ、ストレス無く毎日を気持ちよく暮らすことができ、インテリアも自分の好みにできるので我が家への愛着も増します。

南向きの寝室

中古マンション+リノベーションなら間取りも自在。一番日当たりのいいところに寝室や水まわりをもってくることもできる。


デメリットは共用部分の古さです。窓サッシや玄関ドアが古く、防音・断熱性能が低いため、内側に二重に窓や扉を設けるなどして対策しました。また上階からの振動音などが響きやすく、自分も階下に気を配って暮らす必要がありました。

防犯性能が低いのも難点で、オートロックではないため、玄関まで誰でも近づくことができました。実は鍵にピッキングされた跡を発見したことがあり、慌てて鍵を交換したり、カメラを新しく設置したりといったことがありました。

中古+リノベ成功のポイントはリフォームの完成度

新築マンションと中古マンション+リノベーションでの暮らしの両方を経験してみてわかったことは、ただ新しい古いではなく、どちらを選ぶかで暮らしが大きく変わるということです。

ひと口に居住性と言っても、共用部分が担う便利さ、専有部分の作りが担う快適性があり、それぞれにメリット・デメリットがあるので、どちらを優先するかで生活が大きく変わります。

新築マンションvs.中古マンション+リノベーションの暮らし比較の結論は、どちらが良いかではなく、どちらを優先するか、どちらが自分たちの価値観や暮らしに合うかということでしょう。

またこれらの経験を通して改めて実感したのは、中古マンション+リノベーションを成功させる最大のポイントは、リフォームの完成度にあるということです。中古+リノベのメリットを享受するためには、居住空間をいかにカスタマイズするかが肝心です。完成度が低いリフォームでは、共用部分は古い、中もそれほど住みやすいわけでもない、メリットは値段が少し安いだけということになりかねません。

マンションの玄関に大理石

新築マンションの築1年以内に、玄関の壁に大理石を貼るリフォームを行った様子(マンションの玄関を豪華に、大理石を張る壁リフォーム


ガイドYuuの場合は、新築マンションに引っ越し、1年でプチリフォームを行いました。リフォームの内容は、ドアにステンドガラスを入れる、壁に大理石を貼る、水性ペイントで色付けを行うなどです。新しい家に手を入れるのは少々罪悪感があるのですが、少しずつ自分仕様にすることで、徐々に住まいへの愛着が沸いてきています。

さてこれまで、新築一戸建て、一戸建て全面リフォーム、中古マンション+リノベーション、新築マンションと住み継いできました。さて次回はどうするか?実は心は決まっています。ガイドが重要視するポイントは利便性と住み心地ですので、次はまた中古マンション+リノベーションを選択する予定です。

もちろん買い替えや資産価値を考えればまた別の答えがあることでしょう。大ざっぱに言えば、住まい方やインテリアにこだわる人は中古マンション+リノベーション、資産価値や便利さにこだわる人は新築マンションが良いと言えます。何に価値を置くのかしっかり考えて、しっかり計画をして頂ければと思います。

マンションならではのキッチンと浴室のプラン、レイアウトの工夫、スムーズに進めるための手順については下記でご紹介してますので、あわせてご覧下さい。
風通しのいいマンションにするコツは下記でご紹介しています。
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